日本の越境ECの市場規模は年々拡大しています。経済産業省が発表している2022年度の公開データでは、アメリカからの購入額は約1兆3千億円、中国からの購入額は約2兆2千億円にも登っています。
Shopifyは越境ECに適したプラットフォームです。この記事では、Shopifyで行う越境ECの基本設定、集客・顧客サポートの課題、運営を支える実用的なアプリの紹介まで、越境ECに関する情報を幅広く解説します。Shopifyを活用して、グローバルなビジネス展開を目指しましょう。

画像引用:経済産業省 電子商取引に関する市場調査
Shopifyで越境ECをするメリットとは?
Shopifyで越境ECを始めることは、手軽に開始できること以外にも多くのメリットがあります。

画像引用:Shopify プレスリリース
多言語・多通貨に対応
Shopifyは多言語・多通貨対応機能がとても優れています。複数の言語や通貨を簡単に設定できるため、各国の顧客に合わせたローカライズが可能です。特に、Shopifyの自動換算機能は、異なる通貨での取引を容易にし、顧客の購入ハードルを下げることにつながります。
※自動換算機能はShopifyプランや適応の要件があるので注意が必要です。

画像引用:Shopify プレスリリース
決済方法の豊富さ
Shopifyは、世界各国で利用されている多種多様な決済方法に対応しています。顧客は自国で一般的に使用している決済手段で支払いを行えるため、購入率の向上につながります。
クレジットカードやPayPal、Apple Pay、Google Payなど、さまざまな決済方法が提供できることは、越境ECでの大きなメリットです。
下記のブログ記事ではShopifyで利用できる決済方法を紹介しています。ご参考にしてください。
配送手続きを簡略化するアプリ
越境ECでは、配送が大きな課題となります。Shopifyアプリには越境ECの配送に対するアプリも多く存在し、配送の課題を簡略化することが可能です。ラベル印刷や追跡情報を一元管理するアプリや、海外への配送料を自動計算し顧客に表示するアプリなど、自社の課題に合わせて活用しましょう。
下記のブログ記事ではShopifyで配送設定に関して詳しく解説しています。ご参考にしてください。
Shopifyで越境ECを始めるための初期設定
Shopifyで越境ECを始める際には、確認と設定が必要な項目があります。日本向けショップを運営しておらず、一から越境EC用のショップを立ち上げる場合、基本的には日本向けショップと同様の手順で立ち上げます。
自社のブランディングにあったテーマを使用してサイトを立ち上げ、商品ページの作成、価格設定、通貨の選択などを行っていきます。
関連記事:Shopifyの始め方(構築方法)|会員登録からストア開設(立ち上げ)までの流れ
多言語・多通貨対応の設定
越境ECでは、ターゲット国に合わせた言語や通貨の対応が必要になります。Shopifyのテーマやアプリによっては、複数の言語や通貨を簡単に設定できる機能があります。
また、自動換算機能が搭載されているデザインテーマを利用することで、顧客が自国の通貨で価格を確認できるようになります。デザインテーマ以外にもアプリで自動換算機能を追加することも可能です。

画像引用:Shopify プレスリリース
越境ECに必要な税率と関税設定
越境ECでは、税率や関税の設定がとても大切です。配送先の国の税法や関税ルールに従い、正確な金額を設定することが必要になります。
Shopifyでは関税と輸入税を自動で徴収できる機能が搭載されていますが、使用できるストアの要件が決められているため、すべてのストアに対応しているわけではありません。
Shopifyで越境ECを始める7つのステップ
Shopifyを利用すれば、世界中の国や地域へあなたの商品を簡単に販売できます。この章では、Shopifyで越境ECを始めるための基本的な手順を7つのステップに分けて、簡潔に解説します。
STEP1. 販売先の国や地域を決める
はじめに、自社の商品をどの国や地域で販売したいかを決めます。市場の規模やニーズだけでなく、その国で商品を販売することが法的に可能か、どのような規制があるかを確認することが重要です。特に、化粧品や食品、電化製品などは注意が必要です。
また、商品にかかる関税や現地の税金についても事前に調べておきましょう。
STEP2. 発送方法を決める
商品を海外の顧客へ届けるための発送方法を選びます。日本郵便の国際郵便サービス(EMSなど)や、DHL、FedExといったクーリエ(国際宅配便)が主な選択肢です。サービスによって料金や配送スピード、追跡サービスの有無、補償内容が異なります。自社の商品の価格帯や特性に合わせて、最適な発送方法を検討しましょう。
STEP3. 多言語・多通貨対応をする
ターゲット国に合わせて、多言語や多通貨の対応をします。テーマによっては複数の言語や通貨の表示に対応しているものもありますし、対応していないテーマでもアプリを導入すれば対応が可能です。これにより、顧客は母国語でサイトを閲覧でき、商品価格を現地通貨で確認できます。
Shopify Paymentsを導入することで、顧客は現地通貨での決済が可能になります。
Shopifyの言語設定についてはこちらの記事をご覧ください。
STEP4. Shopify Marketsを設定する
Shopify Marketsは、越境ECに必要な設定を一つの画面でまとめて管理できる非常に便利な機能です。この機能を使って、STEP1で決めた国や地域を「マーケット」として登録します。
これにより、マーケットごとに異なる言語、通貨、価格、関税の表示などを一元的に設定・管理できるようになります。
Shopify marketsについて詳しくは、以下の記事をご覧ください。
STEP5. 送料を設定する
STEP2で決めた発送方法の料金体系に基づき、Shopifyの管理画面で海外向けの送料を設定します。
国や地域をグループ化する「配送ゾーン」を作成し、注文の合計金額または重量に応じて、送料が自動で計算されるようにルールを定めます。
STEP6. 越境ECに必要な税率と関税を設定する
越境ECでは、税率や関税の設定がとても大切です。配送先の国の税法や関税ルールに従い、正確な金額を設定することが必要になります。
Shopifyでは関税と輸入税を自動で徴収できる機能が搭載されており、2025年6月のアップデートですべてのプランで利用できるようになりました。
下記のブログ記事では、Shopifyで関税を設定する方法を詳しく解説しています。ご参考にしてください。
STEP7. ポリシーページを整備する
海外の顧客向けに、ストアのポリシーページを整備することで、トラブルを未然に防ぐことができます。主なポリシーページは以下です。
- 配送ポリシー(Shipping Policy)
- 返金ポリシー(Refund Policy)
- プライバシーポリシー(Privacy Policy)
- 利用規約(Terms of Service)
これらの内容を越境EC向けに編集し、ストアのフッターやチェックアウト画面などに表示して、誰でも閲覧できるようにしておきましょう。
以上が、越境ECを始めるための基本的なステップです。他にも、販売先の国や地域でよく使われる決済方法を導入したり、各国や地域ごとにドメインを設定したりするなど、必要に応じて設定を行いましょう。
Shopifyの越境EC運営の課題
Shopifyでの越境ECには多くのメリットがありますが、越境EC特有の課題ももちろん存在します。ここでは、越境EC特有の課題と解決法を解説します。
越境ECでの顧客サポート
越境ECでは、母国語が異なる顧客への対応が必要となります。顧客サポートをスムーズに行うためには、多言語対応のチャットボットやFAQページの整備が有効です。
また、Shopifyの多言語アプリや外部の翻訳アプリなどを活用することでも、顧客とのコミュニケーションを円滑に進めることができます。
国ごとの法規制への対応
越境ECを運営する際、国ごとの法規制に注意する必要があります。各国の法律や規制に従って、適切な商品表示や税金計算を行うことが求められます。
特に、EU圏内ではVAT(付加価値税)やGDPR(一般データ保護規則)の遵守が重要になります。Shopifyでは、これらの法規制に対応するためのツールやアプリも提供されており、事前に十分なリサーチと設定を行いましょう。
越境ECの注意すべきコスト
越境ECを運営する際、効率的なコスト管理は大変重要なポイントです。越境ECならではの送料や関税・税金などのコストを最適化する方法について詳しく解説します。
配送業者を比較する
越境ECでは送料が金銭面でも作業面でも大きな負担になる場合があるため、配送業者の選定がとても重要です。複数の配送業者を比較し、それぞれの送料、配送速度、サービスの質を検討しましょう。
また、Shopifyのアプリを活用して、各国への送料を自動計算する機能を導入することで、顧客に正確な送料を提示できるようになります。送料を抑えるためには、複数の配送業者を使い分けたり、特定の地域への配送契約を見直すことも効果的です。
関税と税金の計算方法
越境ECでは、関税や税金が商品の価格に大きく影響を与えます。正確な計算を行うためには、各国の税制や関税率を理解し、それに基づいた価格設定を行うことが不可欠です。
Shopifyアプリには、関税や税金を自動計算する機能などもあります。アプリを活用しながら、煩雑な税計算を自動化していきましょう。
越境ECに役立つShopifyアプリ5選
越境ECストアを効率的に運営するためには、Shopifyアプリの導入が役立ちます。多言語などに対応が必要な物流や税務、顧客対応などの業務を自動化・簡素化することが可能です。
日本からの越境ECにおすすめのアプリを紹介します。
Ship&co:発送ラベル発行アプリ

画像引用:Ship&co
Ship&coは、複数の配送業者を一元管理できる配送管理アプリです。Shopifyと連携することで、注文情報を自動的に取り込み、発送ラベルの印刷や追跡番号の通知を簡単に行えます。
Ship&coは、主要な国際配送業者に対応しており、配送手続きの効率化が可能です。さらに、複数のマーケットプレイスとも連携可能なことも特徴です。
EasyRates:日本郵便

Easy Rates 日本郵便は、日本郵便の国際郵便サービスを利用して送料計算を自動で行うアプリです。Shopifyと連携することで、商品の重量やサイズに基づいて日本からの正確な送料を算出し、顧客にリアルタイムで提示することが可能です。また、追跡機能も備わっており、顧客に安心感を提供することができます。
EAS EU & UK Compliance:EU向けの税計算アプリ

EAS EU & UK ComplianceはEU向けのVAT(付加価値税)の自動化や税計算を行うアプリです。アプリは日本語対応はしていませんが、日本郵便のアプリと連携させることができます。良質なアプリの証明でもあるBuilt for Shopifyを取得している信頼のおけるアプリです。
RuffRuff 予約販売:様々な言語での販売施策に
「RuffRuff 予約販売」はShopifyストアで簡単に予約販売を実現できるShopifyアプリです。本アプリを上手く活用することで「期間限定販売」や「期間限定セール」、「発売前予告」、「繰り返し販売」、「会員限定セール」、「VIP限定販売」、「後払い」などの様々な販売も可能です。
RuffRuff 予約販売で設定できる文言は全て翻訳可能ですので、様々な言語での販売施策に活用できます。
RuffRuff 注文制限:様々な言語での購入制限に
「RuffRuff 注文制限」はアプリ1つで個数制限や金額制限、同梱制限、会員制限、決済制限を実施できるShopifyアプリです。
日本初のCart and Checkout Validation APIを利用したShopify アプリで、これまでフロントでしか対応できなかった注文制限の処理をサーバサイドで実現しました。そのため、既存の注文制限アプリに比べ、より突破されにくい堅牢な注文制限を実現することが可能です。
RuffRuff 注文制限で設定できる文言は全て翻訳可能ですので、様々な言語での購入制限に活用できます。また、言語を条件に決済の非表示が可能なため、ストア上で英語を選択しているお客様の場合は、日本人向けの決済方法を非表示にすることも可能です。
Shopifyで越境ECを始めよう
この記事では、Shopifyを活用した越境ECの始め方からおすすめアプリまで、越境ECについて幅広く解説しました。Shopifyの機能と実用的なアプリを活用することで、手軽に越境ECをスタートさせることが可能です。越境ECに挑戦したい方はShopifyを活用していきましょう。
最後に、下記のブログ記事では越境EC運営に役立つアプリ以外にも売上拡大や業務効率化などにおすすめのShopifyアプリをジャンル別に紹介しています。ご参考にしてください。