オリジナルグッズを販売してみたいものの、「個人でも販売できるのか」「何を作り、どこで売ればよいのか」と迷う方もいるでしょう。商品や在庫、販売先を一度に考えると、何から始めるべきか見えにくくなります。
個人や少人数でも、商品・在庫・販売先を順に決めればオリジナルグッズを販売できます。この記事では、それぞれの選び方を解説し、自分たちの規模や目的に合う始め方を整理します。
個人でもオリジナルグッズを販売できる?
個人や少人数のサークル・チームでも、オリジナルグッズは販売できます。販売を始めるには、商品の製造、売り場の準備、梱包・発送などが必要ですが、すべてを自分たちで行う必要はありません。製造や発送をPODサービスに依頼し、売り場にはマーケットプレイスを使うなど、必要な作業の一部を外部サービスに任せられるためです。
ただし、どのような商品でも自由に売れるとは限りません。使用するデザインの権利、商品ごとの規制、販売サービスの規約、通信販売に必要な表示は事前に確認しましょう。
オリジナルグッズを販売するまでの流れ
オリジナルグッズの販売準備は、「販売する商品を決める」「在庫の持ち方を決める」「販売方法を選ぶ」の順に考えるのがおすすめです。
このうち、在庫の持ち方と販売方法は別々に考えることが大切です。例えば、自社ECでも、あらかじめ在庫を用意する方法と、PODサービスと連携して注文後に生産する方法があります。それぞれを分けて考えると、自分たちに合った販売の形を選びやすくなります。
販売する商品を決める
商品は「作りたいもの」だけで決めず、購入者が使う場面や制作・発送の負担も踏まえて選びます。初回は一つに絞ったほうが、必要な費用や作業量をつかみやすいでしょう。
購入者と使用場面を考える
まずは、誰に、どのような場面で使ってほしいのかを考えます。同じイラストを使っても、「身につけたい」「部屋に飾りたい」「日常で使いたい」といった購入者の目的によって、選ぶ商品は変わります。
例えば、身につけて楽しみたい人にはTシャツやバッグ、キャラクターを部屋に飾りたい人にはアクリルスタンドが候補になるでしょう。日常で使えるものを求める人には、ポーチやマグカップなどが合います。
グッズの主な種類から商品を選ぶ
代表的なオリジナルグッズには、次のようなものがあります。
- Tシャツ・パーカーなどのアパレル
- バッグ・ポーチなどの服飾雑貨
- アクリルスタンド・キーホルダー・缶バッジなどのコレクション商品
- ステッカー・ノートなどの文房具
- マグカップ・タオルなどの生活雑貨
候補を挙げたら、制作費・個数と発送のしやすさを確認します。
制作会社へ見積もりを依頼し、商品単価、最低発注数、試作代、送料を含む合計額を比べます。予算や保管場所に合わなければ、少量生産やPOD、予約販売を検討しましょう。
発送については、試作品を梱包し、梱包後の大きさ・重さ、必要な資材、利用できる配送方法を確認します。初回は、自分たちで無理なく保管・発送できる商品を選ぶと運営しやすくなります。
在庫の持ち方を決める
商品が決まったら、次は在庫の持ち方を決めましょう。大きく分けると、「事前に在庫を用意する」「PODで生産する」「予約数の確定後に生産する」の3つの方法があります。
ある程度の販売数を見込め、すぐに発送したい場合は事前に在庫を用意します。売れ行きがわからず、在庫を持たずに試したい場合はPODが候補です。注文数を確認してからまとめて作りたい場合は、予約販売を選びましょう。
あらかじめ在庫を用意する
商品を販売前にまとめて作り、注文後は手元の在庫から発送します。まとまった数を発注すると1点あたりの原価を抑えやすく、台紙や同封物を加えるなど梱包にもこだわれる点がメリットです。
ただし、制作費を先に支払い、完成した商品を保管する必要があります。注文数が想定を下回ると、売れ残りも生じます。初回は保管できる範囲の数量に抑え、売れ行きに応じて追加生産するのがよいでしょう。
PODで注文後に生産する
POD(プリント・オン・デマンド)とは、注文が入ってから注文分の商品を生産する仕組みを指します。デザインデータを印刷会社やPODサービスへ登録し、Tシャツやマグカップなどに印刷してもらいます。
商品を作り置きしないため、売れ残りを抑えながら複数のデザインを試せます。一方、まとめて作る場合より原価が高く、注文から発送までに時間がかかることがあります。PODを選んだ場合もサービスの納期を調べ、販売前に試作品で色や印刷位置、素材、使い心地を確かめましょう。
スマホケースに絞った販売手順は、次の記事で詳しく解説しています。
予約を受けてから必要数を生産する
予約販売では、期間を設けて注文を受け付け、予約数が確定してから必要な分を生産します。PODのように注文ごとに作るのではなく、確定した数量をまとめて発注できるため、最低発注数がある商品や期間限定の商品にも利用しやすい方法です。
一方、購入者には商品が届くまで待ってもらう必要があります。予約販売を選ぶ場合は、受付期間、発送予定時期、キャンセルや返品の条件を明記し、制作期間を踏まえて無理のない発送時期を設定しましょう。
オリジナルグッズの販売方法を選ぶ
在庫の持ち方が決まったら、次は販売方法を選びましょう。大きく分けると、「POD一体型サービス」「マーケットプレイス」「自社EC」「オフライン販売」の4つがあります。見つけてもらいやすさ、ブランドの表現方法、発送業務、費用などを比べ、自分たちに合う方法を選びます。
| 比較項目 | POD一体型サービス | マーケットプレイス | 自社EC | オフライン販売 |
|---|---|---|---|---|
| 見つけてもらいやすさ | サービス内の利用者に届く可能性がある | サービス内検索から見つかる可能性がある | 自分で集客する必要がある | イベントの来場者へ直接届けられる |
| ブランド表現 | サービスの仕様内で整える | ショップ表現に制限がある | デザインや導線を作り込みやすい | 売り場や接客で世界観を伝えられる |
| 発送 | 製造元に任せやすい | 自宅・倉庫発送などから選ぶ | 自分または連携サービスが担当する | 持ち帰りが中心。委託は店舗ごとに異なる |
| 主な費用 | 商品原価など | 販売手数料、発送費など | 月額料金、決済手数料など | 出店料、決済手数料、搬入費など |
| 向く人 | 在庫を持たずに試したい人 | ショップ開設の負担を抑えたい人 | 継続的にブランドを育てたい人 | 反応を直接確かめたい人 |
※記載している料金・手数料は、2026年8月23日時点の情報です。変更されることがあるため、申し込み前に各社の公式サイトを確認してください。
SUZURIなどのPOD一体型サービス

画像出典:SUZURI
SUZURIなどのPOD一体型サービスでは、デザインを登録すると、注文後の製造から発送までサービス側へ任せられます。SUZURIでは、アイテムの原価にクリエイターが設定した「トリブン」を加えて販売価格が決まります。まとまった在庫を用意せず、まずはデザインへの反応を見たい方に使いやすいでしょう。
BOOTHなどのマーケットプレイス

画像出典:BOOTH
BOOTHやminneなどのマーケットプレイスでは、完成した商品を出品できます。サービス内の検索や特集を通じて、新しい購入者に見つけてもらえる可能性もあります。
BOOTHでは、自宅発送や倉庫発送に加え、pixivFACTORYと連携したオンデマンド販売も選べます。この場合はBOOTHが売り場となり、pixivFACTORYが製造・発送を担います。利用前に原価や製造期間、返品対応の範囲を把握しておきましょう。
いずれも、商品が売れたときに手数料がかかります。BOOTHの自宅発送では、商品価格と送料の合計に5.6%を掛け、45円を加えたサービス利用料が発生します。minneで有料会員プラン「minne PLUS」に加入していない場合、作品価格、購入オプション価格、送料を合計した注文額の10.659%(税込)が販売手数料です。
Shopifyなどの自社EC

画像出典:Shopify
Shopifyや BASEなどを使えば、自分たちのオンラインショップを開設できます。商品ページや購入までの導線を自由に整え、ショップ全体でブランドの雰囲気を伝えたい人に向いています。商品は自分で在庫を用意して発送するほか、ShopifyとPrintfulなどのPODサービスを連携し、注文後の製造・発送を任せることも可能です。
Shopifyの Basicプランは、月払いで月額4,850円、年払いでは月額換算3,650円です。Shopify ペイメントで国内の標準オンラインカード決済を受け付けると、販売時に3.55%の手数料がかかります。マーケットプレイスのようなサービス内検索には頼れないため、SNSやイベントからショップへ案内する導線も必要です。
Shopifyの特徴や料金、メリット・デメリットは、次の記事で詳しく解説しています。
※以下のShopify公式サイトへのリンクはアフィリエイトリンクです。
導入を検討する場合は、Shopify公式サイトで無料体験を始めるか、料金プランを確認できます。
ShopifyとRuffRuff 予約販売を組み合わせる
RuffRuff 予約販売は、株式会社Tsunが提供するShopifyアプリです。
Shopifyで予約を受け、注文数に合わせてグッズを生産するなら、RuffRuff 予約販売が選択肢の一つです。期間や在庫数などの条件を設定でき、受注生産品の販売にも利用できます。
後払い機能を使うと、注文時ではなく、出荷前などの任意のタイミングで支払いを確定できます。ここでいう後払いは、購入者が商品到着後にコンビニなどで代金を支払う決済サービスとは別の仕組みです。販売者が支払いを回収する操作を行う必要があり、利用できる決済方法にも条件があるため、導入前に運用の流れを確かめてください。
スタータープランは月額9ドルで、予約販売手数料は3%です。ベーシックプランは月額52ドル・手数料1%、プロプランは月額199ドルで手数料はかかりません。
機能や利用条件を確認したうえで、自店の予約販売の運用に合うか判断してください。
イベントなどのオフライン販売
同人・ハンドメイドイベントは、関心を持つ来場者に商品を直接紹介できる場です。その場で反応を見たり、次に欲しい商品を聞いたりできるのは、対面販売ならではの利点です。イベントに出店するほか、店舗へ商品を預ける委託販売も選べます。
出店や委託を申し込む前に、手数料、販売できる商品のルール、搬入方法、決済手段を調べておきます。オンラインと同じ在庫を扱う場合は、二重販売を防ぐ管理方法も決めておきましょう。
オリジナルグッズを販売する前に確認したい注意事項
販売前には、デザインの著作権・商標権、商品ごとの許可・規制、通信販売に必要な表示を確認しましょう。権利と商品規制は制作前に、通信販売の表示は商品ページを公開する前に確認します。
デザインの著作権・商標権を確認する
販売に使うデザインは自分で制作するか、商品への利用許諾を得た素材を使います。素材サイトから入手した画像も、商用利用やグッズ販売が認められているとは限りません。必ず利用規約を確認してください。
アニメやゲームのキャラクター、ブランドロゴ、芸能人の写真、他者が撮影した画像などの無断使用は避けましょう。二次創作を販売するときは、権利者が公開しているガイドラインに沿って判断してください。
参照:文化庁「ここが知りたい著作権」、特許庁「商標制度の概要」
商品ごとの販売許可・規制を確認する
一般的な雑貨には、一律の販売許可が必要なわけではありません。ただし、食品、化粧品、電気用品、乳幼児向け製品などは、商品によって許可や届出、表示、安全基準が定められています。
食品や化粧品などを扱う場合は、制作会社や販売サービスの案内、公的機関のウェブサイトで、販売者に必要な許可や表示を調べてください。条件を確認できない商品は避け、初回は販売ルールがわかりやすい商品から始めるとよいでしょう。
通信販売に必要な表示を確認する
商品ページには、サイズ、素材、価格、送料、発送時期、返品・キャンセル条件をわかりやすく記載します。写真と実物で色が異なる可能性や、受注生産品であることも購入判断に関わるため、あわせて記載してください。
オンライン販売では、特定商取引法に基づく表示も必要です。販売価格と送料、支払方法・時期、商品の引渡時期、返品条件、事業者情報などを所定の場所に掲載します。
商品・在庫の持ち方・販売方法を順に決めよう
個人や少人数のサークル・チームでも、自分たちの規模に合う仕組みを選べばオリジナルグッズを販売できます。初回から商品数や在庫を増やす必要はありません。
まずは「誰に売るか」を決め、最初に作る商品、在庫の持ち方、販売する場所を一つずつ選びます。試作品の仕上がりと必要な費用を確かめてから販売を始め、反応を見ながら種類や数量を増やしていきましょう。

