モール型ショッピングサイトでは日本最大級の規模を誇る楽天市場。楽天市場に出品する事業者にむけて、楽天ECC(楽天市場公式コンサルタント)との関わり方のコツを、実際に楽天市場の出店を通して得た知見を交えて解説!楽天市場で売上を伸ばしていきたい事業者はぜひごらんください。
※本記事は、Tsunライターチーム担当者の知見を元に記載した記事になります。楽天ECC全ての担当者に必ず共通するというわけではありませんのでご了承ください。
楽天ECCとは?
楽天ECCとは、楽天ECコンサルタントの略称で、楽天市場に出店している店舗のパートナーとして店舗運営のサポートを行う楽天社員のことをいいます。
楽天ECCの主な業務は、パートナー店舗への広告の提案やイベント案内、SEO施策の提案、新機能の案内などです。基本的に、楽天ECCは店舗や楽天市場全体の売上向上に関する相談のみ受けているので、商品登録のやり方や受注処理などのバックオフィス系の業務の相談については管轄外となっているケースが多いです。バックオフィスに関する相談は緊急時を除いてサポートデスクに問い合わせましょう。
画像引用:楽天市場
楽天ECCと連絡をとるコミュニケーションツール
楽天ECCと連絡を取る際に使うコミュニケーションツールは、Viber・zoomの2つが原則となります。基本的にはViberによるチャットもしくは電話でのやり取りがメインとなり、楽天ECC側から広告の提案や現状分析などをしてもらう際はzoomを活用することもあります。
なお、楽天は情報セキュリティやコンプライアンスに厳しく、Viberや電話、zoomでのやり取りは全て録画・録音されています。また、他店舗に関する重要な情報や楽天市場全体に関する数字などについては開示ができない仕組みとなっています。
楽天ECC1人当たりの担当店舗数は?
各楽天ECCが担当するパートナー店舗の数は少なくても数十店舗、多くの場合は100〜200店舗以上にもなります。もちろん、膨大な数の全ての店舗に対して細かなアドバイスやサポートをすることはできないため、必然的に売上規模が大きい店舗を優先的にサポートする仕組みになっています。
出店ジャンルにもよりますが、月商0.5〜1.0億円を超える、または売上が昨対比で著しく伸び始めてくると、楽天ECCからのサポートが手厚くなり始める印象があります。
店舗と楽天ECCの目標の違い
楽天ECCとコミュニケーションを図る上であらかじめ留意しておきたいポイントは、”店舗にとっての目標と楽天ECCにとっての目標が必ずしも同じではない”ということです。
具体的にそれぞれの目標の違いを解説します。
店舗にとっての目標
出店者である店舗にとっての目標は、売上・利益を伸ばすこと、または取り扱いブランドの認知を拡大することです。
広告費・販売管理費・送料・原価・販売手数料などをはじめとするあらゆるコストを最小化し、売上と利益を最大化すること、そして商品のブランド認知を拡大することが店舗にとっての目標となります。
楽天ECCにとっての目標
楽天ECCにとっての主な目標は、担当店舗の売上を伸ばすこと、そして担当する店舗の広告購入金額を伸ばすことです。担当店舗の売上が伸びる、もしくは広告購入金額が伸びると、各楽天ECCの社内評価が上がるためです。
店舗と楽天ECCの目標の違いまとめ
店舗は売上が増えることを目指し、楽天ECCも担当する店舗の売上が増えることで社内での評価が上がるという点で、売上増加の目標は一致しています。しかし、売上ではなく利益を増やすことについて、必ずしも目標が一致しているとは言えません。
最たる例が広告の活用で、広告を活用すると売上は伸びますが利益が減ることが多く、店舗としては広告費を縮小したまま利益を上げたいところですが、楽天ECCは店舗に広告費を使ってもらえればもらえるほど自身の評価につながる仕組みです。そのため、利益に対しての目標は一致しておらず、楽天ECCとコミュニケーションをとる際には注意が必要です。
店舗にとっての目標と楽天ECCにとっての目標の違いをまとめると以下の表の通りになります。
目標 | 店舗 | 楽天ECC |
---|---|---|
店舗の売上を増やす | ◯ | ◯ |
店舗の利益を増やす | ◯ | △ |
楽天市場の売上を増やす | × | ◯ |
◯=目的が一致している
△=必ずしも目的と一致していない
×=目的と一致していない
楽天ECCと良い関係を築くコツ
店舗と楽天ECCの目指すところがまったく同じではなくても、店舗の売上を伸ばすという点においては目的が一致しているため、良きパートナーとして関係性を築いていくことが大切です。
ここでは楽天ECCと良好な関係性を築くコツについて解説します。大きくまとめると以下の3点を意識することが重要になります。
- 売上を伸ばそうとしている前向きな印象を与える
- 広告を積極的に活用する
- 広告営業の断り方に一工夫を加える
1.売上を伸ばそうとしている前向きな印象を与える
大前提として、楽天ECCは1人あたり数百というパートナー店舗を抱えているため、売上が大きい店舗や広告を使ってくれる店舗を優先対応せざるを得ないという状況があります。したがって、売上が伸びる気配がない、または売上を伸ばそうとしていない店舗に対してはサポートが手薄になる傾向があります。
そのため、コミュニケーションを取るときは売上を伸ばすために前向きに努力しているという印象を与えることを意識しましょう。具体的には、以下のようなことを実施すると良いでしょう。
- 取り扱い商品数を増やす
- 競合分析を依頼する
- 商品ページの改善提案を依頼する
- 活用している広告の課題分析、改善提案を依頼する
2.広告を積極的に活用する
楽天ECCに「広告を活用しない店舗」という印象を与えてしまうと、楽天ECCから店舗運営に関する有用な情報を得られにくくなります。そのため、純広告・運用型広告問わず、広告は積極的に活用していきましょう。
どの広告を活用すれば良いかわからない場合は、まずは運用効率の良いRPP広告・クーポンアドバンス広告から予算をさいていくことをおすすめします。
3.広告営業の断り方に一工夫を加える
広告を積極的に活用することは楽天ECCと良好な関係を築くためのひとつの手段ですが、一方で店舗の売上規模や取り扱い商品によっては採算が合わない広告も多数存在します。採算が合わない広告を提案された場合は、無理に活用せず断ってしまっても問題ありません。ただし、その際の断り方には注意が必要です。
楽天ECCから広告営業を受けたときに、単に「やりません」と断るだけだと、広告に消極的な店舗という印象を与えてしまい、有用な情報提供をうける機会が減ってしまいます。
そのため、広告を断る際は「〜という理由があるため今はやれませんが、〜というタイミングになったら再度検討させていただきたいです」と具体的な理由を添えて、前向きに検討していることが伝わるようなコミュニケーションを心がけましょう。
店舗売上を伸ばすための楽天ECCの活用法
店舗の売上を伸ばすためには、楽天の内部の情報や競合店舗の情報を持っている楽天ECCの力を借りることが必要不可欠です。
楽天のレギュレーション上、質問したこと対して明確に返答がないこともありますが、楽天ECCは共に店舗の売上拡大を目指すパートナーとしてできる限りの協力をしてくれる大切なパートナーです。
ここではそんな楽天ECCから、具体的にどのような情報を提供してもらえるのかについて解説します。
競合店舗・競合商品の状況をヒアリング
楽天ECCは、競合店舗や競合商品の売上規模や、広告出稿状況などの直近の動向を詳しく把握しています。そのため、自社内だけで他社の分析を進めるのではなく、しっかりと楽天ECCを頼りましょう。
他社の具体的な売上や販売実績などの数字は開示してもらえませんが、今市場でどんな商品が売れていて、売れている店舗はどんな施策をしているかといったことは教えてもらえる可能性があります。
これは聞いても良いのだろうかと躊躇せず、まずは積極的にコミュニケーションを取っていきましょう。
広告経由売上を伸ばすコツをヒアリング
RPP広告などの運用型広告については、売上を伸ばせる可能性のある商品や獲得余地のあるキーワードを具体的に教えてもらうことが可能です。また、現在の広告運用における課題分析や改善提案も相談ができます。広告運用で煮詰まったときは、積極的に楽天ECCに相談してみましょう。
純広告について楽天ECCから提案を受ける際は、自社内で費用対効果が合うかをシミュレーションするのではなく、その広告が競合他社でどのような実績を出していたかをヒアリングしましょう。同じジャンルの商品を取り扱う競合店舗の実績をヒアリングした上で、費用対効果が合いそうな広告から購入・実施・検証をすることで、よりリスクを抑えながら売上を伸ばす可能性を高めることができます。
楽天市場全体の市況感をヒアリング
楽天市場に出店する店舗として、楽天市場というプラットフォームにおける売上の増減の傾向を知ることは大切です。楽天市場全体として前年同期比でプラスなのかマイナスなのか、今回の楽天スーパーセールは楽天市場全体としてどうだったのか、といった情報をヒアリングすることで、店舗の売上の増減が市場にあるのか個別事象なのか分析に役立てることができます。
楽天のレギュレーション上、詳細な情報を教えてもらうことはできませんが、ある程度の傾向までは教えてもらえる可能性があるため積極的にヒアリングしましょう。
キーワードボリュームの調査
明確な理由があれば、楽天市場における特定のキーワードの検索ボリュームが大体どのくらいなのかを教えてもらえることがあります。
例えば、「◯◯(商品)の◯◯(特定のキーワード)に広告を使いたいから、このキーワードのだいたいの月間ボリュームを教えてほしい」と伝えた場合、具体的な数字は教えてもらえないことが多いですが、検索ボリュームの月別の推移の傾向程度は見せてもらえる可能性があります。
注意点としては、明確な理由なくキーワードのボリュームをヒアリングすると、店舗の売上を伸ばすこと以外の目的で情報を流用されてしまうと勘違いされてしまうリスクがあるため、しっかりとその情報が欲しい理由や質問の意図を伝えましょう。
楽天ECCは敵ではなくパートナーとして協調しよう!
楽天ECCは楽天の営業担当という印象を抱く方もいれば、実際にそういう側面もあります。しかし楽天ECCは敵ではなく、店舗の売上拡大を目指すパートナーです。ビジネスである以上、店舗にも楽天ECCにもそれぞれの目的がありますが、店舗の売上拡大を目指すという点では目的が一致しています。
駆け引きのようなやり取りが発生することがありつつも、共に店舗の売上を伸ばしていくパートナーとして尊重しあえるような関係づくりをしていきましょう。