ECサイトにおける購買体験の中で、重要な位置にある商品カート。成功しているECサイトはカートの見せ方にこだわっていたり、商品カートでアップセルの提案をしたりしています。そのようなカートカスタマイズには、Shopifyアプリ「UpCart」がおすすめです。
「Shopifyのカートをカスタマイズできるアプリを教えて」
「UpCartはどんなアプリ?何ができるの?」
「UpCartの使い方が知りたい」
この記事を読むことで、上記のような疑問やニーズが解決します。
カートにおけるアップセル施策やデザイン改善は、ショップの売上向上につながります。カートに課題をお持ちの方は、ぜひ今回の内容を参考にしてください。
Shopifyのカートカスタマイズアプリ「UpCart」とは?

画像出典:UpCart|Shopifyアプリストア
UpCartはShopifyストア向けのカートカスタマイズアプリです。カートにおける購買体験を向上させたり、平均注文額(AOV)を増加させたりするための多彩な機能を備えています。
具体的には、ブランドに合わせてカスタマイズ可能なカートデザイン、AIを活用しパーソナライズした商品レコメンド、関連商品表示や報酬バーなどです。UpCartではさまざまな機能を、プログラミングの知識を必要とせずに活用できます。
UpCartの注意点|設定は英語のみ
UpCartは便利なカートカスタマイズアプリですが、設定画面は英語のみで、日本語に対応していません。UpCartの設定はShopifyの管理画面内で行いますが、アプリの設定画面はブラウザの翻訳機能(Google翻訳など)にも対応していません。
そのため、英語が苦手な方は英文を一つひとつ翻訳アプリで翻訳する必要があるので注意してください。
ShopifyアプリUpCartの主な機能・できること
UpCartの主な機能を紹介します。これらの機能はすべて、商品カート上で動作します。
レコメンド・関連商品表示
お客様がカートに商品を入れた際、「最近チェックした商品に基づくおすすめ」のようにレコメンドを表示できます。また、カートに入れた商品と関連する商品を「コーディネートにおすすめの商品」というような提案もできます。
レコメンドや関連商品表示においてどの商品を表示するかは、手動での設定と、AIでの設定が可能です。AIを用いる場合、お客様の買い物履歴や閲覧行動に基づいて、AIが自動的に商品を提案します。
お客様が「あ、これも欲しかった」と思える商品を自然に紹介できるため、注文1回あたりの購入金額アップが期待できます。
報酬バー
報酬バーは、「あと1,000円で送料無料!」「あと2,000円のお買い物で10%オフ」など、目標達成型のメッセージをカート内に表示する機能です。お客様に具体的な購入目標とインセンティブを示すことで、「もう少し追加で買おう」という気持ちを自然に促せます。
インセンティブは配送料無料、割引特典、ギフトの3種類を設定可能。シンプルですが、売上アップに効果的な機能の一つです。
カートデザイン
ECサイトのデザインやブランドイメージに合わせたカート画面を、UpCart上で簡単に作れます。ロゴや色使い、フォントなどを統一することで、お客様に安心感を与え、購入をスムーズに進めます。
最低限のWebの知識があれば、直感的な操作でカスタマイズ可能です。パソコンとスマホで最適な表示になるよう自動調整されるため、どのデバイスでも見やすく使いやすいカート体験を提供できます。
スイッチアドオン
商品をカートに入れたお客様に、「+500円で速達配送」「+300円でギフトラッピング」「+200円で配送保険」というような、追加オプションを簡単に提案できます。
カート画面でシンプルなスイッチとして表示されるため、気軽なカート追加が期待できます。低価格で高利益率のサービスを提供できれば、お客様の満足度と売り上げの両方を同時に向上させられるでしょう。
固定カートボタン・エクスプレス決済
固定カートボタンは画面上に常に表示されるカートボタンで、お客様がいつでもすぐに商品カートを確認できるようになります。さらにShop Pay、PayPal、Apple Payなどでワンクリック決済可能なエクスプレスチェックアウトボタンを表示することで、お客様は長い入力フォームを埋める必要がなく、すぐに購入を完了できます。
面倒な手続きを省くことでカゴ落ち(途中離脱)が大幅に削減し、コンバージョン率向上が期待できるでしょう。
ShopifyにUpCartを導入するメリット
ShopifyにUpCartを導入することで得られる代表的なメリットを3つ紹介します。
平均注文単価(AOV)の向上
UpCartの関連商品提案機能やカートアップセル機能を活用することで、お客様が1回の注文で購入する金額(注文単価)の増加が期待できます。例えば、Tシャツを購入しようとしているお客様に、コーディネートに合う帽子やアクセサリーを提案するようなイメージです。
平均注文単価の向上は、売上アップに直結します。
カゴ落ちの削減
ネットショップ運営で頭を悩ませる「カゴ落ち」問題。カゴ落ちとは、商品をカートに追加したものの、サイトを離脱してしまうことをいいます。
UpCartはエクスプレス決済機能を提供しており、購入手続きがシンプルになります。特にスマホでの購入体験が大幅に改善され、ユーザーは入力フォームの煩わしさから解放されるでしょう。
購入までのステップが少なくなればなるほど、成約率は向上する傾向にあります。
一貫したブランドイメージの提供
ショップのトップページからカート、決済まで一貫したデザインで買い物できることは、お客様からの信頼性向上につながります。
UpCartなら専門知識がなくても、カートの色使いやフォントなどをブランドに合わせて簡単にカスタマイズ可能です。例えば、高級感を演出したい場合は落ち着いた色調と洗練されたフォントを、ポップなイメージなら明るい色合いと親しみやすいデザインを選べます。
この一貫性がお客様に「しっかりとしたショップ」という印象を与え、安心感につながるでしょう。
ShopifyアプリUpCartの利用料金
UpCartの利用料金は注文数に応じて変動します。注文数および支払い料金が異なっても、使用できる機能に差異はありません。
料金体系は以下の通りです。
注文数 | 月額料金 |
---|---|
0〜200件の注文 | 29.99ドル |
201〜500件の注文 | 34.99ドル |
501〜1,000件の注文 | 54.99ドル |
1,001〜2,000件の注文 | 99.99ドル |
2,001〜4,000件の注文 | 149.99ドル |
4,000件以上の注文 | 149.99ドル +追加注文毎に0.03ドル ※最大799.99ドル |
2025年3月時点
UpCartには14日間の無料体験期間があります。気になった方は試してみると良いでしょう。
ShopifyアプリUpCartの導入方法と初期設定
UpCartの導入方法と初期設定について解説します。
はじめにShopifyアプリストアより、「UpCart」をインストールします。

画像出典:UpCart|Shopifyアプリストア
Shopifyストアで再度インストールの確認が表示されますので、「インストール」をクリックします。

画像出典:Shopify管理画面
インストールしたら、料金プランの選択画面が表示されます。大規模ストア以外はGrowth Planになると思いますので、Growth Planの「Start 14-day free trial(14日間の無料トライアル)」をクリックします。

続いて、サブスクリプションを承認します。この時点では、請求は発生しません。

簡単な質問に回答すると、Shopifyの管理画面内にUpCartの設定画面が表示されます。

続いて、初期設定を行いましょう。Shopifyの管理画面より、「オンラインストア」 > 「テーマ」 > 「カスタマイズ」の順にクリックします。

アプリを埋め込むボタンをクリックし、「UpCart Bridge」のスイッチをオンにし、「保存する」をクリックします。

これで初期設定は完了です。
ShopifyアプリUpCartの具体的な使い方
この章ではUpCartの具体的な使い方として、関連商品を提案するカートアップセル機能の設定方法と有効化の仕方について解説します。
メイン画面の「Cart Editor」を選択。この画面では、カートのデザインや各種機能を設定できます。

左のメニューより設定したい機能を選択します。機能項目と簡単な説明は、以下の通りです。
- Announcements:アナウンスメントバーの表示
- Rewards:報酬バーの表示
- Recommendations:カート内におけるレコメンド
- Subscription Upgrades:サブスクリプションのアップグレード提案
- Upsells:カート内におけるアップセル提案
- Additional Notes:顧客注文時のメモ入力欄の表示
- Add-ons:スイッチアドオンの表示
- Discount Codes:割引コード入力欄の表示
- Express Payments:エクスプレスペイメントの表示
- Trust Badges:トラストバッジの表示
今回の解説ではカートアップセルを設定するため、 「Upsells」を選択します。

設定画面が表示されました。「Select Product(商品の選択)」では商品の提案方法や提案商品に関する設定を行います。設定方法は以下の2つ。
- Use AI Recommended upsells(AI推奨のアップセルを使用する)
- Configure Manual Upsells(手動でアップセルを設定する)

AIによる関連商品提案を有効にする場合には、「Use AI Recommended upsells」にチェックを入れます。その後、AIのアルゴリズムを以下の2つから選びます。
- Related(関連商品):類似商品(同じコレクションに分類されている商品)を提案
- Complementary(補完商品):補完となる商品は提案
「Related」を選択した場合、「Use Smart Variant Matching(スマートバリアントマッチングを使用する)」にチェックを入れることができます。
「Smart Variant Matching」とは、顧客のカート内の商品と合わせた色やサイズを自動で選んでくれる便利な機能です。例えば、黒のシャツをカートに入れると、レコメンドされたパンツも黒が選択された状態で表示されます。
「Configure Manual Upsells(手動でアップセルを設定する)」を選んだ場合、「Trigger Product(トリガーとなる対象商品)」と「Upsell Product(レコメンドされる商品)」にそれぞれ商品を選択します。たくさんの組み合わせを設定する場合には手間がかかってしまいますが、提案したい商品の組み合わせを確実に表示できます。

この記事では、手動で「Tシャツがカートに追加された時、ジーンズをレコメンドする」というアップセル提案の設定を行いました。
続いて、「Upsell Settings」の項目で、アップセルの設定を行います。以下のチェックボックスは必要に応じて、チェックを入れてください。
- 「Show upsell offer if item already in cart?(商品がすでにカートに入っている場合、アップセルオファーを表示しますか?)」
- 「Limit the number of upsells in the cart?(カート内のアップセルの数を制限しますか?)」
- また、以下の外観に関する項目も設定します。
- Upsell Title(アップセルのタイトル)
- Add Text(カートに追加ボタンのテキスト)
- Upsell Position(アップセルの位置)
- Upsell Direction(アップセルの方向)

設定が完了したら、画面上部の「Save」をクリックします。「Cart Status」を「Disabled(無効)」を「Active(有効)」にします。

この際、プレビューでの確認を求められます。「Open preview mode」をクリックし、動作を確認しましょう。その他、確認ポイントの7項目で問題がない場合には、チェックを入れて「Next」をクリック。

「Active UpCart」をクリックして、有効化します。

実際の画面でも確認してみましょう。
カートに商品を追加すると、設定した関連商品が表示されました。

使い方の解説は以上です。
UpCartを導入してカートをカスタマイズしよう
この記事ではカートカスタマイズアプリのUpCartについて、機能やメリット、使い方などを解説しました。
UpCartのさまざまな機能を活用すれば、注文単価の向上やカゴ落ちの削減効果が期待できます。一方で、設定画面は英語のみで、英語が苦手な方にとっては設定が困難に感じることもあるでしょう。そのような方は、本記事で紹介している具体的な使い方を参考にしてみてください。
UpCartでカートをカスタマイズし、売上アップを目指しましょう。
最後に、下記のブログ記事では、Shopifyで実施できるカゴ落ち対策を紹介しています。ぜひご参考にしてください。