Shopifyには実店舗での販売にも役立つPOSシステムが標準搭載されています。POS(ポイント・オブ・セールス)とは、実店舗での売上や在庫の管理を行うシステムのこと。オンラインサイトと実店舗の両方を運営している事業者の場合は、POSを導入することで在庫や売上等を連携して管理することができ、業務効率がぐっと向上します。
この記事では、Shopify独自のPOSシステムであるShopify POSのメリットや設定方法を徹底解説します。Shopifyを導入している事業者の方で、実店舗販売を検討している方はぜひごらんください。
※記事内の情報はすべて2024年8月現在のものです。
画像引用:Shopify 公式サイト
Shopify POSとは?
Shopify POSは、Shopifyが独自に提供する実店舗向けの販売管理システムです。Shopify POSを導入すると、実店舗で商品が売れたときの在庫状況などをリアルタイムで管理することが可能になります。
Shopify POSには、商品管理、在庫管理、顧客管理、売上分析などの基本機能はすべて備わっており、実店舗を運営をする事業者にとっては大変心強いツールといえます。
Shopify POSの導入メリット
在庫を一元管理できる
Shopify POSの最大のメリットは、実店舗とECサイトが一元管理できることです。
在庫管理は、実店舗とECサイトの両方を運営しているときの大きな課題のひとつです。売上が集中したり販売状況の連携に誤りが起こったりすると、欠品や過剰在庫になるおそれがでてきます。誤った在庫管理は、機会損出や顧客からのクレームにもつながります。
Shopify POSではECサイトと実店舗での販売状況がリアルタイムで連携・反映されるため、適切な在庫管理を自動で行うことができます。
顧客満足度が上がりリピートにつながる
実店舗とECサイトを一元管理することで、より顧客に寄り添った購買体験を提供することができます。
例えば、実店舗で購入した際に付与されるポイントをECサイトで利用できたり、ECサイトで購入した商品を店舗で受け取ることができたり、実店舗とECサイトを横断した施策も可能です。顧客満足度があがることで、リピーターの獲得にもつなげることができます。
Shopify POSを導入することで、より精度の高いマーケティング戦略をたてることも可能になります。
コスト削減につながる
Shopify POSの導入で販売管理が効率化することによって、スタッフの業務負担の軽減にもつながります。今まで手動で管理していた在庫や販売レポート分析などを自動で管理できるようになるため、日々の業務がスムーズに進行しコスト削減につながります。
また、Shopify POSの使い方はとてもシンプルなので、簡単に業務へ導入することができ、スタッフへの研修なども短時間で済みます。
Shopify POSにデメリットはある?
Shopify POSの導入は、ECサイトと実店舗の両方で販売をしている事業者にとって良いことばかりですが、導入には一定のコストがかかります。
Shopifyの契約が必要
Shopify POSはShopify独自のPOSシステムなので、導入するためにはShopifyの契約が必須になります。POSシステムの管理もShopifyの管理画面で行います。
決済サービスとの契約が必要
Shopify POSでクレジットカード決済などを行うためには、決済端末を提供している外部の決済サービスとの契約が必要になります。
決済サービスごとに使用できる決済方法や入金期間、決済手数料が異なるため、自社にあった決済サービスを選定する必要があります。
連携できるShopifyアプリが少ない
Shopifyにはオンラインストアを拡張するための8000以上のShopifyアプリが存在します。しかし、多くのアプリがPOSに連携できていない状況です。
例えば、Shopifyアプリを利用してオンラインストアで予約販売や新商品の発売予告を実施している場合、POSの商品へ反映されていないケースがあります。
Shopify POSの運用イメージ
複数店舗を運営している
上位プランであるShopify POS proでは、複雑になる在庫管理や顧客管理、売上分析も一元管理し自動連携できるため、大規模な店舗運営を行っていたり、複数の実店舗を展開している事業者におすすめです。
小規模な実店舗を運営している
Shopify POSは手軽に導入できることが大きな特徴です。Shopify POS liteはすべてのShopifyプランに無料でついているので、コストを抑えて販売を一元管理することができます。
イベントやマルシェに出店する
実店舗の販売以外にも、ポップアップやマルシェなどの販売でも役立ちます。手軽に持ち歩けるワイヤレス決済端末を導入すれば、外での販売や期間限定の販売も可能です。また、販売状況や在庫管理をリアルタイムに集計することもできます。
Shopify POSプランの選び方
Shopify POSには2通りのプランがあります。基本的なShopify POS Liteは、全てのShopifyプランに無料でついているので、プランに迷ったらまずはLiteで試してみるとよいでしょう。
Shopify POS Proは月額制で、より多くの機能が利用できるようになっています。自社の実店舗の規模や運営スタイルに合わせてプランを選んでください。
Shopify POSプランの特徴を比較
プラン名 | Shopify POS Lite | Shopify POS PRO |
---|---|---|
向いている店舗規模 | ひとつの実店舗を運営 | 複数の実店舗を運営 |
料金 | 無料(すべてのShopifyプランに付与) | 1店舗につき月額89ドル |
在庫管理 | ・オンラインと実店舗の在庫連携 | ・バーコードスキャナーを利用した在庫カウント ・需要予測など複雑な在庫分析 |
スタッフ管理 | ・登録スタッフ数に制限あり | ・登録スタッフ数に制限無し ・スタッフごとに権限を付与可能 |
返品 | 販売した店舗でのみ可能 | どの店舗でも返金が可能 |
Shopify POS Lite
Shopify POS Liteは、すべてのShopifyプランに無料でついています。在庫連携、販売管理など、実店舗での基本的な販売に必要な機能はすべてついており、コストをかけずに導入することができます。小規模な店舗や個人経営のビジネスなどに適した基本的なプランです。
下記のブログ記事ではShopifyプランに関して詳しく解説しています。ご参考にしてください。
【徹底比較】Shopifyのプランの選び方|料金・手数料・決済方法の違いについて
Shopify POS Pro
Shopify POS Proは、複数の店舗を運営していたりスタッフの数が多かったり、より複雑で高度な販売管理を必要とする事業者向けのプランです。
このプランでは、スタッフの権限設定、詳細な売上分析、カスタマイズ可能なレシートなど、大規模な店舗や複数の店舗を運営する事業者にとって役立つ機能が備わっています。
Shopify POSの設定方法
ステップ1:Shopify POSアプリのダウンロードとインストール
Shopify POSを使うためにはアプリのインストールが必要になります。アプリはパソコン、iOSやAndroidのデバイスでインストールが可能です。Shopifyの管理画面、App StoreまたはGoogle Playからダウンロードしてください。
インストール後、Shopifyアカウントにログインし、アプリ内でPOSの設定をおこなっていきます。
ステップ2:販売チャネルにPOSを追加
次に、Shopifyの管理画面で販売チャネルにPOSを追加します。
販売チャネルに追加することで、実店舗での販売データがShopifyの管理システムと同期され、オンラインとオフラインの販売状況を一元管理できるようになります。
ステップ3:商品と在庫の管理設定
販売する商品の販売チャネルを設定します。実店舗でのみ販売しているのか、ECサイトと実店舗の両方で販売していのか、商品ごとに設定を行います。
また、商品の登録が完了した後は、商品の在庫数が正しく反映されているか確認してください。これによって、実店舗とECサイトの両方で販売される在庫状況が正しく反映されます。
ステップ4:決済端末の導入
カードリーダーなどの決済端末を導入します。Shopify POSは、クレジットカード、デビットカード、モバイル決済など、さまざまな支払い方法に対応しており、外部の決済端末との連携もスムーズです。
これにより、顧客に対して多様な支払いオプションを提供できます。
Shopify POSと連携できる決済端末
Shopify公式からPOSに関するさまざまなハードウェアが提供されています。ただし、2024年8月現在、すべてのハードウェアは日本では適用外となっています。
ShopifyPOSにクレジットなどの決済端末を導入する場合は、任意の決済端末サービスと契約をしてください。決済端末を購入する場合とレンタルの場合や、決済手数料など、サービスによって特徴が異なります。店舗の規模や販売スタイル似合わせてサービスを選びましょう。
下記のブログ記事ではShopify公式が発売しているモバイル決済端末「Shopify POS Go」(※日本ではまだ未対応)について詳しく解説しています。近い将来の日本での対応に備えて、Shopify POS Goの詳細をチェックしましょう。
Shopify POS Goとは?Shopify公式のモバイル決済端末を徹底解説
決済端末以外の機器を活用する
Shopify POSでは、クレジット端末機などだけでなく、バーコードスキャナー、レシートプリンター、キャッシュドロワーなど、実店舗の決済に役立つさまざまなハードウェアとも連携できます。
Shopify POS導入時の注意
Shopify POSを導入する前や導入した後にも、スムーズな店舗運営をするために確認しておきたいポイントを紹介します。
使用する機種との互換性を確認する
Shopify POSを導入する前に、使用する決済サービスや使用する機器との連携が可能か確認しましょう。また、互換性の他にも、必要な機能が備わっているかも確認してください。
スタッフへの事前研修
POSシステムを導入するにあたり、店舗の業務フローにいつ・どのように組み込むか事前に計画し、スタッフへの研修を実施することが重要です。顧客との実際の決済を行う前に、事前にすべての決済パターンでシミュレーションを行い、実際にテストで決済を行っておきましょう。
メンテナンスやアップデートを行う
Shopify POSを利用しているときに発生するトラブルとして、ハードウェアの接続不良や、在庫データの同期ミスがあります。こういったトラブルを防ぐために、定期的なソフトウェアのアップデート情報や、システム稼働や連携状況の確認が重要です。
また、トラブルが発生した際に顧客を待たせることなく解決できるように、契約している決済サービスやShopifyへの問い合わせ経路を確認し、社内で共有しておくことをおすすめします。
Shopify POS を活用し売上拡大へ
Shopify POSは上手に活用することで、業務を効率化し顧客満足度の向上につなげることができます。まだ店舗販売を始めていない事業者の方でも、Shopify POSを活用することでまずは小規模にスタートさせることも可能です。まずは気軽に始めることができるShopify POS liteで、事業の可能性を広げていきましょう。