「この商品、いくらで売るのが正解なのだろう」と迷った経験はありませんか。値下げすれば売れやすくなる一方で利益は減り、値上げすれば利益は見込めても売れ行きが鈍るかもしれません。価格設定は、ECストア運営の中でも判断が難しいテーマのひとつです。
そんな価格の悩みをデータの面から支えてくれるのが、Shopifyが公式に無料で提供するアプリ「Shopify Smart Pricing」です。売上や在庫などのデータをもとに、AIが商品ごとの値下げ・値上げを提案してくれます。
この記事では、Shopify Smart Pricingの基本から、主な機能・メリット、利用時の条件や注意点までをわかりやすく解説します。価格を勘や経験だけに頼らず、データをふまえて見直したいときに役立つアプリです。
Shopify Smart Pricingとは?

画像出典:Shopify Smart Pricing|Shopifyアプリストア
Shopify Smart Pricingは、Shopifyが公式に提供する価格設定の支援アプリです。
機械学習を使い、ストアの売上や在庫、季節性などのデータをもとに、商品ごとの値下げ・値上げを提案します。提案された価格が自動で反映されることはなく、運営者が内容を確認したうえで適用する仕組みです。
ここで押さえておきたいのが、Shopify Smart Pricingが「ストア全体の利益を最大化する」ことを目的に設計されている点です。そのため、提案される価格は特定の商品単体にとって最適とは限らず、ストア全体の利益への貢献度から算出されています。
価格設定をデータで裏付けながら見直したいときに役立つアプリです。
Shopify Smart Pricing管理画面 例
Shopify Smart Pricingの主な機能・できること
Shopify Smart Pricingの主な機能は、大きく分けて2つあります。日本国内向けストアで利用できるのは、ひとつ目の「値下げ・値上げの提案」が中心です。
AIによる値下げ・値上げの提案
ストアの売上や在庫、季節性などのデータをAIが分析し、どの商品をいくらに値下げ(マークダウン)・値上げ(マークアップ)するかを提案します。売れ行きの悪い商品には値下げを、需要が高いのに価格が抑えられている商品には値上げを提案するなど、状況に合わせた見直し案を受け取れ、感覚だけに頼らない価格づくりの手助けになるでしょう。
ただし、Shopify Smart Pricingが最適化するのはストア全体の利益です。個別商品単体にとっての最適価格とは限らないため、提案を採用するかは商品の役割や戦略に照らして判断する必要があります。

Shopify Smart Pricing管理画面の値下げ提案の表示
価格のA/Bテスト(早期アクセス機能)
一部の対象ストアでは、本格的に価格を変える前に、現在の価格と試験的な価格を比べるA/Bテストを実施できます。お客様の一部に異なる価格を表示し、その結果(売上や利益など)を見たうえで、価格を反映するかどうかを判断できます。
2026年6月現在、この機能は日本のストアでは利用できません。米国向けに早期アクセスとして提供されており、利用できるストアも限られています。
Shopify Smart Pricingを導入するメリット
Shopify Smart Pricingをストアに導入することで得られるメリットを紹介します。
データをもとに価格を判断できる
価格をいくらにすべきか、何も参考材料がない状態で考えるのは負担の大きい作業です。Shopify Smart Pricingは、売上や在庫、季節性などのデータをもとに、AIが具体的な値下げ・値上げ案を示してくれます。
勘や経験だけに頼るのではなく、提案された価格をたたき台として検討できるため、手がかりがない状態から考えるより判断をしやすくなるでしょう。
見直すべき商品に気づける
どの商品の価格を見直すべきかは、日々の業務の中では見落とされがちです。商品数が多いストアでは、すべての商品の売れ行きや在庫状況を常に把握しておくのは難しい作業です。
Shopify Smart Pricingが見直しの候補を提示してくれるため、売れ残りを抱え込む前に対応したり、安く売り続けている商品の値上げを検討したりするきっかけになります。
気づかないうちに利益を取りこぼしている商品を発見しやすくなる点が、このアプリの実務的な価値といえます。
Shopify Smart Pricingの利用条件
Shopify Smart Pricingを利用するにはいくつかの条件があります。自ストアでも活用できるか、よく確認しておきましょう。なお、1つのストアが受け取れる提案は、値下げ・値上げかA/Bテストのどちらか一方となります。
ストア全体の利用条件
値下げ・値上げの提案を受け取るには、以下の条件を満たす必要があります。
- 1か月の販売数が25件を超える商品が最低10個ある
- デジタル商品ではなく、配送が必要な商品を中心に扱っている
ある程度の販売実績がある、モノを発送するタイプのストアが対象です。ダウンロード販売などデジタル商品が中心のストアでは利用できない点に注意しましょう。
提案が表示される商品の条件
ストアが利用条件を満たしていても、すべての商品に提案が表示されるわけではありません。価格のヒントが表示されるのは、以下の条件を満たす商品です。
- 商品が30日以上前に作成されている
- 商品に十分な売上がある
- Shopify Smart Pricingの分析で、まだ価格が最適化されていないと判断されている
- 過去30日間に、商品の価格や原価を変更していない
- 過去3か月以内に、商品が実験(テスト)の対象になっていない
提案が表示されない商品がある場合は、これらの条件を満たしていない可能性があります。
A/Bテストを利用するための条件
価格のA/Bテストは早期アクセスの機能で、2026年6月現在の利用条件は以下のとおりです。
- ストアがGrowプラン以上を利用している
- ストアがアメリカを拠点とし、アメリカを拠点とするお客様に販売している
- ストアで新しいShopify Marketsを使用しており、アメリカが主要市場として設定されている
- 1か月の販売数が25件を超える商品が最低10個ある
日本国内向けのストアでは現状利用できないため、使える機能は値下げ・値上げの提案が中心になります。
操作に必要な権限
スタッフがShopify Smart Pricingを使うには、いくつかの権限が必要です。
- 商品の原価の表示
- 商品の編集・価格の編集
- すべてのカタログ権限
- すべてのMarkets権限
- Shopify Smart Pricingアプリへのアクセス権限
ストアオーナー自身が操作する場合は問題になりにくいですが、スタッフに任せる場合は事前に権限を確認しておくとスムーズです。
Shopify Smart Pricingを使う際の注意点
Shopify Smart Pricingを使用する際は、以下の点に注意しましょう。
提案はストア全体の利益最適化が前提
Shopify Smart Pricingが提示する価格は、ストア全体の利益を最大化するように最適化されています。そのため、個別商品単体にとって最適な価格とは限らない点に注意が必要です。
たとえば、ある商品の値下げ提案が、その商品単体としては利益を下げるかもしれません。しかし、その値下げによってストア全体の購買頻度や客単価が上がる可能性が見込まれて提案されている、というケースが考えられます。
提案を採用する際は、その商品の役割(看板商品か、回転重視商品か)や、ストア全体の戦略と照らし合わせて判断するとよいでしょう。
価格は自動では変わらない
このアプリは価格を自動で書き換えるものではありません。提案やテストの結果を確認し、最終的にどの価格にするかは自分で決めて適用します。
日本のストアでは値下げ・値上げの提案が中心
2026年6月時点で、日本国内向けのストアで利用できる機能は値下げ・値上げの提案が中心です。価格のA/Bテスト機能は早期アクセス段階で、米国向けストアの一部に限定されています。
A/Bテストを利用する場合の注意点(米国向け)
A/Bテストを利用できる米国向けストアでは、以下の点に注意が必要です。
A/Bテスト中は利益が下がっても自動停止しない
毎日更新される結果を自分で確認し、影響が大きいと判断したら手動で止める必要があります。
A/Bテスト価格はShopifyのオンラインストアにのみ反映される
InstagramやGoogleなど他の販売チャネルには反映されないため、同じ商品でも表示される価格が異なる場合があります。
勘に頼らない価格設定を始めてみよう
Shopify Smart Pricingは、売上や在庫などのデータをもとに、AIが商品ごとの値下げ・値上げを提案してくれるShopify公式のアプリです。価格を勘や経験だけに頼らず見直したいときに役立ちます。
利用条件が限られる機能もあるため、まずは自分のストアで何が使えるかを確認するとよいでしょう。提案を反映するかは自分で決められ、無料で始められるので、価格設定を見直す第一歩として気軽に試してみてはいかがでしょうか。