【ストアインタビュー】“売れすぎない”ことで、顔が見えるものづくりを積み上げる:株式会社ノグチニット 上坪裕子様

【ストアインタビュー後編】“売れすぎない”ことで、顔が見えるものづくりを積み上げる:株式会社ノグチニット 上坪裕子様

ニット工場として長い歴史を持つノグチニット。2012年から下請け事業から自社ブランドを始め、着実にファンを増やしてきた背景には、SNSや広告といった「外向きの施策」と、現場の生産体制という「内側の事情」をどうすり合わせていくかという絶え間ない試行錯誤がありました。

ストアインタビュー後編では、Shopifyを軸にした販売運営のリアル、広告の導入に踏み切った経緯、そして製造現場と向き合うブランドとしてのスタンスについて伺っていきます。

OEMから自社ブランドの確立について詳しくお伺いしたインタビュー前編はこちら。

株式会社ノグチニット 上坪 裕子さん

(株式会社ノグチニット 上坪 裕子さん)

”売れてからお金を使う”鉄則

―― 自社ブランドのECを本格化していく中で、ECの肝となる集客はどのように行っていきましたか?

上坪さん 最初はInstagramでした。でも、通常の投稿では思うように売上は伸びなかったんですよね。SNSは正直、今も苦手意識があります(笑)。投稿しても反応がわかりづらいし、「本当に届いてるのか?」と感じることが多くて。ただ、インスタライブだけは目に見えて売上が上がるので、それは今でも効果を感じています。

SNSがうまくいかなかった分、広告の重要性に気づくのが早かったかもしれません。特にMeta広告との相性が良くて、効率よく集客できるようになりました。

―― SNSや広告の運用面で、特に意識している点はありますか?

上坪さん Meta広告では、冬のニーズが高まる時期に絞って広告を出し、登録してくれたお客様にLINEやメルマガで福袋や新色のお知らせをする。とにかく「もう一度買ってもらう」導線を意識しています。

広告は数値が見えるので、Shopifyと連携すれば、どの商品ページから売れたか追えるので、「売れるページに広告をかける」という考え方にシフトしました。

最初は広告をかけるのも怖かったんですけど、売れるとわかったページにかけることで、“先にお金を出す怖さ”を少しずつ減らしていきました。もともと「お金は売れてから使う」という方針だったので、広告は先にお金がでるからドキドキしますよね。

結局は「売れるかどうかを試してから、お金を使う」っていう私たちなりのやり方を崩さずに、少しずつ拡大してきたっていう感じです。

ノグチニットの商品ページ

レビューが最大の販売促進の力になる

上坪さん あともう一つ、レビュー施策にはすごく力を入れてるんです。Shopifyアプリの「Judge.me」を使って、レビューが商品ページにしっかり蓄積されていくようにしています。レビューが増えるほど、その商品は売れるようになる感覚があるんですよ。

レビューはお客様の信頼を作ってくれるんです。私が語るより、実際に買ってくださった方の声のほうがずっと強い。そのことをすごく実感しています。

―― レビューを集めるにも、お客様との関係性が必要ですよね。日々の運営の中で、顧客対応や関係性づくりでは何を大切にしていますか?

上坪さん minneやCreemaで販売していた時期が長いんですが、minneやCreemaにはチャット機能があるんですよ。注文が入ったらそこから購入者とやり取りが始まる。最初のころは自動返信もなくて、全部手動で1通ずつ送ってたんです。

そのときに、すごく丁寧にやりとりする癖がついたんですね。お客さんが過去に何を買ってくれて、どんなことを言ってくれたか、履歴を全部見ながら「この人はこういうのが好きかも」って想像して、メッセージを送る。

それが染みついてるのかもしれません。今もCS対応は基本私ひとりでやっています。効率は悪いけど、それが「ノグチニットらしさ」につながってる気がしていますね。

撮影も、広報も、学びも。「良い人と出会う」積み重ね

―― ノグチニットさんのInstagramでは商品とモデルさんの絶妙な空気感がとても印象深いですが、商品撮影やイメージショットはどのように撮影を行われているのでしょうか?

上坪さん 以前、それまで使っていた写真を「これじゃダメ。絶対に変えたほうがいい」って言われたことがあって。そこから本気で取り組むようになりました。

モデルさんとの撮影に関しては、やっぱり人と会うことが大事だと思っています。最初のモデルさんは、知人の紹介の方で、その方にお願いして、撮影場所は小道具屋さんでセッティングしたり。服のスタイリングも、「この色味の服をユニクロで買ってきてください」と、写真付きで指定してもらって。全部整えてもらって、私はそこに乗っかる形で学びながら進めました。

―― モデルさん探しも、学びながら積み上げてきたのですね。

上坪さん その後は、Instagramで「関西サロモ」のようなハッシュタグをたどって、撮影投稿からモデルさんを探しました。片っ端から気になる方をフォローしていると、その方のストーリーズからまた別のモデルさんを見つけていく…という感じで、ネットワークを少しずつ広げていきました。

カメラマンさんも同じです。サロン系の投稿から気になる方を見つけて、その人の被写体になっているモデルさんをたどる。投稿では名前が載っていなくても、ストーリーには出ていたりするので、そこからチェックして探していくんです。

そうやって地道に探して、一人ひとりに丁寧に声をかけていきました。もちろん合わない方もいたし、一度限りの関係になったこともあります。でも、一回のアドバイスや撮影でも、その後の方向性が大きく変わることもある。だから私は、「良い人に会いに行く」「教えてもらいに行く」ということを、すごく大事にしてきました。

ノグチニットInstagramアカウント


ブランドを守るために、売れすぎないことを正解にする

―― Shopifyの自社サイトに移行してから売上の変化はどうなったのでしょうか?

上坪さん 2019年ごろまでは、年間売上が数百万円の世界でした。それが2020年にマスクがヒットしたことで一気に伸びて、2021年、2022年と伸び続けて、2023年には数千万円まで伸びました。そのうちの7割はShopifyの自社サイトからの売上です。もともとは口コミやInstagramからの自然流入が中心で、正直、試行錯誤の連続でしたが、売れる導線を自分たちで設計できるようになってきた実感があります。

広告を本格的に始めたのはここ2年ほどで、広告費をかけられるようになったことも大きいですね。売れるページに広告をかけるという方針で、CPA(獲得単価)を見ながら調整しています。バズらせたいとは思っていなくて、むしろバズると現場がパンクする。だから広告で流入をコントロールできるのは、私たちのような中小ブランドにはすごく合っているんです。

―― 広告で集客をコントロールするという感覚なんですね。

上坪さん 広告は一気に売り上げを伸ばす手段だと思われがちなんですけど、私たちは「現場が疲弊しない範囲で売るための調整」として使っています。

うちは中量生産で、急に注文が増えても作れない。製造が追いつかなくなると、お客様をお待たせしてしまうし、クレームにもつながってしまう。だから広告は、CPAを見ながら「ここは控えよう」「今週は出してみよう」と調整しています。

無理せず等身大でこそ、顔が見えるものづくりができる

―― これから、ノグチニットをどんなブランドにしていきたいですか?

上坪さん もっと「見つけてもらえるブランド」になりたいですね。まだまだ知られていないけれど、見つけてくれた人にはすごく気に入ってもらえることが多いんです。

「身近にこんなブランドがあるなんて思わなかった」と言ってもらえるとすごく嬉しいし、「じゃあ、もう少し見つかりやすくするには?」って自然と考えちゃいますね。

でも、無理に背伸びして大きくなるより、今のペースを大事にして「ちょっとずつ、ちゃんと育てていく」。その姿勢は変えたくないです。

――「ノグチニットらしさ」とは何でしょう?

上坪さん ちゃんと“顔が見える”ものづくり、ですかね。

私自身、立派な理念があって始めたわけじゃなくて、他社に依存しない商売をしなきゃの危機感の中からスタートしました。でも結果として、スタッフと一緒に丁寧に作って、必要な人に届けていく。その繰り返しが、今のブランドをつくっている気がします。

チームで設計されたブランドというよりは、夫と私がコツコツ続けてきた“ポツンと一軒家”的な存在。でもそれが、私たちらしさなんじゃないかと。

無理せず、等身大で、1枚ずつ丁寧に届けていくことですね。

Shopify導入は見極めが大切

―― これからECを始める方やShopifyを検討している方に向けて、メッセージをいただけますか?

上坪さん 私たちは、STORES、minne、Creemaといろいろなサービスを使ってきて、最終的にShopifyに行き着きました。確かにShopifyは多機能で、広告や外部連携にも強いですが無理に選ぶ必要はないと思います。

自分たちの規模ややり方に、どのプラットフォームが合っているかを見極めて、必要になったときに移行すれば十分じゃないかと。BASEで年間数千万円売っている方だってたくさんいますし、それもすごく素晴らしい形だと思います。

ある程度の規模を目指していて、サイト構造や販売の流れを自分たちでコントロールしたいと思うなら、Shopifyはすごくいいプラットフォームだと思います。

私たちは、売上の波や製造負荷も自分たちで調整できることをとても大事にしているので、そういう意味でもShopifyは合っていたなと、今すごく実感しています。

 

 

ノグチニット 上坪さんのインタビュー後編では、広告運用やレビュー設計、そして製造現場との向き合い方など、ブランドの軸をぶらさないEC運営にまつわるリアルなお話を伺いました。今のペースで無理なく届けていくことを大切にする姿勢こそ、事業成長を後押ししているのだと感じました。

「売れることがゴールじゃない」「ちゃんと顔が見えるものづくりを」。そんな思いをベースに、日々の積み重ねを続けてきたノグチニット。これからも、自分たちらしい歩みを続けていく姿に注目が集まります。

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編集プロセス

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