「Magento(マジェント)」とは、カスタマイズ性が高く越境ECに強いECプラットフォームです。
「越境ECに注力したい」「自由にカスタマイズしたい」という理由から、Magentoが気になっているEC担当者もいるでしょう。
本記事では、Magentoの特徴から機能、利用料金まで詳しく解説します。利用がおすすめの企業の特徴もあわせて紹介するので、導入に迷っている方はぜひ最後までごらんください。
ECサイト構築プラットフォーム「Magento(マジェント)」とは?

画像出典:Adobe Commerce
Magentoは、米国のMagento社が開発したオープンソースのECプラットフォームです。2018年にAdobe社が買収し、現在は無償版の「Magento Open Source」と有償版の「Adobe Commerce」の大きく2つにわかれています。
このうち、無償版が旧Magentoに該当するとされています。どちらも拡張性が高く、技術があれば自分好みのサイトに仕上げることが可能です。
多言語・多通貨対応で、越境ECに強いのも大きな魅力のひとつ。1つの管理画面で複数サイトを運営できる「マルチストア機能」も、Magentoならではの強みです。
Magento Open SourceとAdobe Commerceの違い
Magento Open SourceとAdobe Commerceの違いは、利用料金や機能にあります。「Magento Open Source」は無料のオープンソース、「Adobe Commerce」は有料となっています。
Magento Open SourceにもECサイトの構築に必要な基本機能が揃っており、通常のEC構築や運営は問題なく可能です。Adobe Commerceは、Magento Open Sourceよりも高度な機能やセキュリティを実装しており、専門家による24時間365日対応の技術サポートも用意されています。
「BtoB向けの本格的なECサイトを運営したい」「デザインや機能を作り込みたい」という方は、Adobe Commerceが適しているでしょう。
Magentoを利用するメリット

画像出典:Adobe Commerce
Magentoを利用するメリットについて、以下のようなものがあげられます。
- 1つの管理画面で複数のECサイトを運営できる
- ショップ規模の拡大に合わせて必要な機能を自由に追加できる
- 多数のアプリ・サービスを連携させても動作が重くなりづらい
- 多言語・多通貨対応で越境ECに取り組みやすい
上記について、順に詳しくみていきましょう。
1つの管理画面で複数のECサイトを運営できる
ほかのECプラットフォームでは、1つのアカウントで運営できるサイトは1つまでとなっているケースが多いなかで、Magentoは1つの管理画面で複数のECサイトを運営できるのが大きな魅力です。
複数のサイトを運営すると管理作業が煩雑化し、人的ミスや在庫切れによる販売機会の損失につながる可能性があります。
ショップ規模の拡大に合わせて必要な機能を自由に追加できる
Magentoには、ECサイトの構築に必須の機能だけでなく、ショップの規模や目的に応じて追加できる拡張機能も用意されています。
ショップを運用していくなかで、改善したい部分が出てきた際には拡張機能の追加をし、外部のアプリやサービスの利用を検討せずに済むのは、嬉しいポイントです。
多数のアプリ・サービスを連携させても動作が重くなりづらい
Magentoは、キャッシュ管理システムやコンテンツ配信ネットワーク(CDN)など読み込み時間を短縮するための施策により、商品点数が増加しても表示速度が劣化しない仕組みとなっています。そのため、多数のアプリ・サービスを連携してもスムーズな動作を実現できます。
通常、商品登録点数などが多くなればなるほどサイトの表示速度が遅くなる傾向があり、必要に応じてファイル容量を減らしたりコンテンツを削除したりなどの対応が必要です。
しかし、Magentoでは設定を正しく行えば動作が重くなりづらいです。そのため、読み込み速度の遅延によるユーザーの離脱を防止できます。
多言語・多通貨対応で越境ECに取り組みやすい
Magentoは、多言語・多通貨対応のプラットフォームです。200以上の通貨と38の言語に対応しています。
運営するECサイトごとに別々の通貨を割り当てることもでき、越境ECに取り組みやすいのもMagentoの魅力です。
Magento(Adobe Commerce)の利用におけるデメリット
Magentoには、以下のデメリットもあります。
- 英語力がないと使い方の理解に時間がかかる
- 導入・運用には専門的な知識が必須
- ECサイトの構築を外注する場合は費用が高額になる可能性がある
ここからは、上記の点を順に詳しく解説します。
英語力がないと使い方の理解に時間がかかる
Magentoはカスタマイズ性が高いため、設定する項目や機能が多くなります。さらに、操作方法や設定方法に関するマニュアルは英語表記のものがほとんどです。
そのため、英語が苦手な場合や専門的な知識がない場合、Magentoの使い方を理解するまでに膨大な時間がかかる可能性もあります。Magentoの利用を検討している方は、ECサイトの運営開始までの準備期間を長めに設けておくことをおすすめします。
導入・運用には専門的な知識が必須
Magentoを導入するときには、データベースの構築やプラグインのインストールなどさまざまな手続きが必要です。
運用時には、バックアップ・データ管理・セキュリティ対策まですべて自分自身で行わなければなりません。そのため、専門的な知識を身に付けていない場合、導入・運用の外注が必要となる可能性が高いです。
ほかのECカートには、専門的な知識不要で簡単にショップ運営を始められるものもあります。専門的な知識がない方は、別のECカートを検討したほうがよいかもしれません。
ECサイトの構築を外注する場合は費用が高額になる可能性がある
Magentoは、サイトの構築やカスタマイズの難易度が高いプラットフォームです。そのため、MagentoでのECサイトの構築を委託する場合、最低でも300万円以上と高額な料金がかかります。
MagentoでECカートを運営する場合は、利用後にかかる料金だけでなくサイトを構築する費用も含めたうえで、無理なくサイト運営できるかどうか確認しましょう。
Magentoの利用料金
Magento Open Sourceは、利用自体は無料ですがサーバー・ドメイン代などが発生します。
Adobe Commerceの利用料金は公開されていませんが、ドメイン数や取引流通数などショップの状況に合わせて、年間のライセンス料金が決定されるといわれています。
詳しい料金を知りたい場合は、Adobe公式サイトから直接お問い合わせください。
Magento(Adobe Commerce)とShopifyを徹底比較!
拡張性が高く越境ECにも強いMagentoですが、類似のECカートにはShopifyもあります。
MagentoとShopifyの大きな違いは、初心者でも扱いやすい仕様かどうかです。Magentoはカスタマイズ性が高いですが、理想通りのサイトの構築~運用には専門的な知識が必要です。
一方、Shopifyはノーコードでサイトを簡単にカスタマイズ可能。そのため、初心者でも登録後すぐにサイトを立ち上げられます。
Shopifyの利用料金は初期費用無料、月額費用が数千円~数万円程度と良心的な価格です。そのため、できる限りコストを安く抑えたい人にもおすすめなECカートといえます。
Magentoがおすすめの企業
Magentoの利用がおすすめなのは、以下の特徴を持つ企業です。
- 越境ECに取り組みたい企業
- BtoB向けのECサイトを運営したい企業
- 大規模なECサイトを運営する企業
Shopifyがおすすめの企業
Shopifyは、以下のような企業におすすめです。
- コストを最小限に抑えたい企業
- 専門知識不要でショップを構築できるECカートを探している企業
- 小規模なECサイトを運営する企業
Magentoは多機能でカスタマイズ性が高く、越境ECに強いのが魅力
Magentoは、多機能で拡張性が高く理想通りのサイトにカスタマイズしやすいのが魅力のECプラットフォーム。多言語・多通貨に対応しており、越境ECに強いのも大きな特徴です。そのため、大規模なECサイトを運営している企業や、世界に向けて広く販売したい企業におすすめできます。
ただし、専門知識がないとサイトの構築は難しいのが現状です。 Magentoの利用を検討している企業は、構築に関する高度な知識を保持しているメンバーがいるか、運用ができるかを事前によく確認しましょう。「コストを抑えたい」「専門知識はなくても簡単にショップを運営できるECカートにしたい」という場合は、Shopifyの利用を検討してみてください。