Shopifyで運営するオンラインストアにおいて、不正注文への対策は非常に重要な課題です。不正注文は、盗まれた個人情報やクレジットカード情報を使用した詐欺的な注文行為であり、経済的損失やビジネスの信頼性に大きな影響を与える可能性があります。本記事では、Shopifyにおける不正注文の特徴、検知方法、対処方法について詳しく解説していきます。
不正注文とは
オンラインストアにおいて、不正注文とは悪意のある顧客が、盗まれた個人情報やクレジットカード情報を使用して行う詐欺的な注文行為を指します。これは、ストアオーナーにとって大きな経済的リスクと運営上の課題となる深刻な問題です。
Shopifyで不正注文が起きた場合のデメリット
不正注文が発生すると、ショップは複数の深刻な影響に直面します。
チャージバックが発生する
まずは、チャージバックによる経済的損失が発生します。
クレジットカード会社は不正利用された取引を取り消し、ストアは売上金を返還するだけでなく、追加の手数料も負担することになります。
発送した商品が戻ってこない
さらに、不正注文で発送した商品は戻ってこないため、在庫と配送コストの二重の損失が生じます。
Shopifyで不正注文か見極める方法
Shopifyの不正解析を利用する
Shopifyには自動で不正解析してくれる機能があります。不正リスクの高い注文に対しては、注文一覧画面に、赤い注意マークが表示され、注文詳細画面の不正解析セクションにも不正リスクの高い旨の表示がされます。
IPアドレスを確認する
不正注文の可能性があると思ったら、IPアドレスを確認してみるのも1つの方法です。
インターネット上の住所を表すIPアドレスを調査することで、注文者のおおよその所在地を確認できます。例えば注文者の配送先住所とIPアドレスで確認した所在地が大きく乖離している(国が違うなど)場合は、不正注文の可能性があるため、注文者に連絡を取り、不正注文ではないことを確かめる必要があります。
IPアドレスの調査は、「WhatIsMyIp.com」などの無料サービスを利用することで簡単に調査できます。
検索エンジンでメールアドレスを検索する
不正注文を簡単にチェックする方法の一つとして、注文に使用されたメールアドレスをGoogleなどの検索エンジンで調べることが挙げられます。
過去にそのメールアドレスが不正利用されていた場合、インターネット上で警告や問題提起された情報が見つかることがあります。
もし怪しい注文だと感じたら、まずはそのメールアドレスを検索してみることをお勧めします。インターネット検索は、手軽に不正の兆候を確認できる便利な手段です。
クレジットカードの名義と注文者の名前を確認する
不正注文を素早く確認する方法として、クレジットカードの名義と注文者の名前を見比べる方法があります。
Shopifyの注文詳細画面にて、クレジットカードの名義人も注文者の名前も確認できますので、名前が一致しない場合(特に名字が一致しない場合など)は不正注文の可能性があるため、注文者に連絡を取り、不正注文ではないことを確かめる必要があります。
注文者に電話で直接連絡する
最後に不正注文を確認する方法として、注文者に電話をかけることが効果的です。前述の方法で不正注文の可能性が高まった場合の最終確認の方法として有効です。
これは、不正注文の多くが架空の電話番号を使用しているため、電話が繋がらない場合は不正注文の可能性を疑う材料になります。
また、他人の電話番号を不正に使用しているケースもあるため、電話が繋がったら、注文に関する簡単な質問をして相手の反応を確認しましょう。
例えば、以下の情報を確認してみてください。
- 注文時に使用した電話番号
- メールアドレス
- 配送先住所
- 注文者の名前
- 購入した商品数
これらの情報に相手がスムーズに答えられるかどうかをチェックすることが重要です。
Shopifyで不正注文を検知する方法 3選
Flowで不正注文検知するワークフローを作成する
Shopify Flowを利用することで、不正解析にて不正リスク高の注文だった場合に、メールにて通知を送ることが可能です。不正注文を通知するワークフローを設定しておくことで、不正注文をうっかり見逃すリスクを軽減することができます。
不正注文防止のShopifyアプリを利用する
次はShopifyアプリを利用する方法です。
Shopifyアプリを利用することで、Shopify純正の不正解析機能では見抜けない不正注文を検知できたり、繰り返し不正注文を試みるユーザーをブロックするのに役立てることができます。
不正注文防止のShopifyアプリは以下のリンクより探すことが可能です。
Shopifyで不正注文と疑うべき特徴
注文金額が高額
通常の取引金額を大幅に超える注文を受けた場合、それが不正な注文である可能性が考えられます。
不正行為を行う者は、「発覚した場合に捕まるリスク」を常に抱えています。
そのため、そのリスクに見合うように、一度に高額な商品を狙う傾向があります。
売上が増えるのは喜ばしいことですが、不正注文の場合は大きな損失を被る可能性があるため、注意深く確認する姿勢が大切です。
注文者の請求先住所と配送先住所が一致していない
注文者の請求先住所と配送先住所が一致しない場合、不正注文である可能性が考えられます。
特に、配送先が日本で請求先がアメリカなど、2つの住所が大きく離れている場合は注意が必要です。
ただし、住所が異なる場合でもギフト注文などの正当な理由があることも考えられますので、疑わしい場合は注文者に確認することをお勧めします。
注文の請求者名とクレジットの利用者名が一致していない
注文時の請求者名とクレジットカードの利用者名が一致しない場合、不正行為の可能性があります。
特に、名前が異なる場合は不正利用の疑いが強まります。
ただし、家族や友人の代わりに購入するケースも考えられますので、このような場合は注意深く検討し、必要に応じて注文者に確認を行うことが重要です。
Shopifyの不正注文を受けた場合の対処法
注文をキャンセルする
不正注文と判断された場合は、速やかに取引をキャンセルすることをご検討ください。
ただし、キャンセルできる注文は以下の2つの状態に限られますので、ご注意ください。
- 支払いが未回収の場合
- 支払いは回収済みだが、商品が未発送の場合
もしも支払い回収済みの注文をキャンセルした場合、返金処理が実行されます。
Shopifyの注文をキャンセルする方法は以下のブログ記事もご参考にしてしてください。
Shopify注文キャンセルの簡単ガイド|キャンセル、返金、手数料まで詳しく解説
Flowで不正リスクの高い注文を自動キャンセルする方法
Shopify Flowを利用することで、リスクが高い注文を自動でキャンセルし、キャンセルした注文の在庫を補充することができます。
Shopify Flowのテンプレートに、上記を実施できるワークフローが存在しますので、テンプレートを利用いただくことで簡単に設定できます。
設定方法
(1)Shopify Flowアプリを開く
(2)「テンプレートを閲覧」をクリック
(3)検索窓に「Cancel high-risk orders」を入力
(4)「Cancel high-risk orders」という名称のテンプレートをクリック
(5) テンプレートのワークフローが表示されますので、「インストール」をクリック
(6) インストールされたワークフローの「Send internal email」アクションを選択
(7) 不正リスクの高い注文がキャンセルされた場合の通知先を「Email Address」に入力
(8) 「ワークフローをオン」をクリック
不正リスク高の注文テストを行う方法
前述のように、Shopify Flowなどを利用して不正リスクの高い注文に対して何かしらのアクションを設定している場合、実際に設定したアクションがちゃんと動作するのか確認したい場合があるかと思います。
本章では不正リスクの高い注文を意図的に発生させる方法を紹介します。
テスト方法
(1)商品をカートに追加し、チェックアウトページへ遷移
(2)連絡先に「shopify.test.high@shopify.com」を入力
(3)Shopify ペイメントの決済方法を選択し、注文
補足情報
- 注文の合計金額が0より大きい必要があります
- Shopifyペイメントのゲートウェイサービスをテストモードにしておく必要があります
- 以下の連絡先を利用することでそれぞれ異なるリスクの注文をテストできます
- shopify.test.high@shopify.com:高リスクの注文
- shopify.test.medium@shopify.com:中リスクの注文
- shopify.test.low@shopify.com:低リスクの注文
最後に
不正注文への対策は、オンラインストア運営において避けては通れない重要な課題です。Shopifyには標準で不正解析機能が搭載されており、さらにShopify Flowやサードパーティアプリを活用することで、より強固な防衛体制を構築することができます。
効果的な対策のポイントは以下の通りです:
- 不正注文の兆候を見逃さない(IPアドレス確認、メールアドレス検索、カード名義と注文者名の照合など)
- 疑わしい注文には積極的に確認を取る(電話確認など)
- Shopify Flowを活用した自動化された監視体制の構築
- 必要に応じて専門アプリの導入
これらの対策を適切に組み合わせることで、不正注文のリスクを最小限に抑えることができます。ただし、正常な注文を過度に制限してしまわないよう、バランスの取れた対応を心がけることも重要です。