ECサイトを運営するには、商品企画や集客だけでなく、受注管理、在庫管理、発送、顧客対応など、さまざまな業務が必要です。
これからEC運営を始める方や、新たに運営を担当する方のなかには、「具体的にどのような仕事があるのか」「何から取り組めばよいのか」と疑問を持つ方もいるでしょう。
本記事では、EC運営の主な10の業務をフロント業務とバックエンド業務に分けて解説します。業務の進め方や優先順位、効率化のポイントも紹介するので、ぜひ参考にしてください。
EC運営とは?主な10の業務一覧
EC運営とは、ECサイトを通じて商品やサービスを販売し、継続的な売上の確保や顧客満足度の向上を目指す活動です。
運営業務は、大きく「フロント業務」と「バックエンド業務」の2つに分類されます。
- フロント業務: 商品企画や集客、サイト改善など、主に商品を販売して売上を伸ばすための業務
- バックエンド業務: 商品登録や受注管理、配送、顧客対応など、主に商品の販売を支え、お客様をサポートするための業務
主な仕事内容を以下の表にまとめました。
| 分類 | 業務 | 主な仕事内容 |
|---|---|---|
| フロント | 1 商品企画・販売計画 | 市場調査、商品企画、価格設定 |
| フロント | 2 仕入れ・製造 | 仕入れ先の選定、商品の調達・製造 |
| フロント | 3 ECサイト制作・更新 | サイト構築、デザイン・購入導線の改善 |
| フロント | 4 集客・販売促進 | SEO、広告運用、SNS、キャンペーン |
| フロント | 5 データ分析・改善 | 売上分析、購入率の改善、施策の検証 |
| バックエンド | 6 商品情報登録 | 商品撮影、採寸、説明文作成、商品登録 |
| バックエンド | 7 在庫・発注管理 | 在庫数の把握、補充発注、棚卸し |
| バックエンド | 8 受注管理 | 注文確認、決済状況の確認、出荷指示 |
| バックエンド | 9 出荷・配送 | ピッキング、梱包、発送、配送管理 |
| バックエンド | 10 顧客対応・アフターフォロー | 問い合わせ、返品・返金、購入後のサポート |
※業務の分類に厳密な決まりはなく、企業によって担当範囲が異なります。また、上記は主に物販ECを想定した業務です。
小規模なECサイトでは1人が複数の業務を担当することもありますが、事業が成長すると担当者を分けたり、一部を外部に委託したりするケースもあります。
それぞれの仕事内容を詳しく見ていきましょう。
EC運営のフロント業務5つ
フロント業務は、商品の販売や売上拡大に向けた業務です。商品を企画・調達し、ECサイトに集客するだけでなく、販売結果を分析して改善することも含まれます。
1. 商品企画・販売計画
商品企画では、市場のニーズや競合商品の動向を調査し、販売する商品を決定します。具体的には、次のような業務を行います。
- ターゲット顧客の設定
- 市場調査・競合分析
- 商品の企画・選定
- 販売価格や利益率の設定
- 売上目標・販売計画の策定
単に売れそうな商品を選ぶのではなく、原価や送料、販売手数料、広告費なども考慮し、利益を確保できるか判断することが大切です。また、新商品の開発や季節商品を扱う場合は、製造・仕入れにかかる期間も踏まえて計画を立てましょう。
2. 仕入れ・製造
販売計画に基づき、商品を仕入れたり製造したりする業務です。仕入れ販売の場合は取引先との価格交渉や発注、自社商品を販売する場合は製造先との調整などを行います。
仕入れ数量は、過去の販売実績や季節性から需要を予測して決めます。少なすぎれば欠品で販売機会を逃し、多すぎれば過剰在庫を抱えることになります。
3. ECサイト制作・更新
ECサイトを制作し、お客様が商品を購入しやすい状態に整える業務です。立ち上げ時には、サイトのデザインや決済方法、配送設定などを整備します。公開後も、キャンペーンページの更新や購入導線の改善などが必要です。
例えば、以下のような項目を確認します。
- スマートフォンでも商品を探しやすいか
- 商品情報や送料、返品条件がわかりやすいか
- お客様が利用したい決済方法に対応しているか
- 注文完了までの操作が複雑になっていないか
ECサイトは制作して終わりではありません。お客様の行動や問い合わせ内容を参考に、継続的に改善することが大切です。
4. 集客・販売促進
ECサイトへの訪問者を増やし、商品の購入につなげる業務です。代表的な集客・販促施策には、次のようなものがあります。
| 施策 | 主な目的 |
|---|---|
| SEO | 検索エンジンからの自然流入を増やす |
| Web広告 | 検索広告やSNS広告などで見込み客を集める |
| SNS運用 | 商品情報やブランドの魅力を発信する |
| メール・LINE配信 | お客様への情報提供や再購入を促す |
| キャンペーン | セールやクーポンなどで購入を後押しする |
集客施策は、ターゲットや商品特性、予算に合わせて選びます。また、新規顧客の獲得だけでなく、既存顧客のリピート購入を促すCRM(顧客関係管理)も重要です。
5. データ分析・改善
ECサイトの売上やアクセス状況を分析し、課題を特定して改善する業務です。主に確認したい指標は以下のとおりです。
| 指標 | 確認する内容 |
|---|---|
| セッション数 | ECサイトへの訪問状況 |
| CVR(購入率) | 訪問のうち購入につながった割合 |
| 平均注文単価 | 1注文あたりの平均購入金額 |
| リピート購入率 | お客様の再購入状況 |
| 売上・利益 | 売上目標の達成状況や収益性 |
例えば、セッション数が増えているのにCVRが下がっている場合は、商品ページや購入手続きに課題があるかもしれません。
このように、数値から課題を把握し、施策を実施して効果を検証することが重要です。ECプラットフォームの分析機能やGoogle アナリティクスなどを活用し、継続的に改善を進めましょう。
EC運営のバックエンド業務5つ
バックエンド業務は、商品の販売準備から注文処理、配送、購入後のサポートまでを担う業務です。特に物販ECでは、注文数が増えるほど作業量も増えるため、ミスを防ぐ仕組み作りが重要になります。
6. 商品情報登録
商品情報登録は、販売する商品の情報を準備し、ECサイトへ掲載する業務です。具体的には、商品名・価格・在庫数・商品説明などの登録に加え、商品画像の準備も行います。
特に重要なのが、商品の「ささげ業務」です。ささげとは、撮影・採寸・原稿作成を指し、商品画像や説明文などを準備する業務を意味します。ECサイトでは購入前に商品を直接確認できないため、商品の特徴やサイズ、使用イメージを正確に伝えることが欠かせません。
なお、商品情報登録はフロント業務の担当者が行う場合もありますが、ここでは定型的な登録・管理作業としてバックエンド業務に分類しています。
7. 在庫・発注管理
商品の在庫数や保管状況を把握し、欠品や過剰在庫を防ぐ業務です。日々の在庫数量の確認に加え、入荷商品の検品、補充発注、帳簿上の在庫数と実際の数量を照合する棚卸しなどを行います。
特に、自社ECとECモール、実店舗など複数の販売チャネルを運営する場合は注意が必要です。在庫情報が正しく連携されていないと、実際には在庫がない商品を販売してしまう可能性があります。
複数チャネルの在庫を一元管理できるシステムを活用すれば、管理負担や販売ミスの軽減が期待できます。
8. 受注管理
お客様からの注文を確認し、出荷に向けた手続きを行う業務です。具体的には、注文内容や決済状況の確認、在庫の引き当て、出荷指示などを行います。
ECプラットフォームによっては、注文確認メールの送信などを自動化できます。ただし、決済エラーや住所不備、注文内容の変更といった例外的なケースには個別の対応が必要です。
注文数が増えて管理が煩雑になった場合は、OMS(受注管理システム)の導入も選択肢となります。
9. 出荷・配送
注文された商品を倉庫から取り出し、梱包して配送業者に引き渡す業務です。一般的には、以下の流れで進めます。
- 注文内容に基づいて商品を取り出す(ピッキング)
- 商品や数量、状態を確認する
- 適切な資材で梱包する
- 配送伝票を作成し、配送業者へ引き渡す
- 発送状況を更新し、必要に応じて追跡情報を通知する
出荷ミスや配送遅延は顧客満足度の低下につながるため、正確かつ迅速な対応が求められます。
出荷件数が多い場合は、WMS(倉庫管理システム)の導入や物流代行サービスの利用も検討するとよいでしょう。
10. 顧客対応・アフターフォロー
お客様からの問い合わせや、購入後のトラブルに対応する業務です。主な仕事内容には、商品の仕様や配送状況に関する問い合わせ、注文のキャンセル、返品・交換、返金対応などがあります。
また、購入後に商品の使い方を案内したり、再購入につながる情報を提供したりするアフターフォローも重要です。
お客様から寄せられた意見や返品理由を分析すれば、商品説明の改善や配送トラブルの防止にもつなげられるでしょう。
EC運営の優先順位・スケジュール・必要なスキル
EC運営を円滑に進めるには、業務内容を把握するだけでなく、優先順位やスケジュールを整理することが大切です。
ここでは、どの業務から手をつけるか、日々どのような頻度で業務を回すか、どのようなスキルが必要かを解説します。
EC運営で優先すべき業務
EC運営を始めたばかりの段階では、すべての業務に同じ労力をかける必要はありません。特に少人数で運営する場合は、優先順位を明確にすることが大切です。
最優先は、注文を受けてから商品を届けるまでの流れを確立することです。「6. 商品情報登録」「8. 受注管理」「9. 出荷・配送」を整え、決済・配送の設定も済ませておきましょう。「10. 顧客対応・アフターフォロー」のうち、問い合わせや返品への対応方法もこの段階で決めておきます。
注文を確実に処理できる状態になったら、「4. 集客・販売促進」に力を入れ、「5. データ分析・改善」で売上や購入率をもとに施策を見直します。
事業が成長してきたら、作業量の増加に合わせて担当者の追加やツールの導入、外注などを検討しましょう。
EC運営業務のスケジュール例
EC運営では、毎日行う業務と、週次・月次で取り組む業務があります。一般的な業務スケジュールの例は次のとおりです。
| 頻度 | 主な業務 |
|---|---|
| 毎日 | 受注確認、出荷対応、在庫確認、問い合わせ対応、売上チェック |
| 毎週 | 商品登録・更新、販売実績の分析、広告・販促施策の調整、補充発注 |
| 毎月 | 売上・利益の振り返り、販売計画の見直し、在庫分析、翌月の販促計画 |
実際の頻度は、注文件数や取り扱う商品の種類、運営体制によって異なります。業務を洗い出し、対応頻度や担当者を整理しておくと、作業の抜け漏れを防ぎやすくなるでしょう。
EC運営に必要なスキル
EC運営には幅広い知識が求められますが、すべての業務に最初から精通している必要はありません。特に身につけておきたいのは、以下のスキルです。
| スキル | 主な内容 |
|---|---|
| マーケティングスキル | SEOや広告、SNSなどを活用して集客・販促を行う |
| データ分析スキル | 売上や購入率などの数値から課題を発見する |
| 商品企画スキル | 市場や顧客ニーズを把握して商品を企画・選定する |
| クリエイティブスキル | 商品画像や説明文、バナーなどを制作する |
| 業務管理・顧客対応スキル | 受注・在庫・出荷の進行管理や顧客対応を行う |
必要なスキルは担当する業務によって異なります。まずは自分の担当範囲に関連する知識から習得していくとよいでしょう。
EC運営業務を効率化する3つの方法
EC運営は業務範囲が広く、すべてを手作業で進めると負担が大きくなります。売上が拡大しても安定した運営を続けられるよう、早い段階から効率化を意識することが重要です。
1. 業務を可視化・マニュアル化する
まずは、現在行っている業務と作業時間を洗い出しましょう。業務ごとに担当者や作業手順、対応頻度を整理すると、特定の担当者への負担集中や、重複している作業を発見しやすくなります。
また、受注処理や返品対応などの手順をマニュアル化しておけば、担当者が変わっても一定の品質を維持しやすくなります。
2. ツールで定型業務を自動化する
注文情報の転記や在庫更新、メール送信など、繰り返し発生する業務は自動化を検討しましょう。
例えば、ECプラットフォームのShopifyには、商品登録や受注管理、在庫管理、売上分析など、EC運営に必要な機能が備わっています。また、Shopify Flowを活用すれば、特定の条件に合う注文へのタグ付けや、スタッフへの通知なども自動化できます。
ECサイトの新規立ち上げや運営システムの見直しを検討している場合は、Shopifyも選択肢の一つです。
なお、既存のECサイトを運営している場合は、受注管理システムや在庫管理システムなどを導入し、必要な業務だけを効率化する方法もあります。
3. 一部の業務を外注する
社内だけで対応するのが難しい業務は、外部の専門会社へ委託する方法もあります。例えば、商品の撮影・登録、広告運用、倉庫での保管・発送、カスタマーサポートなどが外注の対象です。
外注する際は、費用だけでなく、依頼できる業務範囲や品質管理の方法、トラブル発生時の対応体制も確認しましょう。
自社の強みとなる商品企画や販売戦略にリソースを集中させ、定型業務を外注するなど、状況に応じた役割分担が効果的です。
EC運営に必要な業務を整理し、効率的な運営体制を整えよう
EC運営には、商品企画や集客を担うフロント業務と、商品登録や受注・在庫管理、配送などを担うバックエンド業務があります。
売上を伸ばすためには、集客や販売促進だけでなく、正確な受注処理や顧客対応も欠かせません。まずは自社に必要な業務を整理し、優先順位や担当者を明確にすることが大切です。
事業の成長に合わせてツールや外注サービスも活用し、効率的なEC運営を目指しましょう。


