自分のイラストやロゴを使ったTシャツは、POD一体型サービスやECモール、自社EC、イベントなどで販売できます。ただし、選ぶ方法によって、誰が在庫を持つか、どのような費用がかかるか、制作や発送を誰が担うかが変わります。サイズとカラーの組み合わせごとに在庫が分かれることも、Tシャツならではの難しさです。
この記事では、4つの販売方法の違いと選び方に加え、Tシャツの仕様を決めて出品するまでの手順や、権利・品質表示の注意点も解説します。
オリジナルTシャツの4つの販売方法
オリジナルTシャツの販売方法は、大きく4つに分けられます。本記事で扱うPOD一体型サービスとは、販売ページの作成から注文後の制作・発送までをまとめて任せられるサービスのことです。
なお、POD(プリント・オン・デマンド)自体は、注文後に商品を作る生産方式を指す言葉です。自社ECやECモールと外部PODを組み合わせることもできます。販売する場所と、商品を作って届ける仕組みは分けて考えましょう。
| 比較項目 | POD一体型サービス | ECモール・マーケットプレイス | イベント・ポップアップ | 自社EC |
|---|---|---|---|---|
| 在庫 | 原則不要 | 在庫販売またはPOD連携 | サイズ・カラー別に用意 | 在庫販売またはPOD連携 |
| 費用構造 | 固定費を抑えやすいが、1枚あたりの商品原価は高め | 販売手数料が中心。固定費がかかる場合もある | 出店料、搬入費、決済手数料などが発生 | 月額料金と決済手数料が発生 |
| 集客 | サービス内やSNSで商品を案内する | モール内で商品を探す人に届きやすい | 来場者に直接商品を紹介できる | SNSや検索などから自分で集客する |
| 制作・発送 | サービス側が対応 | 販売者または連携先が対応 | 販売者が制作を手配し、会場へ搬入 | 販売者または連携先が対応 |
| 向いている人 | 在庫なしで試したい人 | 新しい購入者へ届けたい人 | ファンと直接交流したい人 | ブランドを継続して育てたい人 |
※記載している料金・手数料は、2026年8月19日時点の情報です。変更されることがあるため、申し込み前に各社の公式サイトを確認してください。
POD一体型サービス
SUZURIやTシャツトリニティなどのPOD一体型サービスでは、デザインと商品情報を登録すると、販売ページを作成できます。注文が入ってからサービス側がプリントして発送するため、在庫を置く場所や梱包作業は必要ありません。
SUZURIでは、ショップ開設の利用料や、クリエイター側に別途請求される販売手数料はありません。ただし、トリブンを設定すると、その10%相当が手数料として商品原価に加算されます。また、選べるボディやプリント位置、梱包方法などは、サービスが用意する仕様の範囲内に限られます。
初めてTシャツを売る人や、制作・発送の手間をかけずにデザインの反応を見たい人に使いやすい方法です。まずPODで売れ行きを確かめ、手応えのあった商品を在庫販売や自社ECへ広げてもよいでしょう。
ECモール・マーケットプレイス
Amazonや楽天市場、minne、BOOTHなどに商品を出品します。ECモールとクリエイター向けマーケットプレイスでは、利用者層や費用の仕組みが異なるため、それぞれの特徴を確認して選ぶことが大切です。
Amazonや楽天市場などのECモールは、幅広い買い手に見つけてもらいやすい反面、出店プランによっては固定費がかかります。minneやBOOTHなどは、クリエイター作品を探している人に届けやすく、売れたときに販売手数料がかかる仕組みが中心です。
料金体系や出品条件はサービスごとに異なるため、販売手数料だけでなく、固定費や振込手数料の有無も出品前に確認してください。
新しい購入者に商品を届けられる可能性がある一方、似た商品と並ぶため、価格競争になりやすい点には注意が必要です。商品ページの見せ方や購入者への案内も、各サービスの仕様に沿って作らなければなりません。
イベント・ポップアップ
同人イベントやライブ、展示会、ポップアップは、来場者へ直接Tシャツを販売できる場です。購入前に生地やプリント、サイズ感を確かめてもらえるほか、商品への反応をその場で確認できます。
一方で、出店料や会場までの送料・交通費がかかり、什器や決済手段も用意しなければなりません。サイズとカラーを増やすほど、必要な在庫数も増えやすいため、事前通販や予約で希望を募ると売れ残りを減らせます。会場で買えなかった人に向けて、イベント後も利用できるオンラインストアを案内しておくとよいでしょう。
自社EC
Shopifyなどを使って、自分のオンラインストアを開設します。商品ページや価格、セット販売、購入後のフォローを自分で決められるため、ブランドの世界観や制作の背景を伝えやすいのが特徴です。
自社ECには月額料金や決済手数料がかかり、SNSや検索、イベントなどから自分で集客する必要があります。ShopifyのBasicプランは、月払い4,850円、年払いでは1か月あたり3,650円です。Shopify ペイメントを利用して、国内発行のVisa・Mastercard・JCBの決済を受け付ける場合、Basicプランでは注文額に対して3.55%の決済手数料が発生します。
外部PODと連携すれば、制作・発送を任せることも可能です。商品を継続して販売し、ブランドを育てたい人に適しています。
ShopifyでオリジナルTシャツを販売するメリット

画像出典:Shopify
Shopifyなら、ブランドに合わせた自社ストアを作り、在庫販売とPODを使い分けられるのが強みです。PrintfulなどのPODアプリを連携すれば、注文後の制作・発送をPOD事業者へ任せられます。Printfulの基本機能は月額無料で、商品代と配送料は注文ごとに販売者へ請求される仕組みです。
在庫を持つ場合は、サイズとカラーを商品バリエーションとして登録し、組み合わせごとの在庫管理が可能です。Shopify POSを使えば、オンラインストアとイベント・ポップアップの注文や在庫をShopify上で一元管理できます。ただし、PODの商品原価や納期、返品・不良品対応の範囲、対面販売で使える決済方法と機器は、導入前に確認が必要です。
Shopifyを候補にする場合は、ストア全体の運営方法や費用も確認しておきましょう。
Shopifyの特徴や料金、メリット・デメリットは、次の記事で詳しく解説しています。
導入を検討する場合は、公式情報と料金を確認したうえで、自店に適したプランを判断してください。
オリジナルTシャツを作って販売するまでの流れ
販売方法が決まったら、誰に何を売るかを固め、サンプルと収支を確認してから出品します。順番に見ていきましょう。
1.ターゲットと販売条件を決める
まずは「誰に、どのような場面で着てほしいか」を決めます。ライブへ行くファン向けと、普段着として着たい人向けでは、合うデザインや生地、価格帯が異なるためです。購入者と販売数をイメージできたら、次の3つから商品の作り方を選びます。
- POD:注文が入るたびに1枚ずつ制作する
- 期間限定受注:受付期間を決め、注文数が確定してからまとめて発注する
- 在庫販売:あらかじめ商品を作り、注文後すぐに発送できるようにする
販売数が読めず、在庫を持ちたくないならPODが始めやすいでしょう。イベント会場ですぐに渡したい場合や、まとめて発注して1枚あたりの制作費を抑えたい場合は、期間限定受注や在庫販売が候補になります。
2.Tシャツの仕様を決める
商品の作り方が決まったら、生地、厚さ、シルエット、カラー、サイズ、プリント位置を選びます。POD一体型サービスでは、用意された商品の中から選択します。Tシャツ制作会社へ発注する場合は、着用イメージや予算を伝えて相談してもよいでしょう。
商品説明で見かける「オンス」は生地の重量を表す単位で、厚さを比べる目安にもなります。印刷方法は、同じデザインをまとまった枚数で作るならシルクスクリーン、小ロットや色数の多いデザインならインクジェットやDTF転写(専用フィルムに印刷して熱で転写する方法)が候補です。価格や仕上がりは制作会社によって異なるため、デザイン、枚数、希望する風合いを伝えて相談してください。
在庫販売では、サイズやカラーを増やすほど在庫管理が複雑になります。初めから展開を広げすぎず、売れ行きを見ながら追加するほうが管理しやすいでしょう。
3.デザインデータを用意して仕上がりを確認する
デザインを作る前に、利用するサービスや制作会社の入稿ガイドを確認してください。PODでは指定された画像サイズに合わせてデザインをアップロードし、プレビューを見ながら位置と大きさを調整します。制作会社へ依頼する場合は、ファイル形式、画像サイズ・解像度、背景の透過などを指定に合わせる必要があります。不明点があれば、データを送る前に問い合わせておきましょう。
データを登録したら、できるだけ販売前に実物サンプルを1枚用意します。画面上の完成イメージだけで判断せず、以下を確かめてください。
- デザインの位置、大きさ、色
- 生地の厚さや透け感
- 実際に着たときのサイズ感
- 縫製やプリントの状態
- 洗濯後の縮みやプリントの変化
4.原価から販売価格を決める
販売価格は、Tシャツ本体と印刷代に、販売経費と確保したい利益を加えて決めるのが基本です。まずは、1枚売れたときにかかる費用を書き出しましょう。
- Tシャツ本体と印刷の費用
- 個包装、タグ、梱包材の費用
- 送料
- 販売手数料や決済手数料
- 返品・交換に備える費用
版代やイベント出店料のように最初にまとめてかかる費用は、販売予定枚数で割り、1枚あたりに換算します。「販売価格-1枚あたりの費用」で残る金額が、希望する利益になっているかも確認してください。
5.商品を出品する
出品時には、購入者がサイズや仕上がりを判断できる写真と説明が必要です。オンラインの商品ページには、以下の情報を掲載します。
- Tシャツの正面・背面、プリント部分、着用時の写真
- 身幅や着丈などの実寸
- モデルの身長と着用サイズ
- 素材、取扱方法、洗濯時の注意点
- 発送予定日と返品・サイズ交換の条件
POD一体型サービスでは、商品の説明や価格を設定して販売ページを公開します。自社ECやECモールでは、表示価格、サイズ・カラー別の在庫、送料、配送方法まで確認してから公開してください。イベントの場合は、サイズ見本、値札、在庫表、現金やキャッシュレス決済などの支払方法を用意します。
オリジナルTシャツを販売する前に確認したい法律・権利・品質表示
どの方法で販売する場合も、デザインの権利と商品に必要な表示の確認は欠かせません。オリジナルTシャツでは、他者の作品やロゴを使っていないかに加え、プリントなどの加工後も品質表示が適切かを確かめる必要があります。ネットで販売する場合は、「特定商取引法に基づく表示」も用意してください。
著作権・商標権などを侵害していないか確認する
他者が制作したキャラクター、ロゴ、写真などを許可なくTシャツへ印刷して販売すると、著作権や商標権などを侵害するおそれがあります。自分で作ったデザイン、または商品化を許可された素材を使ってください。
素材サイトの画像や外注したデザインも、利用条件にTシャツへの印刷・販売が含まれるか確認が必要です。二次創作については、権利者が公開しているガイドラインや許諾条件に従いましょう。
参照:文化庁「著作権の基本と海賊版」、特許庁「商標権の効力」
加工後の組成・洗濯方法・表示者を確認する
販売するTシャツには、繊維の組成、家庭洗濯等取扱方法、表示者名・連絡先などの品質表示が必要です。無地Tシャツにプリントや染色を加えると、適切な取扱方法が加工前と変わる場合があります。
元のタグをそのまま使えるとは限らないため、加工後の表示内容と、誰が表示に責任を持つのかを制作会社へ確認してください。
参照:消費者庁「家庭用品品質表示法」、消費者庁「繊維製品について」
ネット販売では特定商取引法に基づく表示を用意する
自社ECなどで通信販売を行う場合は、販売価格と送料、支払方法・時期、商品の引渡時期、返品条件、事業者名・住所・電話番号などを表示します。POD一体型サービスやECモールでは、販売主体やサービス側が代行する表示の範囲が異なるため、各サービスの規約や案内も確認してください。
参照:消費者庁「通信販売」
オリジナルTシャツ販売は目的に合う方法から始めよう
在庫と発送の負担を避けて反応を試すならPOD一体型サービス、新しい購入者に届けたいならECモール、ファンと直接交流したいならイベントが候補です。継続販売を前提にブランドを育てるなら、自社ECが選択肢になります。
販売方法を一つに絞る必要はありません。ShopifyとPrintfulなどのPODアプリを連携すれば、自社ストアを持ちながら、制作・発送をPOD事業者へ任せられます。まずPODで売れ行きを確かめてから在庫商品を作る、イベントとオンライン販売を併用するなど、活動の段階に合わせて組み合わせることも可能です。自分に合う方法を選んだら、実物サンプルと1枚あたりの収支を確かめ、販売準備を進めましょう。
