Shopifyストアを複数人で運営するなら、スタッフや外部パートナーへの権限付与は避けて通れません。とはいえ、「誰にどの権限を渡せばいいのか」「設定方法がよくわからない」と悩む方も多いでしょう。権限の付与を間違えると、意図しない操作や情報漏えいのリスクにもつながります。
この記事では、Shopifyの権限の種類一覧から、スタッフ・コラボレーターの追加手順、そして運用場面ごとの権限設計の考え方まで、まとめて解説します。
※本記載は2026年3月時点の情報を元にしています。
Shopifyで権限付与が必要になる場面とは?
Shopifyの権限設定は、「ストアを自分一人で運営している間」は意識する必要がありません。しかし、ストアの成長とともに人手が増えると、権限管理が不可欠になります。
ここでは、権限付与が必要になる代表的な3つの場面を紹介します。
社内スタッフに業務を分担するとき
ストアの運営が軌道に乗ってくると、商品登録は担当Aさん、受注処理は担当Bさんといった業務分担が生まれます。このとき、全員にすべての管理画面を触れる状態にしておくと、誤操作や情報の取り扱いミスにつながるリスクがあります。
たとえば、商品登録だけを担当するスタッフに「財務情報」や「ストア設定」の権限は不要です。Shopifyでは、業務内容に応じた「役割」を作成し、スタッフに割り当てることで適切なアクセス制御が可能です。
外部の制作会社や運用代行に作業を依頼するとき
ECサイトのデザイン変更やアプリ導入を外部の制作会社に依頼する場合も、ストアへのアクセス権が必要です。
この場合、スタッフアカウントではなく、「コラボレーター」という外部パートナー専用のアクセス権限の仕組みを使います。コラボレーターは、スタッフの上限人数にカウントされないため、外部との連携に適しています。
ストアの所有権を移行するとき
制作会社などがShopifyストアを構築し、運営者に引き渡す場面でも権限設定が必要です。引き渡し前にクライアントをスタッフとして追加し、必要な権限を付与したうえでオーナー権限を譲渡するという流れになります。
※Shopifyパートナー(制作会社・フリーランス)として納品業務を行う場合は、コラボレーター機能を使った引き渡しフローも選択肢になります。
Shopifyの権限は3種類ある
Shopifyのアカウント権限は、大きく分けて「ストアオーナー」「スタッフ」「コラボレーター」の3種類です。それぞれの役割と特徴を整理します。
ストアオーナー|すべてを管理できる最上位権限
ストアオーナーは、Shopifyストアの最高管理者です。プランの変更、支払い情報の管理、スタッフの追加・削除など、すべての操作が可能です。
1つのストアに対してオーナーは1人だけ設定できます。オーナーだけが行える操作も多いため、オーナーアカウントの管理は特に慎重に行いましょう。
スタッフ|「役割」を通じてアクセスを制御できる
スタッフは、ストアオーナーが追加する社内向けのアカウントです。以前のShopifyでは、スタッフ個人に対して権限を直接チェックして付与する方式でした。
2025年のアップデートにより「役割ベースのアクセス制御モデル」が導入され、現在はあらかじめ「役割」を作成し、スタッフにその役割を割り当てる形で権限を管理します。役割を使い回せるため、スタッフが増えても権限設定のミスや漏れが起きにくくなっています。
たとえば「マーチャンダイザー」という役割を作成し、商品・カタログ・コンテンツに関する権限をまとめておけば、商品担当のスタッフにはその役割を割り当てるだけで適切な権限が付与されます。
追加できるスタッフの人数は、契約しているプランによって上限があります。
コラボレーター|外部パートナー専用の権限
コラボレーターは、Shopifyパートナー(制作会社やフリーランスなど)がストアにアクセスするための仕組みです。スタッフとの大きな違いは、外部からのリクエストに対してオーナーが承認する形でアクセス権を付与する点です。
コラボレーターはスタッフの上限人数にカウントされず、どのプランでも無制限に追加できます。なお、90日間ストアにログインがないと、アクセス権が自動的に失効します。
以下の表で3種類の違いを比較します。
| 項目 | ストアオーナー | スタッフ | コラボレーター |
|---|---|---|---|
| 主な用途 | ストアの最高管理者 | 社内の運営メンバー | 外部の制作・運用パートナー |
| 権限範囲 | すべての操作が可能 | 役割を通じて付与 | 役割を通じて付与 |
| 追加方法 | ストア作成時に自動設定 | オーナーが招待 | パートナーからリクエスト →オーナーが承認 |
| 人数上限 | 1名のみ | プランにより異なる | 無制限 |
| POS利用 | 可能 | 可能 | 不可 |
Shopifyのストア権限一覧と見方
スタッフやコラボレーターに権限を付与する際には、Shopifyの管理画面に表示される権限項目の意味を理解しておく必要があります。ここでは、主な権限カテゴリーとその内容を一覧で整理します。
ストア権限の全カテゴリー一覧
Shopifyのストア権限は、管理画面の機能ごとにカテゴリー分けされています。2026年3月現在、設定できる権限カテゴリーは以下の19種類です。
| カテゴリー | 主にできること |
|---|---|
| ホーム | ストアのダッシュボードを閲覧する |
| 注文 | 注文の閲覧・編集・発送処理・返金処理を行う |
| 下書き | 下書き注文の作成・編集・削除を行う |
| 商品 | 商品の追加・編集・削除、在庫管理を行う |
| ギフトカード | ギフトカードの発行・管理を行う |
| お客様 | 顧客情報の閲覧・編集・セグメント管理を行う |
| マーケティング | マーケティングキャンペーンの作成・管理を行う |
| ディスカウント | クーポンや割引コードの作成・管理を行う |
| コンテンツ | ファイルやメタオブジェクトの管理を行う |
| マーケット | マーケット(国や地域)の設定を行う |
| カタログ | カタログの管理を行う |
| チェックアウトとお客様アカウント | チェックアウト画面やお客様アカウントの設定を行う |
| ユーザー | スタッフの追加・削除や権限の編集を行う |
| 財務 | 売上データ・支払い情報・請求書などの財務情報を閲覧する |
| ストア分析 | 売上やアクセスなどの分析レポートを閲覧する |
| オンラインストア | テーマの編集やブログ記事・ページの設定を行う |
| アプリ開発 | カスタムアプリの作成・管理を行う |
| ストア設定 | 配送・決済・税金・通知など、ストア全般の設定を変更する |
| 会社(Shopify Plusプランのみ) | 会社の管理やユーザーの割り当てを行う |
各カテゴリーの中には、さらに細かい権限項目が用意されています。たとえば「商品」カテゴリーの中には在庫に関する権限が含まれるなど、機能ごとに細分化されています。また、在庫やカタログに関する権限を設定すると、「商品」の表示権限が自動的に付与される依存関係もあります。
加えて、それぞれの項目には「表示」「作成と編集」「削除」といったアクションレベルの設定もあるため、かなり細かいアクセス制御が可能です。
すべての権限を付与する必要はなく、スタッフの業務に応じて必要なカテゴリーだけを選ぶのが基本です。
機密性の高い権限
Shopifyでは、「取り扱いに注意が必要となる情報」へのアクセスが「機密性の高い権限」として扱われています。具体的には、「お客様」「財務「ユーザー」「法人(Shopify Plusプランのみ)」が該当します。

画像出典:Shopify
スタッフに機密性の高い権限を付与する際には確認メッセージが表示されるので、必要性をよく検討してから設定しましょう。
権限の依存関係に注意
Shopifyの権限には「依存関係」があります。ある権限を選択すると、それに必要な別の権限が自動的に選択される仕組みです。
たとえば、在庫管理やカタログに関する権限を選ぶと、商品を「表示」する権限が自動的にオンになります。権限を細かく設定したい場合は、この依存関係に注意しながら操作してください。
スタッフに権限を付与する手順
ここからは、Shopifyストアにスタッフアカウントを追加して、権限を付与する具体的な手順を解説します。
【管理者】スタッフの追加
スタッフの追加は、「ユーザーを追加する権限」を持つアカウントで行います。Shopifyの管理画面の左メニュー最下部にある「設定」をクリック。メニューから「ユーザーと権限」を選択し、スタッフのセクションで「スタッフを追加する」をクリックします。

「ユーザーの詳細」の項目で「管理ユーザー」「POSユーザー」を選択します。追加するスタッフのメールアドレスを入力し、「追加」をクリックします。

「役割」のセクションで、ユーザーに役割に応じた権限を設定します。役割は複数割り当てることも可能です。
設定できる代表的な役割には以下のようなものがあります。
- 管理者
- POS管理者
- オンラインストア編集者
- カスタマーサポート
- マーチャンダイザー
- マーケティング担当者 など

役割は新しく作成することも可能です。Plusプランではユーザーを「グループ」にまとめて権限管理をすることもできます。(例:北米カスタマーサポートグループ)
画面下部にある「招待を送信する」をクリックすると、招待メールが配信されます。
【スタッフ】スタッフアカウントの作成
招待を受けたスタッフには、メールで通知が届きます。メール内のリンクをクリックし、Shopifyアカウントの新規作成またはログインを行えば、スタッフとしてストアにアクセスできるようになります。
なお、招待リンクの有効期限は7日間です。期限を過ぎた場合は、管理画面からそのユーザーを一度削除し、改めてユーザーを追加して招待を再送信する必要があります。
プラン別のスタッフ追加上限
追加できるスタッフの人数は、Shopifyの料金プランによって異なります。
| プラン | スタッフ追加 |
|---|---|
| Basic / Starter | 不可 |
| Grow | 5 |
| Advanced | 15 |
| Shopify Plus | 無制限 |
BasicやStarterプランではスタッフを追加できないため、複数人で運営する場合はGrow以上のプランへのアップグレードが必要です。なお、コラボレーターはプランを問わず追加できるため、外部パートナーとの連携であればBasicプランでも対応可能です。
コラボレーターに権限を付与する手順
外部の制作会社やフリーランスとストアを共同管理する場合は、コラボレーターの仕組みを使います。コラボレーターの追加は、スタッフとは異なり、パートナー側からのリクエストが起点です。
コラボレーターに関して詳しくは下記のブログ記事もご覧ください。
【パートナー】アクセス権のリクエスト
アクセス権をリクエストする前に、ストアオーナーにストアの「リクエストコード」を確認しておきましょう。リクエストコードは、設定メニュー「ユーザーと権限」のコラボレーターセクションで確認できます。

パートナーは、Shopifyパートナーダッシュボードにログインします。「ストア管理」で「ストアを追加」 > 「コラボレーターストアへのアクセスをリクエストする」の順にクリックします。

アクセスしたいストアのURLとリクエストコードを入力。必要な権限を選択してリクエストを送信します。

【ストアオーナー】リクエストの承認
Shopify管理画面のホームにリクエスト通知が届きますので、リクエストを確認して、承認してください。
オーナーは、パートナーが申請してきた権限の内容を確認し、そのまま承認することも、内容を調整してから承認することもできます。コラボレーターには業務に必要な権限だけを付与するようにしましょう。
Shopifyの権限編集・削除・一時停止の方法
権限は一度付与したら終わりではなく、業務内容の変更や担当者の異動に応じて見直すことが大切です。
スタッフ権限の変更手順
スタッフの権限を変更するには、管理画面の「設定」 > 「ユーザーと権限」からスタッフ名をクリックし、「役割とグループ」セクションで役割の追加・削除を行います。

たとえば、商品登録担当だったスタッフが受注処理も兼任することになった場合は、注文管理の権限を含む役割を追加で割り当てるといった対応が可能です。
役割自体の権限内容を変更したい場合は、「設定」→「ユーザー」→「役割」から該当の役割を編集できます。ただし、その役割を割り当てられているすべてのスタッフに変更が反映される点に注意しましょう。
スタッフの削除と一時停止の違い
スタッフのアクセスを止める方法には「削除」と「一時停止」の2つがあります。
「削除」はアカウントを完全に取り消す操作で、そのスタッフはストアにアクセスできなくなります。スタッフが退職した場合などに使いましょう。一方、「一時停止」はアカウントを残したまま一時的にアクセスを止める操作です。産休や長期休暇など、将来的に復帰する可能性がある場合に適しています。

どちらの操作も、「設定」 > 「ユーザーと権限」から対象スタッフを選択して、実行できます。
安全に運用するための権限設計のポイント
権限の設定手順を理解したうえで、もう一歩進んで「どう権限を設計すればよいか」という運用面の考え方も押さえておきましょう。
「必要最小限の権限」を基本にする
権限付与の基本原則は、「業務に必要な最小限の権限だけを含む役割を割り当てる」ことです。全権限を持つ役割を安易に割り当てるのは楽ですが、誤操作や情報漏えいのリスクが高まります。
特に、財務情報やストア設定に関する権限は影響範囲が大きいため、本当に必要なスタッフの役割にだけ含めるようにしましょう。
事前定義された役割とカスタム役割を使い分ける
Shopifyには、あらかじめ用意された「事前定義された役割」があります。たとえば「マーチャンダイザー」の役割には、ホームへのアクセスに加えて、商品・カタログ・コンテンツに関する権限がまとめて設定されています。
まずは事前定義された役割がストアの業務に合うかを確認し、合わない場合はカスタム役割を作成するのがおすすめです。役割を使い回すことで、新しいスタッフが入った際も同じ役割を割り当てるだけで済み、権限設定のミスや漏れを防ぎやすくなります。
2段階認証を活用する
Shopifyでは、スタッフアカウントに2段階認証の設定を推奨しています。2段階認証を有効にすると、ログイン時にパスワードに加えて認証コードの入力が必要になるため、不正アクセスのリスクを大幅に下げられます。
権限設定と合わせて忘れずに行いましょう。
適切な権限管理でストア運営を安全に効率化しよう
権限管理は一度設定して終わりではなく、スタッフの役割変化や担当者の異動に合わせて定期的に見直すことが大切です。まずは「今のストアに不要な権限を持っているスタッフがいないか」を確認するところから始めてみてください。
