STORESでECサイトを運営している人のなかには、デザインや機能の自由度、海外販売への対応などを理由に、Shopifyへの移行を考えている人もいるでしょう。
ただし、STORESには商品データをまとめて書き出す機能がなく、注文履歴や定期販売の契約、独自ドメインのように、そのままでは引き継げないデータもあります。
本記事では、STORESとShopifyの違いを確認したうえで、移行できるデータとできないデータ、商品・顧客データの移行手順、切り替え時の注意点を解説します。
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STORESからShopifyへ移行する前に確認したいこと
移行作業に入る前に、STORESとShopifyの違いを確認しておきましょう。移行すると決済手数料やデザインの自由度が変わる一方、プランによっては月額料金が上がる場合もあります。
STORESの機能や料金プランの詳細は、以下の記事をごらんください。
料金と決済手数料
| サービス名 | STORES | Shopify(年払い) |
|---|---|---|
| 月額料金 | フリープラン:無料/スタンダードプラン:3,300円 | Basic:3,650円/Grow:10,100円/Advanced:44,000円/Shopify Plus:398,000円(3年契約の場合368,000円) |
| 決済手数料 | 3.6~6.5% | 2.9~3.55% |
※2026年9月時点
STORESのスタンダードプランは年間契約の場合の月額(月額契約は3,960円)、Shopifyは年払いの月額換算料金です。STORESの決済手数料は、クレジットカードがフリープラン5.5%・スタンダードプラン3.6%で、PayPalやPayPayなど一部の決済方法はそれぞれ6.5%・4.6%です。
Shopifyの決済手数料はShopifyペイメントでの国内オンラインクレジットカード決済の料率で、Basic 3.55%・Grow 3.4%・Advanced 3.25%・Plus 2.9%です。
STORESのフリープランからShopifyのBasicプランに移ると、クレジットカード決済の手数料は1.95ポイント下がります。一方、スタンダードプラン(3.6%)との差は0.05ポイントのため、スタンダードプランから移行する場合は、月額料金やアプリの利用料金を含めた総額で比較しましょう。
デザイン・機能の自由度
Shopifyには1,200種類以上のデザインテーマがあり、HTMLやCSSなどのコード編集やアプリの追加によって、デザインや機能を細かく作り込めます。
STORESのデザインテンプレートは48種類です。コード編集には対応していませんが、専門知識がなくても直感的に編集できます。ブランドの世界観を作り込みたい場合や、標準機能にない施策をアプリで追加したい場合は、Shopifyのほうが向いています。
海外販売
Shopifyでは、Basic・Grow・Advancedプランで最大20言語、Shopify Plusでは最大30言語でストアを表示できます。複数通貨での販売や海外向けの決済手段にも対応しているため、海外の顧客に直接販売しやすくなります。
STORESでも、海外販売サービス「WorldShopping BIZ」との連携で海外からの注文を受けられますが、海外の購入者に購入代行手数料(商品代金と国内送料の10%)がかかります。
サポート体制
| Shopify | STORES |
|---|---|
| ヘルプセンター/24時間対応のチャットサポート | FAQページ/電話相談/問い合わせフォーム |
Shopifyには日本語のヘルプセンターがあり、全プランで24時間対応のチャットサポートを利用できます。STORESでは、FAQページや問い合わせフォームに加えて、電話での相談窓口も用意しています。
移行できるデータ・できないデータ
STORESからShopifyへの移行は、データの種類によって方法が異なります。移行作業を始める前に、全体像を確認しておきましょう。
| データ | STORESからの取り出し | Shopifyへの取り込み |
|---|---|---|
| 商品データ | 一括で書き出す機能なし(手入力またはスクレイピング) | CSVで一括インポート可能 |
| 顧客データ | 有料プランでCSVダウンロード可能 | CSVで一括インポート可能(パスワードは移行不可) |
| 注文履歴 | オーダーCSVで出力可能 | 標準のCSVインポートは非対応(移行アプリ・APIを利用) |
| 定期販売の契約 | 契約やカード情報を移す手段は案内されていない | 定期購入アプリを導入し、購入者に再申し込みを依頼 |
| 独自ドメイン | 移管不可(STORESが保有) | 新しいドメインを用意 |
商品と顧客は本記事の手順で移行できますが、注文履歴と定期販売は別の対応が必要です。詳しくは「注文履歴と定期販売の扱い」で解説します。
移行の全体の流れ
STORESで販売を続けながら移行する場合、以下の順番で進めるとトラブルを防げます。
- Shopifyに登録し、ストアを非公開のまま準備する
- 商品データ・顧客データを移行する
- 配送料・税金・決済サービス・特定商取引法に基づく表記などを設定する
- テスト注文で、決済・送料計算・注文通知メールを確認する
- 切り替え日を決め、STORESの在庫とShopifyの在庫をそろえてからShopifyを公開する
- STORESの未対応の注文と売上の振込が完了したら、STORESを退会する
切り替え前後は、STORESとShopifyの両方で同じ商品が売れる可能性があります。切り替え日の直前は、STORES側の販売を止めるか在庫数を調整しておきましょう。また、商品データを移行した後は、商品名や価格、在庫数、バリエーションが正しく登録されているかも確認しておきましょう。
STORESからShopifyに商品データを移行する手順
STORESからShopifyに商品データを移行する手順は、以下の通りです。
- STORESから移行する商品データを用意する
- Shopifyに登録する
- Shopifyで商品CSVのサンプルをダウンロードする
- Googleスプレッドシートで商品データを入力する
- 作成したCSVをShopifyにインポートする
各ステップについて、順に詳しく解説します。
1. STORESから移行する商品データを用意する
STORESには、商品名や説明文、画像などのアイテム情報をまとめて書き出す機能がありません(2026年9月現在)。有料プランの「在庫数CSV一括更新」では全アイテムのCSVをダウンロードできますが、在庫数を更新するための機能のため、移行用のデータとしては使えません。
そのため、Shopifyへの移行では商品データを手動で入力するのが基本です。移行する商品数が多い場合は、Webサイトから情報を自動で抽出できる「スクレイピングツール」を使ってデータを取得する方法もあります。
スクレイピングツールには、「Octoparse」「Scraper」などさまざまな種類があります。無料で利用できるものもたくさんあるため、自社で使いやすいツールを選択してください。
なお、スクレイピングツールの利用にあたっては、STORESの利用規約やアクセスに関する制限を確認しましょう。また、公開されている商品ページから取得できない在庫情報や非公開の商品情報などは、別途確認が必要です。
スクレイピングツールで商品データをエクスポートする
スクレイピングツールを開き、STORESで公開している商品ページのURLを入力します。
商品ページが読み込まれたら、商品名・価格・説明文・画像URLなど、移行に必要な項目を選んでCSV形式でエクスポートしましょう。
2. Shopifyに登録する

画像出典:Shopify
Shopifyへの登録手続きを進めます。Shopify公式サイトにアクセスし、「無料で始める」ボタンをクリックします。
画面の案内に沿ってメールアドレスなどを入力し、アカウントを作成しましょう。

画像出典:Shopify
3. Shopifyで商品CSVのサンプルをダウンロードする
Shopifyの管理画面にログインし、「商品管理」を開いて画面上部の「インポート」をクリックします。

画像出典:Shopify
表示された画面で「サンプルCSV」をクリックしてダウンロードします。

これで商品登録用のCSVフォーマットをダウンロードできました。
4. Googleスプレッドシートで商品データを入力する
続いて、ダウンロードしたサンプルCSVをGoogleスプレッドシートに取り込みます。
その後、商品データを手動で入力するか、スクレイピングツールで取得したデータを列の項目に合わせて貼り付けます。完成したら、CSV形式(UTF-8)でダウンロードしましょう。
5. 作成したCSVをShopifyにインポートする
Shopifyの商品管理画面上部にある「インポート」をクリックします。

「ファイルを追加」をクリックして完成したCSVを選択し、「アップロードとプレビュー」をクリックします。

プレビューの内容を確認し、問題なければ「商品をインポートする」をクリックし、ファイルを読み込めば商品データの移行作業は完了です。

STORESからShopifyへの顧客データの移行手順
STORESからShopifyへの顧客データの移行は、CSVファイルを利用して行えます。
STORESでは、有料プランを利用している場合、顧客管理機能から顧客情報をCSV形式で一括ダウンロードできます。フリープランでは利用できないため、必要に応じて有料プランへの変更を検討しましょう。
複数の顧客データを一度にShopifyにインポートしたい場合、以下の手順で行います。
- STORESから顧客データをCSV形式でダウンロードする
- ShopifyのCSVフォーマットにデータを入力する
- 作成した顧客データをインポートする
1. STORESから顧客データをCSV形式でダウンロードする
STORESの管理画面にログインし、顧客管理画面から顧客データをダウンロードします。
顧客データのダウンロード手順は以下のとおりです。
- STORESの管理画面から「ネットショップ」タブの「顧客管理β」を開く。
- CSVで出力したい顧客情報にチェックを入れる。
- 画面右上の「CSVダウンロード」をクリックする。
なお、管理画面の表示形式によっては、「お客さま」タブの「すべての顧客」から操作します。CSVダウンロード機能はパソコンからのみ利用できます。
2. ShopifyのCSVフォーマットにデータを入力する
Shopifyの管理画面にログインし、「顧客管理」 > 「インポート」の順に選択し、顧客データの「サンプルCSVをダウンロード」をクリックします。

続いて、STORESから取得した顧客情報を、ShopifyのCSVフォーマットに合わせて入力します。STORESとShopifyではCSVの項目名や形式が異なるため、STORESからダウンロードしたファイルをそのままShopifyへインポートすることはできません。Shopifyのフォーマットに合わせて編集し、UTF-8形式で保存してください。
主に移行する情報は、顧客の氏名、メールアドレス、電話番号、住所などです。また、メールマーケティングの配信同意状況についても、STORESで設定されていた内容を確認し、Shopifyの「Accepts Email Marketing」列に「yes」または「no」で入力しましょう。なお、インポートできるCSVファイルは15MB以下です。
3. 作成した顧客データをインポートする
Shopifyの管理画面で「顧客管理」 > 「インポート」の順にクリックします。「ファイルを追加」をクリックし、作成した顧客データを選択します。

画像出典:Shopify
「お客様をインポート」をクリックすれば、インポート完了です。

注文履歴と定期販売の扱い
注文履歴は移行アプリかAPIで取り込む
STORESでは、注文データをCSV形式で出力できます。ただし、Shopifyの標準機能には過去の注文をCSVで取り込む仕組みがなく、Shopify公式ヘルプでも移行アプリやAPIの利用が案内されています。
過去の注文をShopify上で確認する必要がない場合は、STORESから出力したCSVを手元に保管しておく方法でも問題ありません。問い合わせ対応や売上管理で注文履歴を参照する機会が多い場合は、移行アプリの利用を検討しましょう。
定期販売は購入者に再申し込みを依頼する
STORESで定期販売をしている場合、購入者の定期契約やカード情報をShopifyへ移す方法は案内されていません。Shopifyで定期販売を続けるには、定期購入アプリを導入したうえで、購入者に新しいストアで申し込み直してもらう必要があります。
購入者への案内が遅れると、定期便が途切れて解約につながる恐れがあります。切り替え日と申し込み方法は、移行の1か月前を目安に案内しておきましょう。
移行時の注意点
Shopifyへのデータ移行時には、いくつか注意しなければならない点もあります。Shopifyへの移行後にトラブルが起こらないよう、確認しておきましょう。
顧客データの移行後はログイン方法を案内する
STORESからShopifyへ顧客情報を移行した場合、顧客にShopifyでのログイン方法を案内しましょう。
顧客のパスワード情報は、CSVデータとしてShopifyにインポートできません。ただし、Shopifyの「お客様アカウント」を使う場合、顧客はメールアドレスに届く6桁の認証コードでログインできるため、新しいパスワードを設定する必要はありません。
顧客が新しいストアでもスムーズに買い物できるよう、移行前後にメールなどで新しいログイン方法を案内しておくとよいでしょう。
商品画像を1つの商品で複数枚移行するにはCSVの書き方に工夫が必要
1つの商品に対して商品画像を複数枚移行したい場合、CSVの書き方を工夫する必要があります。CSVの項目に必要なのは、「Handle」「Image Src」「Image Position」の3つです。
| CSV項目 | 入力内容 |
|---|---|
| Handle | 商品ハンドル(商品URLの末尾に使われる、商品ごとの識別子) |
| Image Src | 商品画像URL |
| Image Position | 商品画像の何番目に表示させるか |
なお、画像URLは外部からアクセスできるものでなければなりません。STORESで使用していた画像のURLを利用する場合は、Shopifyへのインポートが完了するまで、元の画像にアクセスできる状態を維持しましょう。
ドメインが変わるため移転を告知する
STORESで取得した独自ドメインは所有権がSTORESにあるため、Shopifyへ移管できません。「stores.jp」のURLも同様です。移行後は新しいドメインでの運営になります。
ShopifyのURLリダイレクト機能は、Shopifyストア内のURLに対して設定するものです。STORES側の旧URLから新しいストアへ自動で転送することはできないため、旧ストアで積み上げた検索での評価は新しいドメインに引き継がれません。
移行時は、以下の対応で旧ストアの顧客を新しいストアへ案内しましょう。
- STORESのストアを閉じる前に、トップページやお知らせで移転先のURLを告知する
- SNS・広告・メールマガジン・名刺などに掲載しているURLを更新する
- 新しいドメインをGoogle Search Consoleに登録し、サイトマップを送信する
STORESの退会は売上の振込を確認してから
STORESでは、未対応の注文が残っている場合や、売上の振込が完了していない場合は退会できません。有料プランを契約している場合は、先にプランの解約も必要です。
STORESの売上は月末締め・翌月末払いのため、最後の売上が振り込まれるまで最大2か月ほどかかります。退会の時期は、振込のスケジュールを確認したうえで決めましょう。
まとめ:データの種類ごとに準備して移行を進めよう
STORESからShopifyへのデータ移行には、移行するデータの種類に応じた準備が必要です。商品データは手動での入力やスクレイピングツールの活用、顧客データはSTORESの有料プランでダウンロードできるCSVファイルを利用するなど、それぞれ適した方法で移行しましょう。注文履歴と定期販売の契約は標準機能では移せないため、移行アプリの利用や購入者への再申し込みの案内が必要です。
また、ドメインが変わるため、移転先の告知やURLの更新も欠かせません。STORESの退会は売上の振込を確認してから行い、Shopify移行後もスムーズにネットショップ運営を始めましょう。
