ECサイトの運営において、顧客からの問い合わせ対応は非常に重要な業務の一つです。しかし、事業規模が拡大するにつれて、様々なチャネルからの問い合わせが増加し、その管理が複雑化していきます。そこで注目されているのが「問い合わせ管理システム」です。本記事では、問い合わせ管理システムの機能やメリット、選び方、そして代表的なツールについて詳しく解説していきます。
問い合わせ管理システムの機能
問い合わせ管理システムとは、顧客からの問い合わせを一元的に管理・共有するシステムです。
出店店舗数や事業の規模が大きくなると、顧客からの問い合わせは自社のホームページだけでなく、SNSや各ECモール、チャット、LINEなど、チャネルが増えて対応漏れや対応遅れのリスクが高くなります。
複数の問い合わせ経路を1つにまとめ、チーム全体で共有することで問い合わせ業務を円滑に進めることができるのが、問い合わせ管理システムの機能です。
問い合わせ管理システムのメリット
問い合わせ管理システムを導入するメリットとしては以下の点が挙げられます。
- ①問い合わせを1つのツールにまとめて管理できる
- ②問い合わせ業務の対応ミスが減る
- ③担当者への負担が減り人件費削減に繋がる
- ④データから組織の運営改善が図れる
それぞれ、詳しく解説していきます。
①問い合わせを1つのツールにまとめて管理できる
メールや電話、SNS、ECモールなど、複数経路のある問い合わせを1つにまとめてツール内で管理することが出来ます。
②問い合わせ業務の対応ミスが減る
問い合わせ経路を1つにまとめることで、対応の遅れや漏れの防止に繋がります。
また、使用するツールの機能にもよりますが、誰かが対応中の問い合わせは他の担当者が編集できないようロックがかかったり、問い合わせごとにラベルを付けて担当者を振り分けることができるため、重複返信などのミスも減ります。
③担当者への負担が減り人件費削減に繋がる
今まで各チャネルを開き、1つ1つ問い合わせを確認する必要があったものが、1つのツールにまとまることで、問い合わせ業務に対する工数がかなり削減されます。
さらに、上記のようにシステムで担当者を割り振ったり、決まったテンプレートをそのまま使用できるシステムなどが用意されているツールもあるため、問い合わせ担当者への負担が減り、人件費削減にも繋がります。
④データから組織の運営改善が図れる
問い合わせのデータをシステムに蓄積することによって、問い合わせ内容や対応状況を表やグラフで見える化することが可能です。
これらのデータから顧客満足度の向上や、社内の業務・運営改善を図ることができます。
問い合わせ管理システムの選び方
自社に合った問い合わせ管理システムを選ぶためには、以下点に注意するようにしましょう。
①自社の問い合わせチャネルに対応しているか
自社で窓口を設けている問い合わせチャネルが対応しているのか、必ず確認するようにしましょう。例えばTwitter等のSNSからの問い合わせが多いのに、SNSに対応していない管理ツールを選んでも何も意味がありません。
②自社の問題に合った必要な機能が備わっているか
現状自社が抱えている問題が何なのかを明確にし、その問題を解決できるツールを選ぶようにしましょう。
例えば問い合わせの重複対応や対応漏れ等が問題になっている場合は、自動振り分け機能など、問い合わせの進捗状態をチーム全体で共有・可視化できるツールを選びましょう。
③セキュリティ対策は万全か
顧客データの漏洩やデータの消失は企業の信頼性に大きく関わります。使用するツールがセキュリティ対策をしっかり行っているのか、必ず確認するようにしましょう。
④操作性の良いUIかどうか
実際にツールを使用する問い合わせ担当者にとって、そのツールが使いやすいUIなのかどうかはとても重要なポイントです。無料のお試し期間を設けているツールも多いので、実際に担当者に触ってもらい、使用感を確かめてから選ぶと良いでしょう。
問い合わせ管理システムの代表的なツール7選
問い合わせ管理システムの代表的なツールをご紹介します。コスト面と機能面、それぞれのニーズに合ったツールをピックアップしました。実際に管理ツールを導入する際に、是非参考にしてください。
初期費用0円で始められる問い合わせ管理ツール
ビジネスの規模がまだ小さく、コストを抑えてとりあえずお試しでツールを導入したい方は以下のサービスがおすすめです。
ツール名 | 初期費用 | 月額費用 | 特徴 |
yaritori | 0円 | 980円〜/1ユーザー |
・14日間の無料お試し期間 ・メール、電話メモに対応 ・スマホのブラウザからも使用可能 |
メールワイズ | 0円 | 500円〜/1ユーザー |
・30日間の無料お試し期間 ・メール、電話に対応 ・7500社以上の企業に導入 |
freshdesk | 0円 | 0円〜 |
・21日間の無料お試し期間 ・事業の成長に合わせてプランをアップグレード ・幅広いチャネルに対応 |
サービスによって対応しているチャネルが異なるため、自社での問い合わせの種類や、今後の成長に合わせてアップグレードが必要になるかどうかも含めて検討すると良いでしょう。
多機能・マルチチャネルに対応可な企業向け問い合わせ管理ツール
ある程度顧客数も増え、メール以外にもLINEやSNS、ECモール等の様々なチャネルから問い合わせが来る企業は、以下のようなマルチチャネルに対応しているツールがおすすめです。
ツール名 | 初期費用 | 月額費用 | 特徴 |
Re:lation | 15,000円〜 |
12,800円〜 ※無料プランもある |
・Twitter連携でツイート、リプライ、DM返信もツール内で出来る ・対応中のメールはロックがかかるので二重返信防止に ・従量課金制ではないので、少人数で大量の問い合わせに対応する場合におすすめ |
メールディーラー | 50,000円〜 | 35,000円〜 |
・導入実績7000社以上 ・受注管理や在庫管理システムとの連携に長けている ・対応状況を自動的に管理し、返信遅れや漏れを防ぐ |
上記2つのサービスはメールや電話、SMSの他にも楽天やYahoo!ショッピングなどのECモールの問い合わせも、ツール内で一元管理することが可能です。
また、どちらのサービスも無料お試し期間が設けられているため、まずはツールを実際に使用してみると良いでしょう。
Shopifyにも対応している問い合わせ管理ツールは?
Shopifyの問い合わせを管理ツールで一元管理したい場合は、メールと連携可能なツールであればどのサービスでも利用することが可能です。
今回ご紹介している代表的な問い合わせ管理ツールは、全てメールに対応しています。
記事内の管理ツールを選ぶポイントを参考に、自社に合ったサービスを選びましょう。
まとめ
問い合わせ管理システムは、顧客とのコミュニケーションを円滑に行い、ビジネスの効率化と顧客満足度の向上に大きく貢献するツールです。主なメリットとして、問い合わせの一元管理、対応ミスの減少、担当者の負担軽減、データに基づく運営改善などが挙げられます。
システムを選ぶ際は、自社の問い合わせチャネルへの対応、必要な機能の有無、セキュリティ対策、操作性などを十分に検討することが重要です。また、初期費用や月額費用、対応可能なチャネルの種類など、各ツールの特徴を比較検討し、自社のニーズに最も適したものを選択しましょう。
問い合わせ管理システムの導入は、ECサイト運営の効率化と顧客サービスの向上に大きな効果をもたらします。自社の状況や将来の成長を見据えて、最適なツールを選択し、顧客との良好な関係構築に役立ててください。