ChatGPTやGoogle Geminiなど、AIとの会話を通じて商品を探したり比較したりする購買体験が広がりつつあります。Shopifyでは、こうしたAIチャネルに商品情報を提供する基盤として、Shopify Catalogを整備しています。
2026年6月17日に公開された「Spring ’26 Edition」でも、Shopify Catalogをはじめ、AIチャネルでの商品発見や販売を支える機能が紹介されました。
参照:Shopify「Spring ’26 Edition」
Shopify Catalogに商品が掲載されると、AIチャネルが商品名、説明、価格、在庫状況などを参照できるようになります。AIエージェントが商品を探し、購入までを担うエージェンティックコマースへの対応を考えるうえでも、商品情報を正確に登録し、AIチャネルへ提供できる状態を整えておくことが重要です。
本記事では、Shopify Catalogの仕組み、Agentic Storefrontsとの関係、日本向けストアが確認したい利用条件、商品情報の整え方を解説します。
なお、Shopify Catalogの掲載要件には「商品をアメリカまたはカナダへ配送できること」が含まれます。そのため、日本国内のみで販売しているストアは対象外です。ただし、ストアの拠点が日本であること自体は要件になっていないため、米国またはカナダへの配送に対応すれば掲載対象になり得ます。
本記載は2026年7月時点の情報をもとにしています。
Shopify Catalogとは
Shopify Catalogは、Shopify上の商品情報を整理し、ShopアプリやAIプラットフォーム、ショッピングサイトなどから検索できるようにする商品データ基盤です。
商品名、説明、サイズやカラーなどのオプション、商品URLなどを、ShopアプリやAIエージェントが読み取りやすい形式に整理します。Shopify Catalogにアクセスできるサービスは、整理されたデータを商品検索や比較、商品の提案に活用します。
Shopify Catalogの仕組み
通常のストアでは、商品名、商品説明、サイズなどの情報がストアごとに異なる構成で掲載されています。人が商品ページを見る場合は内容を判断できますが、AIエージェントが複数のストアの商品を横断して検索するには、それぞれ異なる形式の情報を読み取らなければなりません。
Shopify Catalogは、Shopifyに登録された商品情報を共通の項目に沿って構造化する仕組みです。ストアと商品が要件を満たしていれば、商品情報が自動的にShopify Catalogへ追加されます。商品名、説明、価格、在庫状況、バリエーションなどが共通の形式で扱われるため、AIエージェントは商品の特徴や購入条件を把握しやすくなります。
たとえば、利用者がAIチャットで「雨の日にも使える軽量な通勤バッグを探している」と質問した場合、AIエージェントはShopify Catalogに掲載された情報をもとに条件に合う商品を検索し、回答の中で候補として提示します。
Shopify Catalogに掲載されてもAIチャネルでの表示は保証されない
Shopify Catalogに商品が掲載されても、AIチャネルの検索結果に必ず表示されるわけではありません。表示される商品は、利用者が入力した質問との関連性、商品情報の充実度、レビューなどをもとに、AIチャネル側が判断します。ストア運営者が表示順位を指定したり、特定の商品を優先的に表示させたりすることはできません。
Shopify Catalogで共有されるのは主に商品情報
Shopify Catalogを通じてAIチャネルへ提供されるのは、商品名、説明、画像、価格、在庫状況、バリエーション、商品URLなどの商品情報です。Shopify管理画面に保存されている顧客データベースや、過去の注文履歴全体が共有されるわけではありません。
AIチャネル内で購入手続きを完了できるダイレクトチェックアウトでは、注文処理に必要な購入者の氏名、メールアドレス、配送先住所などが共有されます。ただし、共有されるのは、その注文の処理に必要な情報に限られます。
なお、ダイレクトチェックアウトを利用できるのは、Google AI ModeとGemini、Microsoft Copilot、Metaです。ChatGPTは購入をチャネル内で完結させず、購入者をストアのチェックアウトへ遷移させる方式のため、この共有は発生しません。
MarketsやB2Bで使う「カタログ」とは異なる
ShopifyにはMarketsやShopify B2Bで使用する「カタログ」もありますが、本記事で扱うShopify Catalogとは別の機能です。
MarketsやB2Bのカタログは、販売先や法人顧客に応じて、購入できる商品や価格を設定するために使用します。たとえば、日本市場向けの円建て価格や、卸売先A社向けの30%オフ価格など、販売先ごとに価格や販売商品を設定できます。一方、Shopify Catalogが読み取るのは、一般の購入者に公開している商品情報です。B2Bカタログで設定した特定企業向けの価格や、特定マーケット向けの限定商品ラインナップは、Shopify Catalogを通じてAIチャネルには共有されません。
MarketsやB2Bで使うカタログについては、以下の記事をごらんください。
Shopify CatalogとAgentic Storefrontsの関係
Shopify CatalogとAgentic Storefrontsは、どちらもAIチャネルでの商品販売を支える仕組みですが、それぞれ役割が異なります。
Agentic Storefrontsは商品発見から購入までを支える仕組み
Agentic Storefrontsは、購入者がAIチャネルで商品を見つけ、購入へ進めるようにするShopifyの販売機能です。Shopify Catalogが商品情報を整理して提供する基盤であるのに対し、Agentic StorefrontsはAIチャネル上で提供される販売体験を指します。Agentic Storefrontsは、Shopify Catalogで構造化された商品データをAIチャネルへ届け、商品発見から購入までの体験を支えます。
Agentic Storefrontsの詳しい対応方法や利用条件は以下の記事をごらんください。
日本のShopifyストアはShopify Catalogを利用できる?
Shopify Catalogの掲載条件は、ストアの拠点が日本であること自体を問題にしていません。実際、ChatGPT向けの機能についてShopifyは「ストアはアメリカ国外を拠点にできるが、アメリカの顧客に販売している必要がある」と案内しています。
ただし、商品に関する掲載条件には「商品をアメリカまたはカナダへ配送できること」が含まれます。日本拠点のストアであっても、米国またはカナダへの配送に対応していなければ、この条件を満たせません。拠点の所在地と配送先の条件は別に確認する必要があります。
商品がShopify Catalogの掲載条件を満たしているか、自社ストアで各AIチャネルのAgentic Storefrontsを利用できるかを分けて確認しましょう。
日本拠点のストアもShopify Catalogの対象になり得る
Shopify Catalogの掲載条件は、ストアの拠点が日本であること自体を問題にしていません。実際、ChatGPT向けの機能についてShopifyは「ストアはアメリカ国外を拠点にできるが、アメリカの顧客に販売している必要がある」と案内しています。
ただし、商品に関する掲載条件には「商品をアメリカまたはカナダへ配送できること」が含まれます。日本拠点のストアであっても、米国またはカナダへの配送に対応していなければ、この条件を満たせません。拠点の所在地と配送先の条件は別に確認する必要があります。
AIチャネルごとに対象国と利用条件が異なる
ChatGPT向けの機能は、以下の2点を満たすストアで利用できます。
①ストアがアメリカの顧客に販売していること(ストアの拠点自体はアメリカ国外でも構いません)
②管理画面の設定>ポリシーで利用規約・プライバシーポリシー・返品返金ポリシーを登録していること
ただし、ChatGPT内で購入が完結するのではなく、利用者はChatGPTアプリ内ブラウザ(Web版は新規タブ)を経由してShopifyストアのチェックアウトへ移動します。
Google AI ModeとGemini向けのAgentic Storefrontsは、2026年7月時点でも早期アクセスとして案内されており、すべてのShopifyストアで利用できるわけではありません。利用可能になると、Shopify管理画面に通知が表示されます。
日本向けの販売や日本国内でのダイレクトチェックアウトについては、AIチャネルごとに対応地域や条件が異なります。管理画面の「販売チャネル」から「Agentic」を開き、自社ストアで利用できるチャネルを確認することが大切です。
Shopify Catalogに掲載されるための主な条件
Shopify Catalogへ自動的に掲載されるには、ストアと商品がそれぞれ要件を満たしている必要があります。
ストアに関する掲載条件
ストア側では、以下の2条件が設けられています。
- Shopifyのサービス利用規約(Terms of Service)と適正利用規約(Acceptable Use Policy)に準拠している
- Starterプラン以上を利用しており、ストアがパスワードで保護されていない
ストアの公開準備中などでパスワード保護を有効にしている場合、商品はShopify Catalogの対象になりません。正式公開後に掲載状況を確認しましょう。
商品に関する掲載条件
商品側では、主に以下の条件を満たす必要があります。
- 商品タイトルと1枚以上の商品画像が登録されている
- 価格が0ドルを超えている(無料商品は対象外)
- 商品をアメリカまたはカナダへ配送できる
- オンラインストア、Hydrogen、またはヘッドレスチャネルに公開されている
- 商品ごとに固有のURLが設定され、そのURLから直接アクセスできる
- 商品のステータスが「未掲載」になっていない
- 検索エンジンから非表示に設定されていない
- 成人向けコンテンツなど、センシティブな内容を含んでいない
なお、法人や卸売の顧客のみに販売される商品(B2Bカタログの利用や顧客認証の要否などでShopifyが識別できる場合)は、Shopify Catalogから自動的に除外されます。B2B専用の商品を一般消費者向けと分けて管理している場合は、この点もあわせて確認しましょう。
通常のShopifyオンラインストアでは、/products/商品ハンドル 形式の商品ページURLが使用されます。無料商品や未掲載の商品、検索エンジンから非表示に設定されている商品は対象になりません。
Shopify Catalogの設定・確認方法
Shopify Catalogへの掲載は自動で行われます。AIチャネルへの商品データ共有は、Shopify管理画面から確認・変更できます。
Agenticセクションでデータ共有の設定を確認する
Shopify管理画面>販売チャネル>Agentic を開くと、Agentic Storefrontsの設定を確認できます。

画像出典:Shopify
管理画面の「Agentic」セクションでは、AIチャネルごとに次の項目を管理・確認できます。
- Shopify Catalogへのアクセスを許可する
- AIチャネル内での直接チェックアウトを許可する
- 商品の表示状況や販売成果を確認する
初期状態では「Shopifyに管理を任せる」が有効になり、利用可能なAIチャネルによるShopify Catalogへのアクセスと、対応チャネルのダイレクトチェックアウトが自動的に有効になります。新しいAIチャネルが追加された場合も、Shopifyが自動的に管理します。
自動登録を希望しない場合は「Shopifyに管理を任せる」を無効にし、チャネルごとに設定を管理できます。
AIチャネルごとの商品データ共有を管理する
「Shopifyに管理を任せる」を無効にし、個別管理に切り替えると、ChatGPT、Microsoft Copilot、Google AI ModeとGemini、Metaなど、チャネルごとにShopify Catalogへのアクセスを許可するかどうかを設定できます。
なお、Shopify Catalogへのアクセスを無効にした場合、商品データの共有が停止するまで最大7日かかる場合があります。

AIチャネルに表示したくない商品を非表示にする
AIチャネルへのShopify Catalogアクセスを無効にしても、ウェブクローリングや検索エンジンのインデックスを通じて商品が発見される場合があります。
特定の商品をAIチャネルから完全に非表示にする場合は、商品のステータスを「未掲載」にするか、seo.hiddenメタフィールドを使用します。
ただし、未掲載にした商品は、AIチャネルだけではなく、Shop、サイトマップ、Googleなどの検索エンジン、オンラインストア内検索からも非表示になります。影響範囲を確認してから設定してください。
検索プレビューで商品の見つけやすさを確認する
Agenticセクションの検索プレビューでは、商品名やキーワードを入力し、Shopify Catalog内で商品がどのように検索されるかを確認できます。
検索結果には、リスティング品質や改善点が表示されます。公式ヘルプは、商品詳細に含まれるタイトル、説明、画像、商品分類、バーコード情報、バリエーションとオプション、外部商品URLを整えること、あわせてストアポリシーの完全性と最新性を確認することを挙げています。表示される評価項目の詳細は、実際の管理画面で確認しましょう。
検索プレビューは、実際のAIチャネルでの掲載順位を保証する機能ではありません。商品情報の不足を見つけるための参考情報として活用しましょう。
AI検索で商品を見つけてもらうためのShopify Catalog対策
Shopify Catalogのためだけに特別な商品ページを作る必要はありません。購入者が商品を判断するために必要な情報を、Shopifyの商品管理画面に正確に登録することが重要です。
商品説明に素材、用途、サイズ感、対象者を記載する
商品説明では商品の特徴だけではなく、購入者が検索時に条件として指定しそうな情報を具体的に記載します。
アパレル商品であれば、素材、季節、着用場面、シルエット、サイズ感、お手入れ方法などが候補です。食品では、内容量、原材料、アレルギー、賞味期限、保存方法、配送温度帯などを整理します。
「高品質な商品です」「さまざまな場面で活躍します」といった抽象的な説明だけでは、AIエージェントが商品を他の商品と区別しにくくなります。
こうした商品説明の作成には、ShopifyのAIアシスタントであるShopify Sidekickも活用できます。Sidekickの利用方法については以下の記事をごらんください。
Shopify Sidekickとは?基本機能からSpring '26最新アップデートまで解説

画像出典:Shopify
商品画像を複数の角度や利用場面で用意する
商品画像は、枚数と網羅性の両方が商品情報の充実度に関わります。 正面画像だけではなく、背面、側面、細部、サイズ比較、使用中の様子など、購入判断に必要な画像を用意しましょう。カラーやデザインが異なるバリエーションでは、それぞれに対応する画像を登録することも大切です。
画像内だけに情報を記載せず、商品説明やメタフィールドにも同じ内容を登録してください。
商品カテゴリーとメタフィールドを整理する
Shopifyの商品カテゴリーやメタフィールドを利用すると、素材、対象年齢、サイズ、用途などの情報を構造化して管理できます。
商品名や説明、カテゴリーを独自のメタフィールドで管理しているストアでは、Shopify Catalog Mappingを利用して、Shopify Catalogへ送信するデータの参照元を変更できます。
すべてのストアでマッピング設定を変更する必要はありません。メタフィールド、メタオブジェクト、商品タグなどを使って独自の商品構造を作っている場合に確認しましょう。

バリエーション名やオプション名を分かりやすくする
カラー、サイズ、容量などのオプション名には、購入者とAIエージェントの両方が理解できる名称を使用します。
社内管理用の略称や商品コードだけで登録している場合は、表示名の変更を検討してください。Shopify Catalog Mappingでは、Shopify Catalog上に表示するオプション名を設定することもできます。
配送、返品、返金ポリシーを最新にする
配送や返品に関する情報は、購入者の判断だけではなく、AIエージェントが商品を提案する際の信頼性にも関わります。
Shopify管理画面>設定>ポリシーから、利用規約、プライバシーポリシー、配送ポリシー、返品・返金ポリシーを確認しましょう。ChatGPTで販売する場合は、利用規約、プライバシーポリシー、返品・返金ポリシーの登録が利用要件に含まれています。あわせて、商品説明の最初の6,000文字以内に、返品条件などの関連する法的開示を含めておくことも要件の一つです。

表示状況を確認しながら商品情報を改善する
商品情報を整えた後は、AIチャネルごとの表示状況やAgenticセクションのパフォーマンスデータ、オンラインストアへの流入や売上を確認します。
確認した結果をもとに、商品説明や画像、バリエーションなどを継続的に改善しましょう。
まとめ
2026年7月時点では、Shopify Catalogの掲載要件に、商品をアメリカまたはカナダへ配送できることが含まれています。そのため、日本国内のみで販売しているストアは現在の対象外です。
ただし、ストアの拠点が日本であること自体は問題にならないため、米国またはカナダへの配送に対応すれば、今すぐ掲載対象になり得ます。また、今後対象地域や利用条件が拡大する可能性もあります。将来の対応に備えて、今のうちから商品情報を整備し、Agentic Storefrontsを利用するための準備を進めておきましょう。

