ネットショップを始めるとき、多くの方が候補に挙げるのがShopify・BASE・STORESです。ただ、料金の仕組みがそれぞれ違い、機能表を見比べても「結局どれが自分の店に合うのか」は見えてきません。
この記事では3サービスの違いを比較表と基本機能で整理したうえで、料金・決済・機能・運用・AIによる運営サポートの順に比較します。あわせて、比較の前に自店舗で整理しておきたい判断軸も紹介。ECカート選びに迷っている方は、ぜひ参考にしてください。
※料金・機能は2026年8月時点の各社公式サイトの情報です。最新の内容は公式ページをご確認ください。
Shopify・BASE・STORESの違いを比較表で確認
はじめに3つのサービスの違いを簡潔にまとめた比較表で紹介します。詳細は後述の各章で解説しています。
最も大きな違いは費用のかかり方です。BASEとSTORESは月額0円から始められる代わりに手数料率が高く、Shopifyは無料プランがない代わりに決済手数料が低く設定されています。
売上が小さいうちは月額無料のプラン、売上が伸びるほど月額はかかるが低料率のプランが有利になります。ただし最安がどれになるかは注文単価や決済方法でも変わるため、後述のシミュレーションで確認してください。
Shopifyの特徴

画像出典:Shopify
Shopifyは世界的に利用されているECプラットフォームです。Shopifyアプリの拡張性の高さが最大の強みで、テーマのカスタマイズ自由度も高く、多言語・多通貨での海外販売にも対応。
日本語の24時間チャットサポートもあります。一方、無料プランはなく、アプリを追加するほど月額費用が積み上がります。
BASEの特徴

画像出典:BASE
国内で260万ショップの開設実績を持つサービスです(同社公式サイトより)。最短当日に公開できる手軽さが強みで、機能は「BASE Apps」で必要なものだけを追加します。
月額無料のスタンダードプランと有料のグロースプランで使える機能に差がない点が特徴。プランの違いは手数料の構造だけなので、売上規模に応じてコスト計算だけで選べます。
STORESの特徴

画像出典:STORES
ネットショップ単体ではなく、キャッシュレス決済・POSレジ・予約システムを含む店舗運営サービス群として展開されています。2026年3月24日にプラン体系が刷新され、現在はフリープランとスタンダードプランの2種類です。
スタンダードプランではPOSレジなどの有料機能も追加料金なしで使え、決済端末も年間契約で1台無償貸出となります。
Shopify・BASE・STORESの基本機能を比較
ネットショップ運営に必要な機能は3サービスとも揃っています。異なるのは「標準で使えるか」「アプリの追加が必要か」「有料プランのみか」です。
注意したいのは、同じ「対応」でも中身が違う点です。独自ドメインはSTORESのフリープランでは設定できず、BASEはルートドメイン(example.com)が使えずサブドメイン(shop.example.com)での設定になります。
もうひとつ見落とされやすいのが顧客データです。BASEでは注文データをCSV出力できる一方、顧客情報そのものはダウンロードできないとヘルプに明記されています。将来の移行や外部ツールでの顧客リスト活用を考えるなら、押さえておきたい点です。
比較する前に整理したい4つの判断軸
判断の基準が定まっていないと、比較表だけでは決められません。次の4つを先に整理しておくのがおすすめです。
とくに月商・注文単価・注文件数は料金差に直結するため、後述のシミュレーションに当てはめて比較してください。
料金・手数料の比較
初期費用は3サービスとも0円です。差が出るのは月額費用と手数料の組み合わせになります。
※Shopifyは年払い、BASEのグロースプランは年払い、STORESのスタンダードプランは年契約時の月額
表面の料率と実質の負担が違う点に注意してください。BASEのスタンダードプランは決済手数料3.6%に見えますが、サービス利用料3%と1注文40円が加わり、実質6.6%+40円です。STORESはPayPalや「あと払い」、PayPay残高などで料率が上がります。ShopifyはVisa・Mastercard・JCBの国内カードが表の料率で、Amexや海外カードはBasicで3.9%になります。
月商別のコストシミュレーション
3つのサービスの代表的なプランについて、4つの月商パターンを元にシミュレーションを作成しました。シミュレーションの前提条件は以下の通りです。
- 平均注文単価10,000円
- Visa・Mastercard・JCBの国内カード決済100%(BASEのPAY IDアプリ経由の注文は含まない)
- 月額は年払い時の換算
- アプリ費用・送料・振込手数料は除く
※各社が実施している期間限定の特典やクレジットは含みません。
<月額費用+決済手数料の合計(月あたり)>
売上規模によって最安が入れ替わります。月商10万円ではSTORESのフリープランが最も安く、STORESのスタンダードプランとBASEのスタンダードプランも低い水準です。月商50万〜100万円ではShopifyのBasicプランとSTORESのスタンダードプランがほぼ並んで安くなり、月商300万円では公開料率で試算するかぎりBASEのグロースプランが最も低くなります。
ただし、STORESは月間売上200万円以上で個別の問い合わせを案内しているため、月商300万円では提示条件によって結果が変わる可能性があります。注文単価が低く件数が多い店舗ではBASEの「1注文40円」が重くなるなど、前提でも変動します。自店舗の数字で計算し直してください。
入金サイクル・振込手数料
BASEとSTORESは入金までに期間がかかります。特にSTORESは翌月末が基本のため、仕入れの支払いサイクルによっては注意が必要です。
振込手数料は少額のときに負担が増える点に注意してください。BASEは振込申請額2万円未満で事務手数料500円が加わり、合計750円が差し引かれます。STORESは入金額1万円未満の場合、翌月への繰り越しが基本で、「1万円未満でも振込」の設定を有効にしたときのみ事務手数料275円(合計550円)が差し引かれます。
決済方法の比較
サイト内の決済方法が不足していると、購入直前の離脱につながりかねません。それぞれのサービスの決済方法を確認しておきましょう。
日本国内の決済手段を標準で幅広くカバーしているのはBASEとSTORESです。Shopifyは海外の決済方法にも数多く対応しているため、越境ECを検討している方にとっては有力な選択肢となります。
なお、前述の決済手数料は決済方法によって変わることがあります。詳しくは各サービスの公式HPを確認してください。
機能・カスタマイズ性の比較
ここからはそれぞれのサービスにおける機能、カスタマイズ性を比較していきます。
デザインとアプリによる拡張
3サービスともテンプレートを使ってショップを作れますが、デザインをどこまで変更できるか、機能をどのように追加するかが異なります。
Shopifyはアプリとテーマによる拡張性が最も高い一方、有料アプリを増やすほどランニングコストも上がります。BASEは無料Appが中心ですが、ロゴ非表示や有料テーマには費用がかかります。STORESは自由なアプリ追加よりも、標準機能でシンプルに運用する設計です。
集客・販促機能
3サービスとも基本的な集客・販促機能を備えていますが、販売チャネルの拡張性や顧客データの活用方法に違いがあります。
検索コンテンツを積み上げたり、複数条件を組み合わせて顧客施策を行ったりする場合はShopifyの自由度が高めです。一方、BASE・STORESでも対象顧客を絞ったメルマガ配信など基本的な販促には対応できます。
越境EC・多言語・多通貨
Shopifyは多言語・多通貨や関税・輸入税の徴収などに対応しており、自社で越境ECを細かく設計したい場合に向いています。一方、BASEとSTORESは海外販売を代行する仕組みが用意されており、ショップ側は国内発送を中心に対応できます。
手軽さを重視するならBASE・STORES、本格的な海外展開を見据えるならShopifyが有力です。
運用・管理機能の比較
ショップ運用や管理機能の使いやすさも重要な観点です。
受注・在庫管理と実店舗連携
ネットショップだけを運営する場合、3サービスとも基本的な受注・在庫管理には対応できます。違いが大きくなるのは実店舗を併用する場合です。
STORESはネットショップ・POSレジ・キャッシュレス決済を同じサービス群で利用できるため、実店舗との一体運用に向いています。ShopifyもPOSに対応しますが、日本ではShopifyペイメントを対面決済に利用できないため、店頭決済には外部サービスが必要です。BASEは自社POSを持たず、スマレジなどとの外部連携で対応します。
外部連携と複数人運営
事業規模が大きくなるほど、外部システムとの連携やスタッフごとの権限管理が重要になります。
Shopifyのbasicプランではスタッフの追加はできず、スタッフを追加する運用をしたい場合には上位プランへのアップグレードが必要です。
※STORESの従業員管理は、一部の既存アカウントではシステムアップデートが必要です。
AIによる運営サポートの比較
Shopify・BASE・STORESはいずれも、AIを活用したショップ運営支援を取り入れています。ただし、得意な領域には違いがあります。
※BASEの「BASE AI」は2026年8月時点で一部ショップへの限定提供です。
Shopifyでは「Shopify Magic」で商品説明やメール、画像などを生成できます。さらに「Sidekick」では、ショップの売上データを分析したり、運営について質問したり、商品編集など一部の管理作業を実行したりできます。文章や画像を作るだけでなく、データ分析から実際の管理作業までAIを活用できる点が大きな特徴です。
BASEの「BASE AI アシスタント」は、商品説明やSNS投稿、問い合わせ返信などの文章作成や、ショップデザインの提案に対応。ショップ運営についてAIに相談できる「BASE AI」も提供していますが、2026年8月時点では一部ショップへの限定提供です。そのため、現状はコンテンツ作成を手軽に効率化したい場合に使いやすいAI機能といえます。
STORESの「STORES Play」では、売上や顧客データについてAIに質問すると、データを分析して回答や改善案を提示してくれます。また、問い合わせへの返信文をAIで作成する機能もあります。一方、商品説明や画像の生成、管理画面上の操作をAIに任せる機能は現時点ではありません。そのため、売上データをもとに現状を把握し、次の施策を考えたい場合に向いているのがSTORESの特徴です。
まとめると、コンテンツ作成を中心にAIを使いたいならBASE、売上分析や改善提案を重視するならSTORES、作成・分析・管理作業まで幅広くAIを活用したいならShopifyという違いがあります。
タイプ別におすすめのECカート
ここまでの比較を踏まえて、タイプ別のおすすめECカートを整理しました。
どのサービスが適しているかは、自社が何を重視するかによって変わります。まずは運営規模や販売チャネル、今後実現したいことを整理し、自社のタイプに合ったサービスを選びましょう。
Shopify・BASE・STORESへ乗り換える際の注意点
商品情報や顧客情報はCSVで移行できるケースが多い一方、レビューや定期購入の契約情報、ポイント残高は引き継げないのが一般的です。
特に注意したいのがBASEからの移行です。前述の通り顧客情報をダウンロードできないため、注文データに含まれる購入者情報を活用する方法はありますが、顧客リストとして一括で書き出せるわけではありません。リピーターを多く抱える店舗ほど、この制約は重く効いてきます。
なお、独自ドメインは引き継げても、商品ページやカテゴリページのURL構造はサービスごとに異なるため、乗り換え時にはリダイレクト設定が必要になる場合があります。一時的に検索順位が下がる可能性もあるため、繁忙期を避けて移行するのがおすすめです。
各サービスの料金だけでなく事業の成長を見据えて選ぼう
3サービスはいずれもネットショップとして必要な機能を備えており、どれかが明確に優れているという関係ではありません。違いが出るのは費用のかかり方、機能の提供のされ方、実店舗や海外への広がりやすさです。
選ぶときは、月商と今後の見込み、必要な機能と外部連携、販売チャネル、運用にかけられる人員の4つを先に整理するのがおすすめです。特に月商・平均注文単価・月間注文件数の3つが分かれば、本記事の試算を自店舗の条件に置き換えられます。
まずは直近3か月の売上データを開いて、この3つを書き出すところから始めてみてはいかがでしょうか。


