ShopifyのAIアプリSimGymとは?AIショッパーでストア改善を試せる仕組みと使い方

ShopifyのAIアプリSimGymとは?AIショッパーでストア改善を試せる仕組みと使い方

Shopifyのストア改善をするとき、「とりあえず変えてみる」「結果を見てから考える」という進め方になりがちです。しかし、思わぬ売上の低下やムダな修正作業につながることも少なくありません。

そこでおすすめなのが、Shopify公式が提供するAIシミュレーションアプリ「SimGym」です。SimGymを活用すれば、改善したストアの公開前にその効果検証が可能になります。

この記事では、SimGymの概要や機能、導入前に押さえておきたいポイントを整理します。

ShopifyのAIシミュレーションアプリ「SimGym」とは?

SimGym|Shopifyアプリストア

画像出典:SimGym|Shopifyアプリストア

SimGymは、Shopifyが提供するAIシミュレーションアプリです。顧客の行動を模した「AIショッパー(AI買い物客)」を使い、あなたのストアでテーマ変更やデザイン調整、新しい施策アイデアがどのように働くかを公開前にテストできます。

実際のユーザーが訪れる前に、買い物の流れや反応をAIでシミュレーションできるため、変更の影響を事前に把握しやすくなります。

2026年3月からはウェイトリスト制が廃止され、対象マーチャントであれば誰でも申請不要で利用開始できるようになりました。なお、現時点ではAI Research Preview(研究プレビュー)版での提供であり、今後機能のアップデートや正式版リリースが見込まれます。

SimGymの主な機能・できること

ここではSimGymの主な機能やできることを紹介します。

AIショッパーで顧客行動をシミュレーションする

SimGymの中心となる機能は、AIショッパーがあなたのストアを「仮想で訪問し、実際の顧客のように動く」ことです。これにより、実際に顧客がサイトに訪問する前に、サイト内の使いにくい・迷いやすいポイントなどを見つけることができます。

AIショッパーは、商品の閲覧、コレクションの探索、カートへの追加といった一連の行動を実際の顧客のように行い、その体験についての定性的なフィードバックを返します。

2種類のシミュレーションを使い分けられる

SimGymで実行できるシミュレーションは2種類あります。

  • テーマ比較:現在公開中のテーマと下書きテーマを比較し、どちらが買い物客の購買体験で優れているかを判定する
  • 単一テーマ分析:1つのテーマだけを対象に、強み・改善点・推奨事項を分析する

新テーマへの切り替えを検討するときはテーマ比較、現状ストアの問題点を洗い出すときは単一テーマ分析、という使い分けが基本です。

フォーカスエリアで特定ページに絞った検証ができる

シミュレーション実行時に、AIショッパーの検証対象をホームページ・商品ページ・コレクション・カートのいずれかに絞り込めます。

「カートに進む前の離脱が気になる」「商品ページの構成を改善したい」など、具体的な課題に絞った検証が可能です。

ストアの変更を公開前にテストできる

ストア変更を公開後に、実際の顧客行動を検証するツールはいくつかあります。しかし、SimGymはストア変更を「公開する前に試せる」ところが、これまでのツールと異なる点です。

たとえばテーマの変更やページの配置を事前にテストすることで、公開後のアクセス数や売上減少リスクを抑えられます。実際の訪問者が来る前に問題点を見つけられるので、安心してストア改善の判断ができるようになるでしょう。

AIが改善のヒントを教えてくれる

SimGymは単なるシミュレーションだけでなく、AIショッパーの行動結果に基づいた改善のヒントを提供してくれます。

たとえば、「欲しい商品を見つけるのが大変でした。このサイトのナビゲーションは良くありません。」「検索フィルターが機能せず、興味のない商品を除外できませんでした」といった形で、具体的な改善のヒントが得られるため、改善の方向性を考える際のヒントとして活用しやすくなります。

フィードバックは、ナビゲーション体験(商品の見つけやすさ)、チェックアウト体験(カート追加の操作性)、ストアレイアウト(全体構造の直感性)の3つの基準で評価されます。

指標を見ながら効果を比較できる

SimGymでは、AIショッパーの行動をもとにカート追加率や遷移パターンなどのデータ指標も確認できます。これにより、どの変更が購買体験に良い影響を与えているか、客観的に比較しやすくなります。

テーマ比較では、カート追加率が最も高いテーマが「勝者」として判定されます。スコアが同じになった場合は引き分けと判定され、明確な結論が出ないケースもあります。

ShopifyにSimGymを導入するメリット

ShopifyストアにSimGymを導入するメリットを紹介します。

売上を下げる原因も、今うまくいっている点も事前にわかる

SimGymを使うと、AIが実際の顧客のようにストアを回遊し、「どこで迷いやすいか」「どこで購入を止めやすいか」といった売上を下げている原因を事前に把握できます。それだけでなく、「どの導線やページがスムーズに機能しているか」といった、今うまくいっているポイントも教えてくれるのも大きな特徴です。

そのため、直すべき場所だけを的確に改善でき、反対に、本当は機能している部分をうっかり壊してしまうような誤った修正を防ぐことができます。「変えたら売れなくなった」という失敗を避けながら、売上につながる改善だけを効率よく積み重ねられる点は、SimGymならではの大きなメリットと言えるでしょう。

ムダな改修ややり直しを減らせる

通常の改善作業は、変えてみる → 様子を見る → また直すという試行錯誤が多くなりがちです。SimGymを使えば、変更前に結果をある程度予測できるため、やり直しの回数を大きく減らせるでしょう。

結果として、外注費や作業時間などのコスト削減にもつながり、少ない労力で効率よくストアを改善できるようになります。

顧客目線でストアを見直せる

ストアを長く運営していると、「自分には当たり前」の導線や表現が、顧客にはわかりにくいことがあります。SimGymのAIショッパーは、初めて訪れる人に近い目線で動くため、客観的な視点で課題を見つけられるでしょう。

これにより、固定観念や既成概念を排除して、より買いやすく、迷いにくいストア作りができるようになります。

トラフィックが少ないストアでもA/Bテスト的に活用できる

通常のA/Bテストには、統計的に意味のある結果を得るために多くのアクセス数が必要です。アクセス数が少ないストアでは、検定が収束する前に時間ばかり過ぎてしまうこともあります。

SimGymはAIショッパーによる仮想的なシミュレーションのため、実トラフィックがなくても、改善前後の購買体験を比較できます。ECを始めたばかりのストアや、ニッチ商品を扱うストアにとっても、改善判断のヒントを得やすいツールです。

SimGymを使うための利用要件

SimGymを利用するには、ストアが以下の条件を満たしている必要があります。導入前に確認しましょう。

Liquidのストアフロントを使用していること

SimGymは、ShopifyのLiquidテンプレートで構築された標準的なストアフロントを対象としています。Hydrogenやヘッドレスのストアフロントはサポートされておらず、SimGymの動作対象外です。

ヘッドレスでストアを構築しているマーチャントは、現時点でSimGymを利用できない点に注意してください。

Shopify Network Intelligence(SNI)が有効になっていること

SimGymはAIショッパーの行動分析にShopify Network Intelligence(SNI)の仕組みを活用します。そのため、SNIが有効になっていることが利用の前提です。SNIはShopify管理画面の「設定」>「お客様のプライバシー」から有効かどうかを確認できます。

SNIの仕組みや活用法について詳しくは、以下の記事をご覧ください。

ストアがパスワードで保護されていないこと

開発中や準備段階のストアでは、パスワード保護をかけて外部からのアクセスを制限することがあります。しかし、AIショッパーがストアを回遊できないため、SimGymの利用にはパスワード保護を解除する必要があります。

なお、ストアがこれらの要件を満たしていない場合、SimGymを開いた際にアプリ画面上で利用できない理由と必要な対応が表示されます。

SimGymの導入方法と使い方

ここからはSimGymを導入し、シミュレーションを実行する手順を解説します。

SimGymをインストールする

はじめにShopifyアプリストアより、「SimGym」をインストールします。

SimGym|Shopifyアプリストア

画像出典:SimGym|Shopifyアプリストア

Shopifyストアで再度インストールの確認が表示されますので、「インストール」をクリックします。

インストール確認画面

これでインストール完了です。2026年3月のアップデート以降はウェイトリスト登録は不要で、対象マーチャントであればすぐにシミュレーションを実行できます。

シミュレーションを作成する

管理画面から「アプリ > SimGym」に移動し、「シミュレーションを作成」をクリックします。

シミュレーションのタイプを以下の2つから選択します。

SimGymの管理画面からシミュレーションを作成

SimGymの管理画面からシミュレーションを作成

  • テーマを分析する(単一テーマ分析):1つのテーマを単独で分析し、優先順位付きの改善推奨事項を取得する
  • 2つのテーマを比較する(テーマ比較):現在のアクティブテーマと下書きテーマを比較し、どちらが買い物客の購買体験で優れているかを判定する

シミュレーション名を入力したら、対象のテーマを選択します。

テーマを分析するを選んだ場合は、ライブテーマまたは下書きテーマから1つを選びます。さらに、推奨事項のフォーカスエリア(ホームページ・商品ページ・コレクション・カート)を選択することもできます。

テーマを分析

テーマを分析

2つのテーマを比較するを選んだ場合は、下書きテーマから2つ目のテーマを選択し、アクティブなテーマと並べて比較します。

2つのテーマを比較

2つのテーマを比較

「シミュレーションを開始」をクリックすると、シミュレーションが始まります。シミュレーション開始後は、AIショッパーがストアを操作している様子や進行状況をリアルタイムに確認することができます。

AIエージェントの挙動がリアルタイムで確認可能

AIエージェントの挙動がリアルタイムで確認可能

シミュレーション結果を確認する

シミュレーションが完了すると、結果が分析レポートとして表示されます。レポートは基本的には英語であること、また、分析が完了するにはある程度の時間がかかることに注意してください。

なお、総合レポート以外にも、個々のAIショッパーの買い物客の閲覧行動とフィードバックも確認することが可能です。

テーマを分析する

購買体験のサマリー、強み、改善点、コンバージョン影響度順の推奨事項が表示されます。フォーカスエリアを選択した場合は、そのエリアに絞った分析結果が得られます。

2つのテーマを比較する

カート追加率が最も高いテーマが「勝者」として判定されます。スコアが同じ場合は引き分けと判定され、明確な結論が出ないケースもあります。

シミュレーションを成功させるコツ

SimGymは便利なツールですが、分析結果がそのまま改善施策に直結するわけではありません。現在はAIリサーチプレビュー版であり、シミュレーション結果と実際の顧客行動が一致しない場合もあります。結果を鵜呑みにせず、実際のストアデータと照合しながら活用することが大切です。

そのうえで、公式が推奨するSimGym活用のコツは以下の3点です。

一度に1つの変更をテストする

複数の変更を同時にテストすると、何が結果に影響したのか判断しにくくなります。

個々のAIショッパーの記録を確認する

全体の集計だけでなく、個別の買い物客のアクションログを見ることで、行動パターンの理解が深まることにつながります。

大きな変更を加える前にテストする

本番テーマに大幅な変更を反映する前に、下書きテーマでシミュレーションして影響を予測することができます。

ShopifyアプリSimGymを使用する際の注意点

様々な効果が期待できるSimGymですが、使用に際して注意点もあります。よく確認してから、導入を検討してください。

日本語には対応していない

SimGymの分析結果は日本語化されておらず、英語になります。そのため、英語の読解に不安がある場合は、翻訳ツールの併用が必要になります。理解や操作のハードルが上がる可能性がある点には注意しましょう。

開発ストア(公開前ストア)では利用できない

SimGymは公開済みのストアでのみ利用できます。開発ストアや、まだ公開していないストアではシミュレーションを実行できません。新規ストアの構築段階で試したい場合は、ストアを公開した後に導入する必要があります。

シミュレーションごとに料金が発生する

SimGymは無料でインストール可能ですが、シミュレーションを実行するごとに追加料金が発生する従量課金モデルです。クレジット消費量はシミュレーションタイプによって異なります。

  • 単一テーマ分析:1クレジット
  • 2つのテーマ比較:2クレジット

AIリサーチプレビュー期間中は、公開済みストアに対して20クレジットが無料付与されます。単一テーマ分析であれば20回、2つのテーマ比較であれば10回まで無料で試せる計算です。

無料クレジットを使い切った後は、1クレジットあたり10ドルで追加購入できます。なお、無料クレジットの付与条件や枚数は今後変更される可能性があるため、最新の情報はSimGymアプリ内でご確認ください。

※本記載は2026年6月時点の情報を元にしています。

Google Analyticsの数値に影響する可能性がある

SimGymのシミュレーションでは、AIショッパーが実際にストアを回遊するため、Google Analyticsのトラフィック数やコンバージョントラッキング(カート追加、チェックアウト開始など)に数値が混ざる可能性があります。シミュレーション実施期間中の分析データは、AIショッパーの行動が含まれている前提で確認しましょう。

リサーチプレビュー段階のため検証が必要

SimGymは現在、リサーチプレビュー段階のアプリであり、正式リリース前の試験版です。

そのため、機能や挙動が今後変更される可能性があり、実際のストア運用でどの程度役立つかは導入後に検証する必要があります。また、日本国内での正式な提供やサポート体制が整うかどうかも今後のアップデート次第でしょう。

試用中は、他の改善ツールや実データとの比較も行いながら効果を判断することをおすすめします。

AIシミュレーションは実際の顧客行動を完全には再現しない

SimGymのAIショッパーは、実際の顧客行動を模したものですが、「完全な予測」ではありません。AIの動きは統計的な傾向を基づいており、リアルユーザーの多様な行動や感情的な判断までは反映されない点は押さえておきましょう。

SimGymを活用してストアを最適化しよう

この記事ではShopifyが提供するAIシミュレーションアプリ「SimGym」について、概要や機能、メリット、注意点を解説しました。

SimGymは、AIショッパーによるシミュレーションで「結果を予測してから改善できる」新しいタイプのアプリです。2026年3月からはウェイトリストが廃止され、対象マーチャントであればすぐに試せるようになりました。AIリサーチプレビュー段階で無料クレジットも付与されるため、ストア改善の精度を高めたい方は、一度試してみてはいかがでしょうか。

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