Shopify Polarisは、Shopifyのエコシステムにおいて重要な役割を果たす包括的なデザインシステムです。本記事では、Shopify Polarisの概要やメリット、デメリット、Polarisを活用したShopifyアプリの事例、Shopify Polarisを使用する際のヒントとコツを紹介します。
Shopify Polarisとは
Shopify Polarisは、Shopifyが提供する包括的なデザインシステムです。基本的なデザインガイダンス、再利用可能なコンポーネント、デザイントークン、そして400以上のアイコンを提供しています。バージョン12では新しいデザイン言語が導入され、VS Code用の拡張機能も提供されており、開発者の利便性を高めています。
Polarisの主な目的は、開発者がShopifyの管理画面やShopifyアプリを効率的に構築し、マーチャントにとって最高の体験を提供することです。
Shopify Polarisの主要コンポーネント
Shopify Polarisは、さまざまなUIコンポーネント、デザインガイドライン、そしてアイコンセットを含む総合的なリソースを提供しています。コンポーネントには、ボタン、フォーム、モーダル、ナビゲーションなど、Shopifyアプリに必要な要素をカバーしています。また、Polarisは一貫したタイポグラフィとカラーパレットも提供しているため、Shopifyアプリ全体で統一感のあるデザインを実現できます。
Shopify Polarisを使用するメリット
Shopify Polarisを使用する際のメリットは下記になります。
開発効率を向上できる
Polarisは事前に設計された豊富なコンポーネントとパターンを提供し、包括的なデザインシステムを即座に利用可能にします。これにより、UIの構築時間が大幅に短縮され、開発者はビジネスロジックやユニークな機能の実装に集中できます。標準化されたコンポーネントの使用は、テストと品質保証のプロセスも簡素化し、全体的な開発効率を向上させます。
高品質なUIを実現できる
Polarisを使用することで、Shopifyのエコシステム全体で一貫性のあるデザインとユーザーインターフェースを提供できます。これにより、ユーザー(マーチャント)は直感的にアプリを操作でき、学習曲線が緩やかになります。さらに、アクセシビリティガイドラインに準拠したコンポーネントやレスポンシブデザインの容易な実装により、幅広いユーザーに対応した高品質なUIを実現できます。
Shopifyエコシステムとの統合に役立つ
PolarisはShopifyのエコシステムと完全に統合されており、App BridgeやShopifyの他のツールとシームレスに連携できます。これにより、より強力で統合されたアプリケーションを構築できます。また、Shopifyチームによる継続的な改善と更新、豊富な学習リソース、そして活発な開発者コミュニティからのサポートにより、常に最新のデザイントレンドとベストプラクティスに基づいたアプリ開発が可能となります。
Shopify Polarisを使用するデメリット
Shopify Polarisを使用する際のデメリットは下記になります。
デザインの柔軟性と独自性が制限される
Polarisは一貫性を重視しているため、独自のブランドアイデンティティを完全に表現することが難しい場合があります。カスタマイズの範囲が限られており、非常に独特なデザインの実現が困難です。
学習コストがかかる
Polarisの概念や使用方法を習得するには時間がかかる場合があり、特にShopifyのエコシステムに慣れていない開発者にとっては初期の学習コストが高くなる可能性があります。また、Polarisは定期的に更新されるため、アプリケーションを最新バージョンに対応させ続けるには継続的な努力が必要です。
プラットフォーム依存の懸念
Polarisを使用することでShopifyプラットフォームへの依存度が高まり、将来的にプラットフォームを変更したい場合に大規模な再設計が必要になる可能性があります。また、特定のプラットフォーム向けのデザインシステムであるため、一般的なフレームワークと比較してコミュニティサポートやサードパーティのリソースが限られている可能性があります。
Shopify Polarisを活用したShopifyアプリの事例
多くのShopifyアプリ開発者がPolarisを活用しています。下記はPolaris活用したShopifyアプリの事例になります。
Polarisを活用したShopifyアプリ:RuffRuff 予約販売
「RuffRuff 予約販売」はPolarisで開発していて、Shopifyに似た設定画面で簡単に予約販売を実施でできます。Shopify公式より最高品質アプリの証である「Built for Shopify」を獲得している日本唯一の予約販売アプリです。
予約販売だでなく、期間限定セールやVIP会員限定販売、先行割引、発売予告、後払い、購入制限、同梱制御、個数制限もアプリ1つで実現できます。
Polarisを活用したShopifyアプリ:RuffRuff 注文制限
「RuffRuff 注文制限」はPolarisで開発していて、日本で初めてCart and Checkout Validation APIを利用したShopify アプリです。
「Cart and Checkout Validation」を利用することにより、これまでフロントでしか対応できなかった注文制限の処理をサーバサイドで実現しました。そのため、既存の注文制限アプリに比べ、より突破されにくい堅牢な注文制限を実現することが可能です。
個数制限や金額制限、同梱制限、顧客制限、決済制限などあらゆる購入制限をアプリ1つで実現できます。
Shopify Polarisの最新アップデートと今後の展望
Shopify Polarisは常に進化を続けています。最新のアップデートでは、アクセシビリティの改善や新しいコンポーネントの追加など、ユーザー体験の向上に焦点を当てています。さらに、ShopifyはPolarisをApp Bridge*1 およびアプリ拡張機能と統合し、より包括的な開発エクスペリエンスを提供しています。これにより、開発者はShopifyのエコシステムにさらに深く統合されたアプリを作成できるようになりました。
*1 App Bridgeは、Shopifyアプリケーションと Shopify 管理画面との間のシームレスな統合を可能にするJavaScriptライブラリです
Shopify Polarisを使用する際のヒントとコツ
デザイン原則を理解する
Polarisを効果的に使用するには、提供されているコンポーネントをそのまま使用するだけでなく、Shopifyのデザイン原則を理解することが重要です。また、PolarisとApp Bridge、アプリ拡張機能を組み合わせて使用することで、より強力で統合されたアプリを開発できます。注意点として、過度のカスタマイズがありますが、これはPolarisの一貫性を損なう可能性があるため注意が必要です。
Figmaでモックアップを作成してみる
Shopify Polarisは、デザイナーや開発者のためのFigma UI Kitを提供しています。このUI Kitは、PolarisのコンポーネントやスタイルをFigmaで使用できるようにしたもので、デザインプロセスを大幅に効率化します。Shopify Polarisを利用してShopifyアプリの開発を検討している場合は、Figmaでアプリのモックアップを作成し、解像度を上げてから開発を進めるのもオススメです。
Sandboxでプロトタイプを作ってみる
Shopify Polarisは、デザイナーや開発者のためのSandbox環境を提供しています。Polaris Sandboxは、Polarisコンポーネントを使用してUIのプロトタイプを迅速に作成できる強力なツールです。このツールを使用することで、Polarisコンポーネントへの理解が深まり、開発の初期段階でユーザーインターフェースの問題を特定し修正することで、開発プロセス全体の効率を向上できます。
最後に
Shopify Polarisは、開発者にとっては効率的な開発ツールであり、マーチャントにとっては一貫性のある使いやすいインターフェースを提供します。PolarisをApp Bridgeやアプリ拡張機能と組み合わせることで、開発者はShopifyのエコシステムにシームレスに統合されたアプリを作成でき、結果としてより優れたユーザー体験を提供できます。今後もShopifyの中核的な要素として、Polarisの重要性はさらに高まっていくと考えています。
最後に、下記のブログ記事ではPolarisを利用して開発したShopifyアプリ「RuffRuff 予約販売」や「RuffRuff 注文制限」以外にも売上拡大やブログ記事拡張におすすめのShopifyアプリをジャンル別に紹介しています。ぜひ、Shopifyアプリ選びのご参考にしてください。