卸売販売などのBtoBにも対応しているECカートのShopify。Shopifyは「Shopify B2B」というBtoB向けのオプション機能を提供しており、気になっている事業者の方も多いでしょう。
「Shopify B2Bは何ができるの?」
「Shopify B2Bを使わずに、BtoB向けECを行う方法を教えて」
この記事では上記のような疑問やニーズを解決します。
Shopify B2Bは、BtoB向けECに必要な機能や便利機能を多数備えている一方で、注意すべきこともあります。
この記事では、ShopifyB2Bの概要から注意点、Shopify B2Bを使わずにBtoB向けECを始める方法までを解説します。ShopifyでBtoB向けECを検討している方はぜひ参考にしてください。
※本記事は2025年8月時点の情報を元にしています。
BtoBとは?BtoCとの違い
BtoBまたはB2Bは「Business to Business」の略語で、企業間で行われる商品やサービスの取引を指します。対して、BtoCまたはB2Cは「Business to Consumer」の略語で、取引対象は一般消費者です。取引の対象が異なることにより、BtoBとBtoCでは取引の性質や条件、ニーズが大きく異なります。
BtoBでは、法人顧客ごとに異なる価格設定や発注条件が必要になることが多く、請求書払いや後払いなどの多様な支払い方法のニーズがあります。取引金額や注文単位は、BtoCよりも大きくなりがちです。商品を購入する企業のニーズは自社利用以外にも、再販売などがあります。この場合、定価よりも割安な卸価格での販売が求められます。
一方で、BtoCは不特定多数の個人を対象とし、基本は定価販売、即時決済を前提とします。
BtoBとBtoCの違いを表で簡単にまとめました。
BtoB(企業間取引) | BtoC(企業→消費者取引) | |
---|---|---|
顧客 | 企業・法人 | 個人消費者 |
取引単位 | 大口注文が多い | 小口注文が多い |
価格設定 | 顧客ごとの契約価格 注文数量などの段階価格あり |
公開価格(定価)が基本 セールやクーポンなどのディスカウントあり |
支払い方法 | 請求書払い、後払い、分割など | クレジットカード、スマホ決済などが主流 |
購買プロセス | 複数担当者の承認を経る場合あり | 個人の意思で即購入可能 |
購買サイクル | 長期・継続的な取引関係 | 単発購入が多い |
BtoBは一度契約や関係性を築くと長期的なリピートにつながる可能性が高い一方、条件設定や顧客管理の複雑さが課題となります。機能面では、卸売価格の設定、ボリュームディスカウント(大口注文時の値引き)などが必要になるでしょう。
こうした特徴を理解した上で、BtoB取引に適したEC構築を行うことが重要です。
Shopify B2Bとは?利用する際の注意点も

画像出典:Shopify
Shopifyは基本的にBtoCビジネスを前提とした設計になっており、標準機能ではBtoBビジネスに対応していません。 そこで用意されているのが「Shopify B2B」です。これは、法人向け販売や卸売といったBtoBビジネスをShopifyストア上で効率的に運営できるように設計された、Shopify Plus専用の機能です
従来は外部アプリやカスタマイズが必要だった卸売価格の設定や、顧客ごとの注文条件の管理などを、Shopifyの管理画面から一元的に設定できるのが大きな特長です。
また、BtoBとBtoCを同じストア内で併用できるため、業態や取引形態に応じた柔軟なストア構築が可能です。さらに、顧客ごとの専用カタログや数量別価格設定、注文ワークフローの自動化といったBtoBに欠かせない機能が標準で搭載されており、効率的かつ拡張性の高いBtoBサイト運営を実現できます。
Shopify B2Bの注意点|Plusプランの契約が必要
このように、Shopify B2Bは追加アプリを使わずに本格的なBtoB向けECを始められる便利な機能ですが、利用にはShopify Plusプランの契約が必要です。
Shopify Plusは中〜大規模の企業向けで、月額料金は1年契約$2,500/月、3年契約$2,300/月からとなっており、小規模ストアにとっては費用対効果の面で導入ハードルが高い可能性もあります。
Plusプランを契約する規模に満たないストアや、まずはBtoB機能を試験的に導入してみたい方には、後述するアプリを活用した方法がおすすめです。
下記のブログ記事では、Shopify Plusに関して詳しく解説しています。ご参考にしてください。
Shopify B2Bの主な機能
Shopify B2Bが提供する主な機能を紹介します。
顧客ごとの専用カタログと価格設定
取引先ごとに異なる商品ラインナップや価格表を設定でき、個社対応が可能になります。
注文条件・支払い条件のカスタマイズ
顧客ごとに支払い方法、支払期日、最小注文数、免税設定などを細かく設定でき、契約内容に応じた取引を実現します。
注文履歴からの再注文
過去の注文履歴からの再注文を受け付けます。
複数ロケーション管理(拠点別条件設定)
同じ「会社」内でも、拠点ごとに価格や注文条件、配送先などを個別に設定できます。
支払い条件の自動適用
「請求書払い」や「30日後支払い」などの支払い条件を顧客ごとに設定し、チェックアウト時に自動で反映されます。
免税設定
消費税や輸入税の免除を取引先ごとに設定できます。
BtoB専用テーマ・テンプレートの活用
「Trade」など法人取引向けに最適化されたテーマを利用すれば、カタログ型のUIや注文導線を整備しやすくなります。
このようにShopify B2Bには、BtoB向けECに必要な機能や業務を効率化する便利な仕組みが多数備わっています。詳細はShopifyのヘルプページを参照してください。
Shopify Plus以外のプランでもBtoB向けECを始める方法
Shopify B2Bは、BtoB向けECに必要な機能を網羅した便利な機能ですが、利用には最上位プランである「Shopify Plus」の契約が必要です。これがネックとなり、導入をためらうショップも少なくないでしょう。
そこでこの章では、「Shopify Plus以外のプランでもBtoB向けECを始める方法」として、「RuffRuff」シリーズのShopifyアプリを紹介します。
RuffRuff購入特典
RuffRuff購入特典は、商品購入時にさまざまな特典(割引、送料無料など)を付与できるアプリです。
このアプリを活用することで、以下のようなBtoB向け施策が実現可能です。
- 取引先には卸価格で販売(一般消費者とは異なる価格での商品販売)
- 大口注文に対するボリュームディスカウントの適用
- 法人顧客に対する送料無料特典の提供
- 卸会員ランクごとの価格設定(会員制BtoB)
RuffRuff購入特典は月額9ドルから利用可能で、3日間の無料体験期間があります。
RuffRuff予約販売
「RuffRuff予約販売」は、Shopifyストアに予約注文機能を追加できるアプリです。
一般消費者には販売せず、法人顧客専用の商品として予約受付を行うなど、BtoB向けに柔軟な販売戦略を構築できます。
このアプリを活用することで、以下のようなBtoB向け施策が実現可能です。
- 法人顧客専用の商品を予約販売(一般公開せず限定公開)
- 支払い方法の柔軟な設定(後払い、一部先払いの対応)
- 在庫切れ商品の自動予約切り替えによる販売機会の損失防止
- 卸売会員だけに割引販売(一般会員は通常価格で販売)
BtoBでは、製造リードタイムや在庫状況に応じた「受注生産型」の販売形態も多く見られるため、予約販売機能は非常に相性が良い機能です。
下記のブログ記事では、卸売会員だけに割引販売を実施する方法を紹介しています。ご参考にしてください。
RuffRuff予約販売には3日間の無料体験期間があります。料金プランは以下の通りです。
プラン名 | スターター | ベーシック | プロ |
---|---|---|---|
月額料金 | 9ドル | 52ドル | 199ドル |
予約販売手数料 | 0.03% | 0.01% | なし |
RuffRuff注文制限
RuffRuff注文制限は、購入制限ルールを柔軟に設定できるアプリです。
BtoB取引では、大口注文のみを受け付けたい、または特定の決済方法に制限したいといったニーズがありますが、このアプリによって細かなコントロールが可能になります。
このアプリを活用することで、以下のようなBtoB向け施策が実現可能です。
- 一定数量以上の注文のみ受付(小口注文の制限)
- 大口注文に対して決済方法を制限(例:「銀行振込のみ対応」など)
- 顧客タグや注文条件に応じた制限設定(例:特定法人顧客のみ発注可能)
- 不正注文や転売目的の少額購入を防止
このような制限機能は、卸売や法人向けの取引において、取引条件の管理や業務効率の向上に役立つでしょう。
RuffRuff注文制限は月額9ドルで利用可能で、3日間の無料体験期間があります。
ShopifyでBtoB向けECを始めよう!
この記事ではShopifyのBtoB向け専用機能「Shopify B2B」や、Shopify B2Bを使わずにBtoB向けECを始める方法について解説しました。
Shopify B2BはBtoB向けECを始めるのに必要な機能や、円滑な運営を助ける便利機能などを備えたオプション機能です。基本的にはこのShopify B2Bがあれば十分でしょう。一方で、Shopify B2BはShopifyの最上位プランであるShopify Plusでしか利用できません。
しかし、通常プランの方でも、アプリを導入することでBtoB向けECを始めることが可能です。「Shopify Plusプランを契約するほどの規模ではない」という方はRuffRuffシリーズの活用を検討してみてください。