EコマースやShopifyの初学者にとって、できるだけ “やさしく” “わかりやすく” “正確に” 難しいコマース用語やマーケティング用語、ストア構築から販売までの仕組み・ノウハウを伝えることを心がけて、記事コンテンツを作成しています。

本記事では、Shopifyストアにポイントサービスを導入するメリットやデメリット、ポイントサービスを導入できるShopifyアプリをご紹介します。
ポイントサービスとは、お客様の購入金額に応じて自身のShopifyストアで利用できるポイントを付与するサービスの事です。
ポイントを付与することでお客様の利用頻度を向上させるのと併せて、商品やサービスのファンを増やす事に役立ちます。
Shopifyストアにポイントサービスを導入することで競合ストアよりも選ばれやすくする事にも役立ちます。
同義として「ポイントプログラム」や「ポイントシステム」と呼ばれることもあります。
ポイントサービスを導入する最大のメリットは、リピーターを獲得できる点です。ポイントが貯まっているから、貯めているからという理由で、既存顧客に自社ストアを選んでもらいやすくなります。
Shopifyストアを安定運営するには、既存顧客が他社の商品やサービスに乗り換えること(顧客離れ)を防ぐことが大切です。ポイントサービスは既存顧客の囲い込みに役立ち、売り上げの安定化も期待できます。
上述のように、ポイントサービスを導入することで、リピート率が上がるのと比例して、LTVの向上も期待できます。また、「〜円以上の買い物でポイント5倍」や「5のつく日だけポイント5倍」などポイントを絡めたマーケティング施策を行うことで、購入単価の向上も期待できます。
メーカーの意向で値段をあまり下げることが困難な商品やどこでも扱える商品を販売している場合などは、ポイントサービスがあることで競合ストアよりもポイント分だけ差別化することができます。
ポイントと絡めたマーケティングキャンペーンの実施ができるようになるのもメリットの一つです。たとえば、「会員登録したらポイント付与」や「誰かを紹介したらポイント付与」、「誕生日を入力したらポイント付与」、「〜円以上の買い物でポイント5倍」、「5のつく日だけポイント5倍」など、ポイントをインセンティブに様々なマーケティング施策を企画・実施することができます。
ポイントサービスをShopifyストアに導入する方法として、独自実装またはShopifyアプリの2種類があります。
独自実装する場合は外注費等のコストがかかる可能性もありますし、Shopifyアプリを利用する場合も月額費用だけでなく、顧客数に応じて追加コストが発生する場合があります。
また、dポイントなどの共通ポイントを導入する場合は、加盟店費用やポイント発行手数料など様々なコストも発生します。
ポイントサービスは導入して終わりではありません。導入後はキャンセルや返品が発生した際に、ポイントを取り消す手間が発生しますし、ポイントに関するお客様からの問い合わせも増えます。また、ポイント支払いは、会計上「ポイント引当金」として処理する必要があり、会計処理においても手間が発生します。
ポイントサービスは一度始めると、終了するのが大変です。
既にポイントを所有しているお客様へ説明する必要もありますし、ポイントサービスを終了する場合、既存ポイントの扱いも考えないといけません。最悪の場合、クレームやお客様離れに繋がる可能性もあります。
ポイントサービスを導入したからといって、必ずしも売上やリピート率、LTVなどの数字に良い結果がもたらされるとは限らないです。ポイントサービスがあることすら認知されていなかったり、ポイントの条件が魅力的ではなかったり、リピートされにくい商品・サービスを扱っていたり、結果が出ない理由は様々です。
ポイントには大きく分けて「共通ポイント」と「独自ポイント」の2種類があります。
「共通ポイント」はdポイントやTポイント、楽天ポイントなどのポイントになります。「共通ポイント」のメリットは、大手ポイント会社のブランド力を活用できたり、共通ポイント所有者を自身のShopifyストアに呼び込める点です。
一方、デメリットとしては、加盟店費用やポイント発行手数料などのコストが高く付いたり、ポイントを絡めた独自のキャンペーンを行えなかったり、Shopifyストアへの導入には高度な開発知識が必要だったりします。
弊社もShopifyストアにdポイントを導入した経験がありますが、実際にリリースするまでに時間も工数も膨大にかかり、とても大変だったのを覚えています。
「独自ポイント」はストア独自で発行するポイントです。
「独自ポイント」のメリットは、発行したポイントが外部サービスに流れない点や共通ポイントに比べてコストも抑えられる点、ポイントを絡めた独自のキャンペーンが行える点にあります。また、Shopifyアプリを利用することで簡単に導入できる点も「共通ポイント」よりは利点と言えます。デメリットとしては、共通ポイントほど集客や注文率に効果が出にくい点です。
ポイントサービスを実施するにあたって、注文金額に応じてどのくらいポイントを付与するのか検討する必要があります。日本のECサイトでは、実際に支払った金額(合計金額からポイントやクーポン分を差し引いた金額)の1%分をポイントとして付与しているケースが多いように思います。
ポイントの付与率が他社ストアと比較して魅力的かどうか、粗利率を圧迫しすぎないかどうかなど様々な観点から検討しましょう。
ポイントを付与するタイミングもしっかり検討する必要があります。ポイント付与のタイミングとしては商品の注文完了時や、商品出荷時などのタイミングが考えられます。
キャンセルや返品が発生した際に、ポイントを取り消す手間が発生する場合もありますので、注文完了後や商品出荷後から1〜2週間後にポイントを付与する場合もあります。自社ストアにとって、どのタイミングでポイントを付与するのがベストかしっかり検討しましょう。
Shopifyストアだけでなく、実店舗も既に運営している場合には、Shopifyストアでも実店舗でもポイントを利用できるようにするかも検討する必要があります。
Shopifyには海外製も含めると多くのポイントアプリが存在します。
安いからと言って安易に海外製アプリを選択すると見えない作業コスト(日本語変換やなにか問題が発生したときの問い合わせなど)が発生するため、十分に注意が必要です。
まずは、下記が日本語に対応されているか確認しましょう。
ポイントアプリには「Poing Pong」のように月額固定費だけのShopifyアプリと「easyPoints」や「どこポイ」のように月額固定費だけでなく、従量課金(ユーザー数応じた従量課金)の形式で追加費用が発生するShopifyアプリがあります。現在のユーザー数に対してコストがいくら掛かるのか、今後いくらまでコストが膨らみそうか確認しておきましょう。
アプリ名 | プラン名 | 月額費用 |
従量課金 |
その他 |
---|---|---|---|---|
Poing Pong | ベーシックプラン | $20 | なし | 開発ストアは、 無料で全機能を試せる |
MR.POINT | FREE | 無料 | なし | 10日間だけ利用可能 |
STANDARD | $26 | なし | 月間500注文まで | |
PREMIUM | $40 | なし | 月間1000注文まで | |
ENTERPRISE | $60 | なし | 月間2600注文まで | |
easyPoints | フリー | 無料 | 1人あたり$0.3/月 ※ 301人超えてから |
- |
ベーシック | $50 | 1人あたり$0.22/月 ※ 501人超えてから |
本プランから下記が可能 ・ポイント有効期限の設定 ・誕生日や会員登録での特典 |
|
プロ | $180 | 1人あたり$0.18/月 ※ 2001人超えてから |
本プランから下記が可能 ・CSVエクスポート ・会員ランクシステム |
|
エンタープライズ | $425 | 1人あたり$0.10/月 ※ 5001人超えてから |
本プランから下記が可能 ・POS連携 ・API |
|
アンリミテッド | $998 | なし | - | |
どこポイ | ライト | 無料 |
1人あたり$0.25/月 ※ 101人超えてから |
- |
ベーシック | $49 |
1人あたり$0.2/月 ※ 1001人超えてから |
- | |
プロ | $199 |
1人あたり$0.12/月 ※ 2001人超えてから |
本プランから下記が可能 Shopify Flowの実行トリガー |
|
エンタープライズ | $997 | なし | - |
Shopify Flowと連携やShopify POSとの連携、ロイヤリティプログラム、会員登録やレビューの投稿でポイント付与など、ポイントアプリによって出来ることと出来ないことがあります。
実際にポイントアプリを導入した後に、他のポイントアプリに移行するのはとても手間がかかります。
そのため、自社ストアでどのような事を実現したいのか事前に洗い出してから、アプリを選定すると良いでしょう。
ポイント機能だけでなく、レビュー機能も搭載している国内産のShopifyアプリです。料金プランは1つのみとわかりやすく、月額固定費($20)しかかからないため他のポイントアプリに比べ圧倒的に安く始められるのも特徴です。
ベーシックプラン:月額 $20
※ 14日間の無料トライアル
※ 開発ストアは無料で全機能を利用可能
コーディング不要で簡単にポイントサービスを始められる国内産のShopifyアプリです。4つの料金プランがあり、プランに応じて月間の注文件数が変動します。
プラン名 | FREE | STANDARD | PREMIUM | ENTERPRISE |
---|---|---|---|---|
月額費用 | 無料 | $26 | $40 | $60 |
従量課金(追加費用) | なし | なし | なし | なし |
プランの 詳細 |
10日間の無料トライアルプラン 顧客のランク別ポイント付与設定 商品別のポイント付与設定 新規会員登録ポイント付与設定 ショップ一律ポイント付与設定 ポイント付与の除外設定 ポイント付与タイミングを変更 POS対応 |
月間注文件数500件まで対応 顧客のランク別ポイント付与設定 商品別のポイント付与設定 新規会員登録ポイント付与設定 ショップ一律ポイント付与設定 ポイント移設機能(インポート機能) ポイント付与の除外設定 ポイント付与タイミングを変更 POS対応 |
月間注文件数1,000件まで 顧客のランク別報酬ポイント付与設定 商品別のポイント付与設定 新規会員登録ポイント付与設定 ショップ一律ポイント付与設定 ランキング自動調整 ポイント移設機能(インポート機能) ポイント付与の除外設定 ポイント付与タイミングを変更 POS対応 |
月間注文件数2,500件まで対応 顧客のランク別報酬ポイント付与設定 商品別の報酬ポイント付与設定 新規会員登録報酬ポイント付与設定 ショップ一律報酬ポイント付与設定 ランキング自動調整 ポイント有効期限 ポイント移設機能(インポート機能) その他上位プラン機能 POS対応 |
おそらく日本で最初に登場した国内産のShopifyアプリです。一番歴史が長いこともあり機能が豊富なのも特徴です。5つのプランがあり、契約したプランに応じてアクティブ顧客の上限数および、上限数を超えた場合の従量課金額が変動します。
プラン名 | フリー | ベーシック | プロ | エンタープライズ | アンリミテッド |
---|---|---|---|---|---|
月額費用 | 無料 | $50 | $180 | $425 | $998 |
従量課金(追加費用) | 1人あたり$0.3/月 ※ 301人超えてから |
1人あたり$0.22/月 ※ 501人超えてから |
1人あたり$0.18/月 ※ 2001人超えてから |
1人あたり$0.10/月 ※ 5001人超えてから |
なし |
プランの 詳細 |
アクティブ顧客数上限: 300人 CSVインポート Klaviyo連携機能 |
アクティブ顧客数上限: 500人 フリーの機能を含む カスタムセットアップ お誕生日特典 新規会員登録特典 メール配信登録特典 ポイントUPキャンペーン ポイント有効期限 |
アクティブ顧客数上限: 2,000人 ベーシックの機能を含む CSVエキスポート 獲得ポイン履歴 ボーナスコレクション 会員ランクシステム |
アクティブ顧客数上限: 5,000人 プロの機能を含む POS拡張 APIアクセス 優先サポート |
アクティブ顧客無制限 全ての追加機能を含む 優先サポート |
様々なShopifyアプリとの連携が可能な国内産のShopifyアプリです。また、Shopify Flowのためのトリガーおよびアクションも提供しており、Shopify Flowを利用して何かポイント施策を行いたい場合におすすめです。4つの料金プランがあり、契約したプランに応じてアクティブ顧客の上限数および、上限数を超えた場合の従量課金額が変動します。
プラン名 | ライト | ベーシック | プロ | エンタープライズ |
---|---|---|---|---|
月額費用 | 無料 | $49 | $199 | $997 |
従量課金(追加費用) | 1人あたり$0.25/月 ※ 101人超えてから |
1人あたり$0.2/月 ※ 1001人超えてから |
1人あたり$0.12/月 ※ 2001人超えてから |
なし |
プランの 詳細 |
基本料金内ユーザー数:100 上記ユーザーを超えた場合の追加単価(ユーザー):$0.25 どこポイ全機能 Shopify Flow基本機能 ※開発サイトの場合は追加料金の発生しない「ディベロッパープラン」が表示されますのでそちらをご利用ください |
基本料金内ユーザー数:1000 上記ユーザーを超えた場合の追加単価(ユーザー):$0.2 どこポイ全機能 Shopify Flow基本機能 |
基本料金内ユーザー数:2000 上記ユーザーを超えた場合の追加単価(ユーザー):$0.12 どこポイ全機能 Shopify Flow基本機能 Shopify Flow定期実行トリガー |
基本料金内ユーザー数:無制限 どこポイ全機能 Shopify Flow基本機能 Shopify Flow定期実行トリガー |
ポイントサービスは、リピート率やLTVの向上にメリットがある一方で、コストや手間が発生する点や、一度始めたら終了させるのが大変などのデメリットがあります。安易にポイントサービスを導入するのでは無く、自社ストアにとって本当にポイントサービスが必要なのかしっかり検討しましょう。
下記の記事では、ポイントアプリ以外にも「LTV向上」や「売上拡大」をサポートする様々なおすすめアプリをジャンル別に紹介しています。ご参考にしてください。
Tsun Inc. CTOの小笠原です!今回はShopify APIをPostmanで簡単に実行するノウハウをまとめました。 Shopify APIに限...
EコマースやShopifyの初学者にとって、できるだけ “やさしく” “わかりやすく” “正確に” 難しいコマース用語やマーケティング用語、ストア構築から販売までの仕組み・ノウハウを伝えることを心がけて、記事コンテンツを作成しています。
掲載している各種情報は、株式会社Tsunが経験および、調査した情報をもとにしています。できるだけ“最新“かつ“正確“な情報の掲載に努めておりますが、内容を完全に保証するものではありません。当サイトによって生じた損害について、株式会社Tsunではその賠償の責任を一切負わないものとします。掲載情報に誤りがある場合には、お手数ですが株式会社Tsunまでご連絡をいただけますようお願いいたします。