近年、バレンタインデーの消費傾向は変化しています。チョコレートを中心としたギフト需要は続く一方で、「自分へのご褒美」や「推し活」など、自分向け消費や体験価値を重視した購入行動が広がってきました。こうした変化により、バレンタインキャンペーンの設計や訴求軸も見直しが求められています。
日本では長らく「女性が男性にチョコレートを贈る日」として定着してきましたが、現在では恋人への贈答に限らず、個人の価値観に基づいて楽しむイベントへと位置づけが広がっています。EC事業者にとっても、単なる季節セールではなく、顧客との接点をつくり、関係性を深める機会として活用しやすいイベントです。
本記事では、ECサイト運営者向けに、バレンタインデーキャンペーンの基本的な考え方を整理し、市場動向を踏まえた最新トレンドや事例をもとに施策検討のヒントをまとめます。
バレンタインキャンペーンの市場動向
ここでは直近のデータをもとに、2026年のバレンタインキャンペーンを検討するうえで押さえておきたい市場動向を整理します。
バレンタイン消費の最新データと傾向
2025〜2026年のバレンタイン市場で特に目立つのが、「自分向け消費」の存在感が大きくなっている点です。
松屋銀座が公表した調査結果をもとに日経が報じた内容によると、松屋銀座の調査では、バレンタインチョコの平均予算は「自分向け」が10,662円(前回比15%増)となり、「本命」向けの5,573円(同13%増)を大きく上回りました。本命向けの約2倍という数字からも、自分のために選ぶバレンタインが特別なものではなくなっている様子がうかがえます。
さらに「バレンタインチョコは節約を意識しない」と回答した人は72%にのぼっており、日常では支出を抑えつつも、特別なタイミングには納得できるものを選びたいという消費者意識が広がっています。
出典:百貨店のバレンタイン商戦 カカオ高騰もチョコ以外や実演で需要喚起|日経新聞

画像参照:Shopify Japan、2025年バレンタインデーのECトレンドを発表
また、Shopify Japanが2025年に公開したバレンタインデーの販売データでは、チョコレート以外の商品カテゴリが大きく成長している点も特徴です。
Shopify上で取り扱われるグリーティングカードや香水、ぬいぐるみなどが前年比で2倍以上伸びており、バレンタインが必ずしもチョコレートだけのイベントではなくなってきている傾向がわかります。
一方で、定番であるチョコレートの存在感が薄れているわけではありません。同データでは、チョコレートの売上自体も前年比72%増加しています。自分用のご褒美として選ばれたり、友人や家族へのカジュアルなギフトとして購入されたりと、用途が広がっている点が背景にあります。
実店舗で商品を選ぶ楽しさと、ECで手軽に購入できる利便性を併用する消費行動が定着しつつあります。
出典:Shopify Japan、2025年バレンタインデーのECトレンドを発表|PR Times
バレンタインキャンペーンの主な種類
バレンタインデーのような季節性のイベントで、よく行われるキャンペーン事例を紹介します。
割引・クーポン型バレンタインキャンペーン
割引やクーポン配布は、比較的導入しやすいバレンタインキャンペーンのひとつです。「期間限定」の要素が購買を後押ししやすく、バレンタイン前後の短期間に限定したクーポン施策は一定の効果が期待できます。
ただし、値引きに頼りすぎるとブランドイメージを損なう可能性もあります。会員限定やメルマガ登録者限定など、対象を限定した形で実施することで、特別感を保ちながら活用しやすくなります。
下記のブログ記事ではShopifyで割引・クーポン施策を実施する方法を紹介しています。ご参考にしてください。
限定商品・セット販売のバレンタインキャンペーン
バレンタインでは「今しか買えない」限定性が商品をより魅力的に見せます。限定フレーバーや期間限定パッケージ、複数商品を組み合わせたギフトセットは、ECとの相性も良好です。
特に自分向け需要を意識する場合、価格の安さよりも、希少性や商品に込められたストーリー性を訴求することで、購入単価の向上につながりやすくなります。
下記のブログ記事ではShopifyで期間限定販売やセット販売を実施する方法を紹介しています。ご参考にしてください。
SNS参加型バレンタインキャンペーン
SNS参加型キャンペーンは、認知拡大とファン獲得を同時に狙える施策です。ハッシュタグ投稿やフォロー&いいねといった形式は、日本のSNS利用環境とも相性が良い施策です。
ECサイトと連動させ、キャンペーン参加後に商品ページへ自然に誘導できる設計にすることで、話題づくりと購入促進の両立がしやすくなります。
2026年バレンタインキャンペーンの事例
実際に行われているバレンタインキャンペーンの事例をいくつか紹介します。
限定割引や抽選を通じて特別感を演出したバレンタインキャンペーン事例
UHA味覚糖株式会社では、期間限定の割引や抽選要素を組み合わせることで特別感を演出したキャンペーンを実施しています。一定期間中に参加できる企画として、価格以上の商品が当たる仕組みが用意されており、バレンタインシーズンならではのイベント性を取り入れた施策として展開されています。
抽選やガチャ形式のキャンペーンは、価格訴求に近い要素を持ちながらも、単なる値引きとは異なる体験を提供できるのが特徴です。
イベントに参加するワクワク感が、購入や来店のきっかけにつながっています。
](https://cdn.shopify.com/s/files/1/0611/3542/1693/files/main_2428eaec-a91b-45cb-abcf-5d42ebfcb480.jpg?v=1768549579)
画像出典:UHA味覚糖が手がけるショコラトリー「キャギ ド レーブ」にて昨年大人気の福ガチャキャンペーンを期間限定で実施
LINEギフトを利用したバレンタインキャンペーン事例
株式会社ロイズコンフェクトでは、ECサイト内の購入に限定せず、LINEギフトを活用したキャンペーンを行っています。バレンタイン期間中にLINEギフトを通じた商品展開が行われ、オンラインストア以外の販路を広げる取り組みとなっています。
LINEの友だちであれば住所を知らない相手にも気軽に送れるギフトで、よりカジュアルにバレンタインデーを楽しめます。
](https://cdn.shopify.com/s/files/1/0611/3542/1693/files/main_1.jpg?v=1768549607)
画像出典:【ロイズ】ポテトチップチョコレートも入ったLINEギフト限定の詰め合わせを1月7日に発売。バレンタインにぴったりな限定スリーブ付きも!
バレンタインを「贈る日」から「楽しむ日」へ広げたキャンペーン事例
株式会社Francfrancでは、バレンタインそのものを楽しむことを意識した商品展開も行われています。「大切な人へのギフト」としてだけでなく、友人同士でのお揃いや、自分へのご褒美、バレンタインパーティーでの利用など、複数の利用シーンが想定されています。
バレンタインを「誰かに贈る日」に限定せず、自分自身が楽しむイベントとしても位置づけることで、商品の魅力を幅広いユーザーに伝えています。

出典:ハート型のポーチや食器など、遊び心溢れるデザインで “バレンタインデーという時間を楽しめる”新作アイテムを1月16日より展開
ECサイトでバレンタインキャンペーンを実施する際の注意点
シーズン性のあるイベントのため、キャンペーンの実施にはいくつか注意点があります。
在庫・配送対応を見越した設計
バレンタインキャンペーンは短期間で注文が集中しやすく、在庫切れや配送遅延が起こりやすい施策でもあります。「当日までに届くかどうか」が購買判断に影響するケースも少なくありません。
よくある注意点としては、以下のようなケースがあげられます。
- 「バレンタイン向け」と記載しているものの、到着保証日が明確でない
- 注文締切日が分かりにくい
最終注文日や到着目安日を商品ページやカート画面で明示し、天候や物流事情による遅延の可能性についても事前に伝えておくことで、購入後のトラブルを防ぎやすくなります。
想定ユーザーを限定しすぎないクリエイティブ設計
近年、自分向けや推し向けといったバレンタイン需要が広がっています。そのため「彼氏・彼女に」「本命に」といった贈答前提の表現に寄せすぎると、購入機会を狭めてしまう可能性があります。
「自分へのご褒美」「推し活」「日頃の感謝」など複数の文脈を用意し、商品説明・バナーで用途を限定しすぎないクリエイティブを用意することで、より幅広いニーズに応えられます。
キャンペーン終了後のリピーター導線設計
バレンタインキャンペーンを一度きりで終わらせないためには、終了後の導線設計も重要です。購入者に対してホワイトデーや次回イベントの案内を行うことで、継続的な接点をつくることができます。 特にECでは、メールやLINEを活用したフォローが効果的です。
- 購入者向けのフォロー配信(メール・LINE)
- ホワイトデーや次回イベントへの案内
- レビュー・アンケート依頼で関係継続
バレンタインキャンペーンを売上につなげるポイント
キャンペーンの内容だけではなく、キャンペーンを通じてどのターゲットと、どのような関係を築きたいのかを事前に整理することで、施策を検討しやすくなります。
市場の動向を踏まえて、バレンタインデーは「贈り物」ニーズだけでなく、自分向け需要やユーザーのブランド体験価値を高めるきっかけとして捉えることが重要です。
イベント単発の売上にとどめず、商品の背景やストーリー、購入後の体験までを含めた設計を行うことで、キャンペーン終了後も継続的な関係づくりにつなげることができます。


