Shopifyでは売上の推移、商品別の成果、販売チャネル別の状況、顧客の購入傾向など、さまざまなデータを管理画面からレポートで確認できます。標準レポートだけでも多くの情報を確認できますが、「特定の商品だけを見たい」「販売チャネル別に売上を比較したい」「顧客の購入傾向を詳しく確認したい」といった場合、レポートの集計条件を調整する必要があります。
そんなときに利用するのがShopifyQLです。ShopifyQLは、Shopifyのストアデータを集計・分析するためのクエリ言語で、レポートや顧客セグメントの作成に使われています。
本記事では、ShopifyQLとShopify管理画面のレポートで使うShopifyQLクエリエディタについて解説します。なお、Plusストアで提供されるShopifyQL Notebooksについては取り扱いません。
Shopifyのストア分析全体を確認したい方は、関連記事をご覧ください。
ShopifyQLとは
ShopifyQL自体に馴染みがなくても、普段何気なく利用している機能にShopifyQLは活用されています。まずは、ShopifyQLがどのような機能で使われるのかを確認していきましょう。
ShopifyQLはShopify Query Languageのこと
ShopifyQL(Shopify Query Language)はShopifyのストアデータに対して、必要な情報を取得するために使うクエリ言語です。
クエリとは、データに対して集計条件を指定するルールです。たとえば「売上合計を見たい」「商品別に売上を分けたい」「過去30日間のデータだけを見たい」といった条件を、ShopifyQLで指定できます。
ただし、EC運営者がすべての構文を覚える必要はありません。Shopifyのレポート画面では、設定パネルやフィルターを操作すると、ShopifyQLの内容も連動して変わります。最初は既存レポートのShopifyQLを確認しながら、少しずつ変更していく使い方が現実的です。
ShopifyQLはストア分析や顧客セグメントで使われる
ShopifyQLは、ストア分析のレポートや顧客セグメントのように、Shopify上のデータを収集・集計する際の言語として利用されています。
Shopify管理画面の「ストア分析」からレポートを開くと、レポートの内容を構成しているShopifyQLを確認できます。

Shopifyレポート:一緒に購入されたアイテムのレポートクエリ
Shopifyのレポートでは、売上、注文、商品、販売チャネル、地域、顧客など、さまざまなデータを確認できます。ShopifyQLクエリエディタでレポートのクエリを見ることで、既存レポートがどのような条件で作られているのかを把握しやすくなります。
また、ShopifyQLは顧客セグメントの作成や変更にも使われます。顧客セグメントとは、購入回数、購入金額、地域、メール購読状況など、一定の条件に合う顧客をまとめる機能です。たとえば、一定回数以上購入した顧客や、特定地域に住む顧客を抽出したい場合に活用できます。
顧客セグメントの編集画面では、条件がShopifyQLのクエリとして表されます。

顧客セグメント:過去注文数が多いユーザーのセグメント条件
顧客セグメントについての詳細は、以下の記事をご覧ください。
ShopifyQLとSQLとの違い
名前が似ているため、ShopifyQLをSQLのようなデータベース操作の言語だと考える方もいるかもしれません。しかし、ShopifyQLはShopifyのレポートや分析向けに作られた言語です。
SQLは、一般的なデータベースから自由にデータを取り出すための言語です。一方、ShopifyQLはShopifyのストア分析や顧客データを扱うために設計されており、使える指標、ディメンション、条件はShopifyの機能に合わせて決まっています。
そのため、ShopifyQLは外部データベースへ直接問い合わせるものではなく、Shopify内のレポートや顧客セグメントを確認・調整するための仕組みと考えるとわかりやすいでしょう。
ShopifyQLクエリエディタとは
ShopifyQLクエリエディタとは、Shopifyのレポートを自分が見たい条件に合わせて調整するための編集画面です。
標準レポートでは売上全体を確認できますが、実際の運営では「商品別に売上を見たい」「販売チャネルごとに成果を比較したい」「特定期間だけのデータを確認したい」といった場面があります。ShopifyQLクエリエディタを使うと、任意の条件を指定し、レポートの見方を調整できます。

Shopifyストア分析:レポート「新しい探索(新規レポート作成画面)」
ここからは、ShopifyQLクエリエディタでできることを具体的に紹介します。
既存レポートの内容を確認できる
ShopifyQLクエリエディタを見ると、既存レポートがどのような条件で作られているかを確認できます。
たとえば、売上レポートを開いたときに、売上合計を見ているのか、純売上を見ているのか、商品別に分けているのか、期間別に集計しているのかを確認できます。レポート上の表やグラフだけでなく、集計条件を把握できるため、数値の意味を理解しやすくなります。
指標やディメンションを変更できる
ShopifyQLクエリエディタでは、レポートに表示する指標やディメンションを変更できます。
指標とは、売上、注文数、平均注文金額など、数値として確認する項目です。ディメンションとは、商品名、販売チャネル、地域、期間など、データを分けて見るための項目です。
たとえば、売上を月別に見るだけでなく、商品別や販売チャネル別に分けて確認できます。指標とディメンションを組み合わせることで、同じ売上データでも違う角度から分析しやすくなります。
条件を絞って必要なデータを確認できる
ShopifyQLは、特定の商品を含む売上、特定の国からの注文、特定期間のデータなどを絞り込めます。
EC運営では、全体の売上だけを見ても課題がわかりにくい場合があります。販売チャネル、商品、地域、期間などで条件を絞ることで、どの施策が成果につながったのかを振り返りやすくなります。
表やグラフでレポートを見やすく調整できる
Shopifyのレポートでは、表やグラフを使ってデータを確認できます。売上の推移は折れ線グラフ、商品別の売上比較は棒グラフなど、見たい内容に合わせて表示を変えると数値の変化を把握しやすくなります。
ただし、選択したデータの組み合わせによっては、利用できないグラフ形式もあります。表示できない場合は、指標やディメンションの組み合わせを見直しましょう。
よく見る条件を保存できる
Shopifyの標準レポートを調整した場合、変更内容をカスタムデータ探索として保存できます。
たとえば、毎月確認している売上レポートや、特定チャネルの成果を確認するレポートを保存しておくと、次回以降の確認作業が楽になります。毎回同じ条件を設定し直す必要がなくなるため、月次確認や施策の振り返りにも使いやすくなります。
標準レポートを上書きするのではなく、自社の確認したい条件に合わせたレポートを作成できる点が、ShopifyQLクエリエディタの便利なところです。
SidekickでShopifyQLクエリの作成を補助できる
ShopifyのAIアシスタントであるSidekickを使えば、「過去30日間の商品別売上を見たい」「販売チャネル別の売上を比較したい」といった自然な言葉で、ShopifyQLクエリの作成を補助してもらえます。

Shopifyストア分析:Sidekickで指示を出し、レポートのクエリを作成
Sidekickは、Shopify管理画面で使えるAIアシスタントです。Sidekickへ自然な言葉で依頼することで、現在開いているレポートの内容に合わせたクエリ作成を補助できます。
ただし、生成された内容は必ず確認しましょう。表示されたレポートの指標、期間、条件が意図と合っているかを確認したうえで、必要に応じて修正することが大切です。
Sidekickについては別記事でも紹介しています。
ShopifyQLを使うときの注意点
ShopifyQLの利用範囲はShopify上のデータに限られ、集計できる条件にも制限があります。利用する際の注意点を紹介します。
すべてのデータを自由に組み合わせられるわけではない
ShopifyQLは便利な機能ですが、すべてのデータを自由に組み合わせられるわけではありません。集計できるデータは、Shopifyのレポート機能や顧客セグメントで定義された範囲に限られます。
たとえば「過去1年に3回以上購入した顧客だけを対象に、商品別の売上・返品率・平均注文金額」などの異なるデータソースをまたぐ結合の記述は集計ができない場合があります。
構文をすべて理解する必要はありませんが、ShopifyQLでは扱えない組み合わせがあることは把握しておきましょう。
構文について詳細を知りたい場合は、公式ドキュメント「ShopifyQL構文の概要」を参考にしてください。
集計条件によって数値の見え方が変わる
ShopifyQLでレポートを見るときは、集計条件によって数値の見え方が変わる点に注意が必要です。
たとえば、以下のようなケースでは数値の見え方が変わります。
- 割引前の総売上を見るか、割引・返品後の純売上を見るか
- 注文日、発送日、返品日、支払い日など、どの日付を基準に集計するか
- オンラインストア、POS、SNS販売など、どの販売チャネルを含めるか
- 商品別、チャネル別、地域別、顧客セグメント別など、どのディメンションで分類するか
- キャンセル済み注文、テスト注文、返品済み注文を含めるか除外するか
レポートを確認するときは、指標、期間、フィルター、ディメンションをあわせて確認しましょう。数値だけを見るのではなく、どの条件で集計された数値なのかを把握することが大切です。
外部データとの統合にはAPIやBIツールが必要になる場合がある
ShopifyQLクエリエディタは、Shopify管理画面上でストアデータを確認するための機能です。広告媒体、基幹システム、会計データなどと組み合わせて分析したい場合は、ShopifyのAPI、CSVエクスポート、BIツールなどが必要になることがあります。
ShopifyQLは、まずShopify内のデータを見やすく整理するために使う機能です。より高度な分析を行う場合は、外部ツールとの連携も含めて検討しましょう。
まとめ
ShopifyQLを使い始める際は、最初から構文を細かく覚える必要はありません。まずは既存レポートを開き、表示されているShopifyQLを確認することから始めるとよいでしょう。必要に応じて指標、ディメンション、期間、条件を少しずつ変更し、よく使うレポートはカスタムデータ探索として保存できます。
売上や商品データだけでなく、顧客データもあわせて確認することで、日々の売上確認や施策の振り返りに活用しやすくなります。


