楽天市場でショップを運営していると、集客力の強さを実感する一方で、手数料や広告費の負担が大きいと感じることはありませんか?さらに、ポイント還元のコストもかさみ、利益が思うように出ないと悩む方も多いのではないでしょうか。
「Shopifyに移行すれば、もっと自由にビジネスを成長させられるかもしれない」そんな期待を抱く方に向けて、この記事では楽天市場からShopifyへの具体的な移行方法や、両プラットフォームのコストとメリットの違いをわかりやすく解説します。
運営コストや集客に悩む方にとって、役立つ情報がきっと見つかるはずです。
Shopifyと楽天市場の違いとは?運営コストで徹底比較
楽天市場でのショップ運営は、日本国内での集客力の高さが大きなメリットです。多くの消費者が利用するこのモールで販売を開始すれば、初期段階から売上を上げやすく、集客面で恩恵を感じるショップオーナーも多いでしょう。
しかし、売上があがるにつれて運営コストも増えていくデメリットがあります。
ここからは、楽天市場とShopifyのコストの違いについて詳しく見ていきましょう。
楽天市場とShopifyの運営コスト
画像出典:楽天市場
楽天市場とShopifyの手数料比較
楽天市場では、初期登録費用として60,000円が必要です。さらに、月額使用料は最低でも25,000円(税込)かかり、楽天ペイ利用料やR-Messeなど、運営を便利にするオプション機能にも追加の費用が発生します。加えて、商品が売れるたびに販売手数料やシステム利用料、決済手数料が加算されるため、売上が増えると手数料負担も増える仕組みです。
このため、売上が上がるほど手数料や月額コストが大きくなる傾向にあります。
Shopifyは初期登録費用が0円で、月額使用料は最低でも3,650円(年払いの場合)で利用可能です。売上に応じた追加手数料は発生しませんが、クレジットカード決済手数料が必要です。Shopifyでは月額料金が固定されているため、売上が増えても固定のプラットフォーム費用は増えず、コストを予測しやすい点が大きなメリットです。
画像出典:Shopify
楽天市場とShopifyの広告費
楽天市場では、商品を目立たせるために楽天広告やバナー広告の利用が一般的です。特に競合が多いカテゴリーでは広告を使わないと集客が難しいため、追加の広告費がかかります。さらに、特定のキーワードで検索上位に表示されるには広告費用を増やす必要があり、全体的な運営コストが高くなる傾向にあります。
一方、Shopifyにはプラットフォーム内の広告枠がなく、SNS広告やGoogle広告、SEO対策などを自社の判断で運用できます。ターゲット顧客や予算に合わせた広告運用が可能で、柔軟にマーケティング戦略を採れる点が楽天市場と異なります。広告費の調整もしやすく、楽天市場に比べてコストをコントロールしやすいのが特徴です。
楽天市場とShopifyのポイント還元
楽天市場は、楽天ポイントを通じて顧客にポイント還元を行う仕組みを取り入れており、これが集客効果を高める役割を果たしています。ただし、ポイント還元の費用はショップ側が一部負担するため、売上が増えるほど負担も大きくなり、収益に影響することがあります。
Shopifyには標準でポイント還元プログラムはありませんが、アプリを通じてポイントプログラムを導入できます。還元率や対象商品なども自由に設定可能で、自社の利益に応じて調整できるため、楽天市場と違いコストを抑えやすいです。ポイント還元を行わない選択もでき、収益の安定化に役立ちます。
関連記事:Shopifyのポイントアプリ6選|ポイントサービスを導入するメリット・デメリット
Shopifyに移行するメリット|自由な運営と独自ブランドの強化
画像出典:Shopify
楽天市場は日本国内での知名度が高く、モール自体の集客力が大きな強みです。その一方で手数料や広告費など、運営にかかるコスト負担も少なくありません。
こうした負担を減らしながら、自社のペースでビジネスを成長させたいと考える方は、Shopifyへの移行を検討してみてはいかがでしょうか。
ここでは、Shopifyに移行することで得られる3つのメリットについて解説します。
1. 自由な運営とデザインのカスタマイズ
Shopifyは、ショップの外観やレイアウトを自由にカスタマイズできる点が大きな魅力です
Shopifyには190種類以上のデザインテンプレートがあり、業種やブランドのイメージに合ったデザインを選ぶことでオリジナルのショップが開設できます。
テンプレートはファッション、飲食、健康・美容などのカテゴリごとに揃っており、ブランドの個性やターゲット層に合わせたビジュアル表現が可能です。ロゴやカラー、フォントなども自由に組み合わせられるため、他ブランドとの差別化がしやすくなります。
特に、独自の世界観を大切にしたいショップオーナーにとって、Shopifyのデザイン自由度は大きなメリットと言えるでしょう。
関連記事:Shopifyテーマ10選 | デザインテンプレートの選び方、無料テーマやOS2.0テーマなどの種類も紹介
また、楽天市場のようにページデザインや商品設定に細かいルールがないため、販売方法や顧客対応もビジネスモデルに合わせて柔軟に設定できます。オーナーの意図に沿った商品ページ作りや、他にはない接客スタイルを反映しやすく、独自性をアピールできるでしょう。
2. 顧客データを活用した関係構築
Shopifyでは、顧客データをショップが直接管理できるため、購入者の傾向や好みに応じたマーケティングが可能です。顧客とダイレクトに繋がれるので、再購入を促す戦略や、会員プログラム、限定オファーの提供など、個別対応を柔軟に行えます。
一方、楽天市場では、購入者が「楽天会員」として扱われ、ショップ側が直接顧客と関係を築くのが難しいですが、Shopifyなら自社の顧客として管理できるため、リピーターの育成がしやすい環境が整っています。
リピーターの増加が長期的な収益につながり、安定した顧客基盤の構築にも役立つでしょう。
3. 柔軟な集客手段とマーケティング戦略
Shopifyを利用する大きなメリットの一つは、自由な集客方法とマーケティング戦略を選べる点です。楽天市場のようにプラットフォーム依存の集客ではなく、SNS広告やGoogle広告、SEO対策、メールマーケティングなど、様々な手法を駆使してターゲット顧客にリーチできます。
また、Shopifyアプリを活用すれば、顧客レビューの表示やアフィリエイトプログラム、カートリマインダー(購入促進通知)など、様々な集客施策も実行できます。
広告費やキャンペーンのタイミングを自社の状況に合わせて柔軟に調整できるため、長期的なブランディングやファン作りにもつながります。
関連記事:Shopifyと相性の良いマーケティング施策15選|成功させるコツも紹介
Shopifyに移行するデメリット
楽天市場からShopifyへの移行にはさまざまなメリットがありますが、デメリットも存在します。ここでは、移行にあたって特に注意したい4つのポイントを解説します。
1.集客力を自力で確保する必要がある
楽天市場では、モール自体に多くの顧客が集まるため、初期段階から一定の集客効果が見込めます。一方、Shopifyに移行すると、自社でSNSやSEO、広告などの集客戦略を考え、実施する必要があります。特に運営開始直後は、自社で集客力を高めるための手間とコストがかかることがあります。
2.ポイント還元の効果が弱まる
楽天市場では、楽天ポイントを使えることが購入者にとってのメリットとなっており、消費者の購入意欲を引き上げる役割を果たしています。Shopifyには標準でポイント制度がなく、別途アプリを導入する必要があります。そのため、楽天ポイントの利用が根付いている消費者にとっては、Shopifyでの購入動機が弱まる可能性があります。
3.楽天市場特有の信頼性が減る
楽天市場は大手プラットフォームであるため、消費者にとって信頼感がある点が魅力です。新たにShopifyで独自運営を始めると、消費者が「このサイトは安全か」「しっかりした運営会社か」と不安を抱く場合もあります。特に、ネットショップを新規に立ち上げる場合、消費者の信頼を得るまでに時間がかかる恐れがあります。
4.広告効果の違い
楽天市場では、広告枠が整備されており、カテゴリやキーワードに応じて集中的に表示することで、一定の効果が見込めます。Shopifyに移行した場合、SNS広告やGoogle広告といった手法に切り替わりますが、楽天市場のように「特定のモール内で優位に立つ」広告効果はなく、場合によっては集客効果が楽天市場よりも落ちることがあります。
楽天市場からShopifyへの移行方法
楽天市場からShopifyに移行する手順は主に2通りの方法があります。
①ShopifyのCSVファイルに楽天市場のデータをコピーしてShopifyにアップロードする
②Shopifyアプリ「Matrixify」を使用して移行する
商品情報の一括移行や商品情報以外のデータを移行したい場合はMatrixify(一部有料)の活用がおすすめです。
また、楽天市場のレビューは引き継がれない点も覚えておきましょう。
楽天市場からShopifyへの移行|CSVアップロード
CSVによる移行については主に以下の3ステップです。
- ShopifyからサンプルCSVファイルをエクスポート
- サンプルCSVファイルに楽天市場のデータをコピー
- Shopifyにアップロード
1.ShopifyからサンプルCSVをダウンロードする
商品データのインポートはまずはサンプルCSVをダウンロードします。商品管理からインポートを選択し「サンプルCSVをダウンロード」をクリックしてください。
2.ShopifyからダウンロードしたサンプルCSVをGoogleスプレッドシートにインポートする
Googleスプレッドシートを新規作成し、左上のファイルからインポートをクリックします。文字化けを防ぐためにもGoogleスプレッドシートでの作業がおすすめです。
インポートの画面が表示されたら、アップロードを選択
ShopifyのCSVファイルと楽天市場のCSVファイルをそれぞれ別のシートでアップロードします。
- インポート場所:新しいシートを挿入する
- 区切り文字の種類:自動的に検出する
3.楽天市場のCSVデータをShopifyのサンプルCSVデータにあわせて貼り付ける
楽天市場の商品CSVのデータは、管理画面RMSの商品ページ編集画面からダウンロードします。 商品管理ページ画面>2.CSV一括編集>CSVダウンロードの順で進んでください。
ダウンロードしたデータの情報を、ShopifyのサンプルCSVデータの対応する部分に貼り付けます。
なお、Shopifyはカナダ発のECプラットフォームのため、CSVファイルは英語表記になっています。
項目ごとの詳しい内容は
を確認してください。
4.作成したShopifyシートをダウンロード
ファイルからダウンロードを選択し、カンマ区切り形式(.csv)でダウンロードします。
5.商品管理または顧客管理からそれぞれのCSVファイルをインポート
CSVファイルをインポートをするとプレビューが表示されます。プレビュー画面を確認してインポートを完了させてください。
楽天市場からShopifyへの移行|Shopifyアプリ「Matrixify」
画像出典:Shopify app store
Matrixifyは楽天市場のデータを一括でShopifyにインポートできる便利なアプリですが、日本語に対応はしていません。また、Demo版は商品データ10件までは無料ですが、プランごとに月額で費用が発生するので注意してください。
なお、Matrixifyについて詳しくは下記のブログをごらんください。
参考:Shopifyデータをインポート&エクスポートする「Matrixify」とは?
楽天市場とShopifyは連携が可能
楽天市場とShopifyは、それぞれ異なる強みを持つプラットフォームですが、両者を連携させることも可能です。
Shopifyの管理画面上で販売チャネルに楽天市場を追加することで、Shopifyの管理画面上で商品登録や受注管理を一括で行うことができます。すでに両方の店舗を運営している事業者にとっては、運営コストを減らすことに繋がります。
なお、Shopifyと楽天市場を連携させるためには、楽天市場に出店していること、また別途楽天市場側でCSV一括編集機能(有料)に申し込む必要があり、追加でコストがかかることに注意しましょう。
両方のプラットフォームを使いわけ、楽天市場の集客力とShopifyのブランディング力を最大限に活用することで、安定した売上基盤と長期的なファン作りが実現します。
Shopifyを活用して理想のEC運営を目指そう
楽天市場とShopifyは、それぞれ異なる強みと特徴を持つECプラットフォームです。楽天市場は高い集客力が魅力ですが、運営コストが増えやすく、楽天市場のルールに沿った運営が求められます。一方、Shopifyは初期費用や手数料を抑えつつ、自由にブランドイメージを反映させたサイト作りや、顧客との直接的な関係構築が可能です。
両プラットフォームの強みを理解し、それぞれのメリットを活かした運用戦略が求められますが、楽天市場とShopifyを併用して相乗効果を生むことで、安定した集客と自由な運営を両立し、ビジネスの成長を目指しましょう。