ShopifyでECサイトを運営していると、法人顧客から「請求書を発行してほしい」と依頼されることもあるでしょう。しかし、Shopifyの基本機能だけでは、日本の商習慣に合った請求書を発行することはできません。
「Shopifyでの請求書発行方法は?」
「Shopifyの請求書発行アプリを教えて」
「ECサイトの請求書と電帳法は関連があるの?」
この記事を読むことで、上記の疑問やニーズが解決します。
請求書発行については税法が関係してくるため、誤った対応をすると大きな損失を生じさせかねません。
この記事では、Shopifyで請求書が必要になるケースやインボイス制度・電子帳簿保存法の概要、請求書発行アプリなどについて、分かりやすく解説します。
ぜひストア運営の参考にしてください。
Shopifyで請求書が必要なのはどんな時?
一般消費者向けのECサイトでは、請求書の発行を求められるケースはほとんどありません。
しかし、法人や個人事業主の顧客が業務目的で購入する場合や、Shopifyストアで卸売・掛売などのBtoB取引を行う場合には、請求書(特にインボイス制度に対応した適格請求書)の発行を求められることがあります。
こうしたニーズが想定されるストアでは、あらかじめ請求書発行の仕組みを整えておくことが重要です。
Shopifyの基本機能には請求書発行機能はない
Shopifyには標準で請求書を発行する機能は搭載されていません。明細表の発行機能はありますが、そのままでは「請求書」としては使えません。
請求書が必要な場合には、請求書発行アプリや会計ソフトを導入して対応するのが一般的です。
請求書を発行する前に押さえたいインボイス制度と電子帳簿保存法
請求書を発行する場合、主にインボイス制度と電子帳簿保存法が関連してきます。これらの制度・法律について、しっかりと理解しておきましょう。
インボイス制度とは?
適格請求書等保存方式、通称「インボイス制度」は 2023年10月に始まった消費税の新ルールです。
課税事業者が仕入税額控除を受けるためには、「インボイス(適格請求書)」を保存する必要があります。
インボイスと見なされるには、以下の項目が記載されていることが必須です。
- インボイスの交付先である相手方の氏名または名称
- 売手(自社)の氏名又は名称及び登録番号
- 取引年月日
- 取引内容
- 10%・8%それぞれの対象となる対価の総額及び適用税率
- 10%・8%それぞれの対象となる対価の総額及び消費税額等
これらの記載がない場合にはインボイスと見なされず、相手方の課税事業者が仕入れ税額控除を受けられません。これはつまり、購入者が支払った消費税を差し引けなくなり、その分だけコストが増えてしまうことを意味します。
インボイスを発行しない、あるいはインボイス発行事業者の登録をしていない場合には、自社商品の購入を避けられ、販売機会を逸失する可能性があります。
このような事態にならないためにも、BtoB取引などの課税事業者を相手にするようなケースでは、インボイス発行事業者の登録をしておきましょう。
なお、インボイス発行事業者の登録には約1〜1.5ヶ月程度が必要なため、事前に申請を済ませておくことをおすすめします。
電子帳簿保存法とは?
電子帳簿保存法は、請求書や領収書といった国税関係書類を電子データで保存する際のルールを定めた法律です。2022年の改正でほぼすべての事業者が対象になり、猶予期間を経て2024年1月より義務化されました。
電子データ(PDF)で請求書を発行する場合、発行側にも電子帳簿保存法に基づいた保存義務があります。
Shopifyで発行した電子データの請求書を保存する際にも、電子帳簿保存法が定めた要件に従う必要があります。主なポイントは以下の通りです。
- 改ざん防止のための措置をとる
- 保存データを確認するためのディスプレイやプリンタ等を備え付ける
- 「日付・金額・取引先」の3つの要素で検索できる
詳しくは国税庁のホームページなどを確認してください。
Shopifyで請求書を発行する3つの方法
Shopifyで請求書を発行するには主に3つの方法があります。
1.Shopifyアプリで発行
Shopifyと連携できる請求書発行アプリを使えば、注文情報から自動で請求書を作成・送信できます。業務効率が高く、BtoB取引や発行頻度の多いストアにおすすめです。
アプリによっては、カスタマイズが必要だったり、月額費用がかかったりする点には注意が必要です。
2.会計ソフトで発行
多くの会計ソフトには請求書発行機能があります。Shopifyの注文データを連携することで、ショップの会計情報を管理するとともに、請求書の作成、発行が可能です。
経理業務を効率化できる反面、初期設定や操作に慣れが必要です。またShopifyと直接連携できない会計ソフトの場合には、データ連携の手間が発生します。
この方法は中規模以上のストアや法人に向いています。
3.手動でPDFを作成して発行
注文情報をもとに、Excelやスプレッドシート、テンプレートで請求書を作成し、PDF化して顧客に送る方法です。費用はほとんどかかりませんが、手間が多くミスも起こりやすいため、請求書発行が少ない小規模ストアに向いています。
Shopifyの請求書発行アプリ2選
Shopifyの請求書発行アプリを厳選して2つ紹介します。
Shopify Order Printer

画像出典:Shopify Order Printer|Shopifyアプリストア
Shopify Order PrinterはShopifyの公式が提供する帳票アプリです。Shopify Order Printerを使えば、注文情報から請求書、納品書、領収書などを発行することができます。このアプリの最大のメリットは無料で利用できる点です。
ただし、注意点が2つあります。一つめは操作画面が日本語に対応していない点です。対応言語は英語のみのため、英語に不慣れな方は翻訳アプリなどを活用する必要があります。二つめは帳票のカスタマイズには、HTMLやCSSなどのコーディングの知識が必要な点です。特にインボイス制度に対応した請求書を発行するにはカスタマイズが欠かせません。
自身でカスタマイズができない場合には、テンプレートを販売している事業者から購入するのがおすすめです。
Shopify Order Printerについて詳しくは以下の記事をごらんください。
Mixlogue Quick Order Printer

画像出典:Mixlogue Quick Order Printer|Shopifyアプリストア
Mixlogue Quick Order Printerは、日本の企業が提供している帳票発行アプリで、操作画面は日本語に対応しています。専門的な知識は不要で、操作も簡単。
インボイス制度に対応した請求書の発行も可能で、ロゴや印影の掲載もできます。このアプリの月額利用料は9ドルで、7日間の無料体験期間があります。
Mixlogue Quick Order Printerについて詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にしてください。
Shopifyとの連携に適した会計ソフトはfreee会計

画像出典:freee会計
中規模、大規模なBtoBショップの場合、会計ソフトで請求書を発行するのもおすすめです。
会計ソフトのfreee会計はShopifyと連携することが可能で、Shopifyの注文情報を元に請求書を発行可能です。freee会計はインボイス制度や電子帳簿保存法にも対応しています。
法人の場合の年払い料金は35,760円〜、個人事業主の場合の年払い料金は11,760円〜で、規模によって料金が変わります。
Shopifyとfreee会計の連携方法については、以下の記事で詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。
マネーフォワードクラウド会計や弥生会計を使用している場合には、Shopifyの注文データをCSVファイルで出力し、それぞれの会計ソフトに読み込ませることで連携が可能です。詳しい方法については、各会計ソフトのサポートに確認してみてください。
請求書の制度・法律を確認して、適切に請求書を発行しよう
この記事では、Shopifyで請求書を発行する方法や関連する制度・法律、請求書発行アプリなどについて解説しました。
B to B向けのECサイトを運営している事業者は、請求書を発行する機会が特に多いでしょう。関連する税法に対応していないと、販売機会を逸失したり、税務調査でペナルティを受けたりする可能性があります。
今回の内容を参考にして法律に則り、自社に合った方法での請求書発行対応を検討してみてください。