犬用おやつの販売に許可は必要?手作り販売の届出・表示と売り方を解説

犬用おやつの販売に許可は必要?手作り販売の届出・表示と売り方を解説

手作りの犬用おやつを販売したいと思っても、「営業許可は必要か」「どこへ届け出るのか」が分からず、準備に迷うことがあるでしょう。犬用おやつは一般的なハンドメイド雑貨とは異なり、ペットフードとして法律で定められたルールに従う必要があります。

犬用おやつを作って売るための特別な資格や営業許可は、基本的に必要ありません。ただし、自分で作ったものを販売する場合は、事業を始める前に届出が必要です。作った商品の記録、パッケージの表示、広告に使う言葉にもルールがあります。

この記事では、犬用おやつを販売する前に必要な準備と、販売チャネルの選び方を解説します。

犬用おやつの販売に許可は必要?

犬用おやつは、「愛がん動物用飼料の安全性の確保に関する法律」の対象です。一般には、ペットフード安全法と呼ばれています。人が食べる食品の営業許可とは仕組みが異なり、犬用おやつを作って売るすべての人に共通して必要な許可や資格はありません。ただし、自分で作った犬用おやつを販売する場合は、製造業者として事前に届け出る必要があります。

手作りで持ち帰り・オンライン販売するなら届出が必要

犬・猫用のペットフードを作ったり輸入したりする個人や会社は、事業を始める前に届出を行います。提出先は、事業を行う場所の住所を担当する地方農政局などです。犬用おやつを自宅や工房で作り、店舗で持ち帰り販売する場合や、オンラインショップで発送する場合も対象になります。

自分で犬用おやつを作って販売する場合は、以下の順番で準備します。

  1. 農林水産省の事業者向けページで、届出書と提出先を確認する
  2. 届出書に事業者名、住所、作るペットフードの種類などを記入する
  3. 個人は住民票や運転免許証など、会社は登記事項証明書(会社の登録内容を確認できる書類)などを用意する
  4. 事業を始める前に、担当する地方農政局へ提出する

完成品を仕入れ、そのまま消費者へ販売する場合は、販売業者としての事前届出は不要です。ただし、自分で加熱、乾燥、材料の混ぜ合わせ、小分けなどを行うと、製造として扱われる可能性があります。判断できないときは、行う作業と作業場所を伝え、販売前に地方農政局へ確認してください。

参照:農林水産省「ペットフードの安全関係(事業者のみなさま向けページ)」

店内で提供する場合と、持ち帰り販売は扱いが異なる

ドッグカフェなどでおやつを作り、その店内で犬に与える場合は、製造業者の届出やペットフード安全法に基づく表示は必要ありません。

一方、持ち帰り用に包装して販売する場合は、届出、表示、安全に関する基準を守る必要があります。

参照:農林水産省「事業者のみなさま向けQ&A」

無届出・虚偽届出の罰則

ペットフード安全法では、届出をしなかった場合や、事実と異なる内容を届け出た場合に、30万円以下の罰金が定められています。販売を始める前に、事業者名、住所、作るペットフードの種類などを届出書へ正しく記入し、担当する地方農政局へ提出してください。書き方や届出の対象になるか分からない場合は、自己判断で販売を始めず、予定している原材料、作り方、販売方法を地方農政局へ伝えて確認しましょう。

届出を済ませても、安全に関する基準を守らなければなりません。成分などの基準を満たさないペットフードを作ったり売ったりした場合などは、「1年以下の拘禁刑(刑務所などに収容される刑罰)または100万円以下の罰金」を受ける可能性があります。販売前に、使用する原材料や作り方がペットフード安全法の基準に合っているかを確認してください。判断に迷う場合は、原材料の一覧と作る手順を用意して、地方農政局へ相談しましょう。

参照:e-Gov法令検索「愛がん動物用飼料の安全性の確保に関する法律」

手作り販売で必要な帳簿とパッケージ表示

届出後は、作った商品の内容を残す記録表(帳簿)と、購入者に必要な情報を伝えるラベルを準備します。作った日ごとに原材料と数量を確認できる管理表があれば、問題が起きたときに対象の商品を探せます。

製造年月日・原材料・数量などを記録して2年間保存する

農林水産省「届出や帳簿に関するマニュアル」令和8年6月改定版(2026年7月22日時点で最新版)では、紙の帳簿やパソコンなどに保存した記録を2年間保管するよう定めています。

参照:農林水産省「届出や帳簿に関するマニュアル」

製造業者が記録する主な項目は、以下のとおりです。

  • おやつを作ったとき:ペットフードの名称、数量、作った日、使用した原材料の名称と数量
  • 原材料を仕入れたとき:仕入れた日、仕入先
  • ほかの事業者へ出荷したとき:出荷日、出荷先など

消費者へ直接販売する場合、ペットフード安全法の帳簿に購入者の氏名や住所を残す必要はありません。ただし、直接販売する場合でも、作った商品の記録は必要です。表計算ソフトなどを使い、同じ日に同じ原材料で作った商品のまとまりごとに、原材料と作った数を管理すると確認しやすくなります。

パッケージには法律で決められた5項目を日本語で書く

販売する犬用おやつには、法律で決められた次の5項目を日本語で表示します。

  • 名称
  • 原材料名
  • 賞味期限
  • 事業者名および住所
  • 原産国名

商品名だけでは犬用と分かりにくい場合は、「犬用おやつ」などとはっきり書きましょう。使用した原材料をすべて書きます。並び順は、使用量の多い順に書くことが推奨されています。原産国は原材料の産地ではなく、商品の内容や性質が変わる最後の加工を行った国です。海外で作られた商品を国内で袋詰めしただけでは、原産国が日本になるとは限りません。

ラベルを作る前に、農林水産省が公開する表示チェックシートを使い、書き忘れがないか確認するとよいでしょう。

賞味期限は根拠をもとに決め、アレルギー情報も伝える

賞味期限は、科学的・合理的な根拠をもとに決めます。個人で保存試験を行うこともできますが、商品によっては微生物や水分などの検査が必要になる場合があります。自分で判断するのが難しい場合は、検査機関へ相談しましょう。水分量、包装、保存する温度によって品質が落ちる速さは異なるため、ほかの販売者と同じ期限をそのまま使うことは避けてください。

保存方法、開封後の扱い、1日に与える量の目安も案内すると、購入者が商品を扱いやすくなります。アレルギーの原因になる原材料に加え、同じ調理器具や機械で扱う食材が混ざる可能性がある場合は、その情報もラベルや商品ページで伝えましょう。

参照:農林水産省「事業者のみなさま向けQ&A」

犬用おやつの広告表現に関する注意点

使っている素材や作り方を紹介するときは、犬の病気や体に効果があるように受け取られる言葉を避ける必要があります。

「アレルギーが改善する」「関節を強化する」などの表現は避ける

ペットフードでも、成分、形、広告に使う言葉によっては、動物用医薬品などとして扱われる可能性があります。その場合は、医薬品などの販売や広告を定める薬機法の対象になります。「アレルギーが改善する」「病気を予防する」「関節を強化する」など、治療・予防や体の働きへの効果を思わせる表現は避けてください。商品ページだけでなく、SNS、チラシ、パッケージも対象です。

商品を紹介するときは、「原材料は鶏むね肉のみ」「国内の工房で製造」「保存料不使用」など、事実として確認できる情報を伝えます。薬機法に違反する可能性があるか判断できない表現は、掲載前に管轄の地方農政局か、動物用医薬品を担当する農林水産省動物医薬品検査所へ相談してください。

参照:農林水産省「動物用医薬品等に該当するか否かの考え方」

犬用おやつの販売チャネルの選び方

販売チャネルを選ぶときは、新しい顧客に見つけてもらいやすいか、素材や作り方を詳しく紹介できるか、再購入を案内できるか、費用はいくらかを比べます。すでにSNSのフォロワーやイベントの購入者がいる場合は、最初から自社ストアを開設する方法もあります。新しい顧客に知ってもらうために、ハンドメイドマーケットと自社ストアの両方を使ってもよいでしょう。

比較項目 ハンドメイドマーケット 自社ストア
見つけてもらいやすさ サービス内の検索や特集から見つけてもらいやすい SNS、検索、イベントなどから自分で顧客を集める
繰り返し購入 サービス内で再購入してもらう 定期便やセット商品、購入後の案内を設計しやすい
料金・手数料 minne(PLUS非会員):10.659%/注文 BASEスタンダード:6.6%+40円/件〜
Shopify:月額料金+カード手数料3.25%〜(Basicは3.55%〜)
向いている使い方 新しい顧客に知ってもらう 繰り返し購入してもらう仕組みを作る

※記載している料金・手数料は、2026年7月22日時点の情報です。変更されることがあるため、申し込み前に各社の公式サイトを確認してください。

初めての顧客に知ってもらうならハンドメイドマーケットを選ぶ

minne

画像出典:minne

ハンドメイドマーケットには多くの利用者がいるため、知名度が低い段階でも検索や特集から商品を見つけてもらえる可能性があります。一方、検索結果では類似商品と並ぶため、価格で比較されやすくなります。

また、販売できる商品や手数料はサービスごとに異なるため、出品前に最新の利用規約を確認してください。minneでペットフードを販売するには、事前の申し込みと審査が必要です。申請はWebブラウザの「食品販売申請」から行い、審査結果は原則5営業日以内に通知されます。一方、Creemaでは利用規約で動物用食品の出品が禁止されているため、犬用おやつは販売できません。

参照:minne「ペットフードは販売できますか?」、Creema「利用規約」

繰り返し購入してもらうなら自社ストアを選ぶ

BASE

画像出典:BASE

自社ストアには、SNS、検索、イベントなどから自分で訪問者を集める必要があります。その代わり、商品ページに定期便やセット商品を載せ、初めて購入した人へ次回の買い方を案内できます。犬用おやつを繰り返し購入してもらう仕組みを作りたい場合に適した売り方です。

自社ストアを作れるサービスには、BASEやShopifyがあります。BASEのスタンダードプランは、始めるときの費用や月額料金がかかりません。通常の支払い方法では、注文ごとに決済手数料3.6%+40円とサービス利用料3%が売上から引かれます。初期費用と月額をかけずに、まず販売を試したい場合に選びやすい仕組みです。

ShopifyのBasicプランは月払い4,850円、年払いでは1か月あたり3,650円です。Shopify ペイメントで日本国内発行のクレジットカード決済を受け付ける場合は、注文金額の3.55%から決済手数料がかかります。月額料金は必要ですが、売上から引かれる割合はBASEのスタンダードプランより低く、次章で紹介する定期購入アプリも利用できます。

毎月決まってかかる費用を抑えて始めるならBASE、長くストアを運営して定期購入にも取り組むならShopifyが選択肢になります。

犬用おやつの販売にShopifyがおすすめな理由

Shopify

画像出典:Shopify

Shopifyでは、定期購入の注文と、原材料や作り方を詳しく紹介する商品ページを同じストアで管理できます。繰り返し購入してもらう仕組みと、商品へのこだわりを伝えるページの両方を用意したい場合に向いています。

定期便で繰り返し購入してもらいやすい

Shopify公式の定期購入アプリ「Shopify Subscriptions」などを使うと、毎月届くおやつ便を販売できます。犬の大きさや好みに応じたセットを作ったり、届ける間隔を複数用意したりすることも可能です。

定期便にすると、購入者が毎回注文する手間を減らせます。まずは単品を購入した人に、商品ページや購入後の案内で定期便を紹介すると、次回の購入方法が伝わりやすくなります。

原材料や作り方を商品ページで詳しく伝えられる

自社ストアなら、法律で決められた表示だけでなく、原材料の産地、保存方法、アレルギーに関する注意、与え方の目安を写真や「よくある質問」とともに掲載できます。素材を選んだ理由や作る流れも示せるため、購入者は「無添加」「国産」という言葉だけでなく、具体的な情報を見て商品を選べます。

ただし、自社ストアの商品ページにも広告のルールは適用されます。病気の予防や改善といった効果はうたわず、確認できる原材料や作り方を書いてください。

Shopifyで自社ストアを作る場合は、利用する機能や外部へ依頼する作業の範囲によって、ストアを作る費用が変わります。

Shopifyの構築費用や依頼先の選び方について、詳しくは以下の記事をご覧ください。

Shopify構築費用の相場は?制作会社・フリーランス・自社構築を比較

犬用おやつの販売は、届出と表示を整えてから始めよう

手作りの犬用おやつを持ち帰りやオンラインで販売する場合は、まず事業の住所を担当する地方農政局へ相談し、必要な届出を確認しましょう。届出後は、作った商品の記録を2年間残せる管理表と、法律で決められた5項目を書いたラベルを準備します。賞味期限をどのように決めたか、広告に問題のある言葉がないかも販売前に確認してください。

販売先は、ハンドメイドマーケットと自社ストアのどちらか一方に絞る必要はありません。ハンドメイドマーケットで新しい顧客に見つけてもらい、次回から自社ストアで購入してもらう方法もあります。各サービスの手数料と顧客を集める方法を比べ、自分の商品に合う方法を選びましょう。

👆️目次はShopifyアプリ「RuffRuff 目次作成」を利用

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