Shopifyが新たにリリースした機能「Rollouts(ロールアウト)」は、テーマ変更のスケジュール公開やABテストを管理画面内で完結できる機能です。これまで外部アプリに頼っていたストアの改善施策を、追加費用や複雑な設定なしに実行できる点が特徴です。
本記事では、Shopify Rolloutsの基本機能から具体的な使い方、活用シーンまでをわかりやすく解説します。ストアの改善やキャンペーン運用を効率化したい方は、ぜひ参考にしてください。
Shopify Rolloutsとは?
Shopify Rolloutsは、公開済みテーマに対する変更を一元管理できる機能です。これまではテーマ変更をテストするためにテーマを複製する必要がありましたが、Rolloutsでは公開中のテーマに直接下書きを作れます。指定日時の公開・期間限定表示・ABテストでの比較なども、一元管理のまま行えます。
管理画面の「マーケット」>「ロールアウト」からアクセス可能で、テーマエディタのメニューバーからも操作可能です。
Rolloutsを使う際の注意点
Rolloutsを使用する前に、主な制約や注意点を確認しておきましょう。
- RolloutsはBasicプラン以上で利用可能。ただし、ABテスト(トラフィックを分割して比較する機能)と結果分析はAdvancedプラン以上に限定される
- 新しいバージョンのShopify Marketsがストアで有効化されている必要がある
- カスタマイズは公開済みテーマに対してのみ作成できる
- テーマ変更を含む未終了のRolloutsがある状態では、新しいテーマを公開できない(公開するには既存のRolloutsをアーカイブする必要がある)
- Online Store 2.0以前のShopifyテーマでは利用できない
特にABテストや効果分析を目的に導入を検討している場合は、プラン条件を事前に確認しておくと安心です。
Shopify Rolloutsでできる3つのこと
Rolloutsでは、大きく分けて3つの操作が可能です。それぞれの機能を具体的に見ていきましょう。
テーマ変更のスケジュール公開
Rolloutsを使えば、テーマの変更内容を事前に準備し、指定した日時に自動で公開できます。たとえば「12月1日の午前0時にクリスマス仕様のデザインに切り替える」といった施策を、深夜に手動で対応する必要がなくなります。
季節のキャンペーンや新商品ローンチに合わせた更新を事前に準備できるため、直前の作業ミスも減らせるでしょう。
期間限定施策の自動終了
開始日だけでなく、終了日も設定できる点もRolloutsの特徴です。セールやフラッシュセールなど期間限定の施策では、終了日時を指定しておけば、自動で元のテーマに戻ります。
これにより「セール終了後に戻し忘れて、期限切れの価格表示が残ってしまう」といったトラブルを防ぐことが可能です。休日や深夜をまたぐ施策でも、担当者が手動で作業する必要がなくなるため、運用負担を大幅に軽減できます。
ABテストによる効果検証
Advanced以上のプランでは、現在のテーマと変更後のテーマを実際のトラフィックで比較するABテストも実施可能です。たとえば商品ページのレイアウトを変更した場合、訪問者の一部にだけ新デザインを表示し、購入率などへの影響を確認できます。
テスト結果はShopifyの分析機能で確認でき、成果が良かった方を正式採用する流れで運用します。データに基づいた意思決定が、追加ツールなしでできるようになったことは大きな進化といえるでしょう。
Shopify Rolloutsを使うメリット3選
Rolloutsを使用することで得られるメリットを3つ紹介します。
外部アプリが不要になる
これまでShopifyでABテストを行うには、DLPOやAB Tastyなどの外部ツール、またはShopifyアプリを導入するのが一般的でした。しかしRolloutsはShopifyに標準搭載されているため、追加のアプリ導入や月額費用は発生しません。
設定もShopify管理画面内で完結するため、スクリプトの埋め込みや初期設定に時間を取られることもなくなります。特に中小規模のストアにとっては、コスト面と導入の手軽さの両面で大きな利点となるでしょう。
ただし、Rolloutsでテストできるのはテーマエディタで対応できる変更が中心です。価格設定のテストやチェックアウトページの最適化、細かいセグメント別の検証などは、引き続き専用の外部ツールが必要になる場合があります。
ページ表示速度や見た目に悪影響が出ない
Rolloutsはサーバー側で振り分けを行うため、ページが訪問者に表示される前に、どのバージョンを見せるかが確定します。この仕組みにより、表示速度の低下や「ちらつき(一瞬だけ別のデザインが見えてしまう現象)」が発生しません。
従来の外部ABテストツールには、ブラウザ側でJavaScriptを使ってページ内容を書き換える方式のものがあり、その結果として速度低下や表示のちらつきが発生することがありました。Rolloutsはこの問題を根本から解決しており、訪問者の閲覧体験を損なわずにテストを実施できます。
マーケット別のターゲティングができる
複数のマーケットを運用しているストアでは、変更を適用するマーケットを選択できます。たとえばヨーロッパ向けにローカライズしたホームページを用意したり、北米向けだけに季節キャンペーンを実施したりといった運用が可能です。
越境ECを展開するストアにとって、地域ごとに異なる訴求を試せるのは大きな強みです。国や地域ごとの購買傾向を踏まえた最適化を、一つの管理画面から進められるようになります。
Shopify Rolloutsの使い方・設定手順
ここでは、Rolloutsの使い方を画像付きで紹介します。
Rolloutsを作成する
Rolloutsの作成は、Shopify管理画面の「マーケット」>「ロールアウト」から行います。

画像出典:Shopify
「ロールアウトを作成する」をクリックし、Rolloutsの名前を入力します。

開始日や終了日を指定する
期間限定の施策では、「展開日時(開始日)」と「終了日」をクリックして日付ピッカーから日付と時間を選択します。

「終了日」横のプルダウンで「0%にロールバックされます」を選択すれば、指定日に自動でRolloutsが終了し、元のテーマに戻ります。反対に「恒久的に適用されます」を選択すると、変更内容が継続されます。
トラフィックの割り当てを設定する
ABテストとして運用したい場合は、訪問者のうちどの程度の割合に変更内容を見せるかを調整します。デフォルトは100%に設定されており、たとえば50%にすれば訪問者の半分だけに新バージョンを表示できます。

大きい変更をする場合には、最初は10〜20%など小さな割合から始めることで、リスクを抑えつつ反応を確認できます。想定通りの結果が出ていれば徐々に割合を増やし、問題があれば早期に停止するといった柔軟な運用が可能です。
なお、このトラフィック分割によるABテスト機能はAdvancedプラン以上で利用可能です。
テーマの変更を追加する
「変更を追加」をクリックして、テーマを選択すると、テーマエディタでのカスタマイズを進められます。

変更内容はすぐに反映されるのではなく、下書きとして保存されます。
Shopify Rolloutsの活用シーン例
Rolloutsはさまざまな場面で活用できます。ここでは代表的な3つのシーンを紹介します。
セール・キャンペーン施策
ブラックフライデーや年末セールなど、開始と終了の時刻が決まっている施策では、Rolloutsのスケジュール機能が力を発揮します。開始日時を指定してキャンペーン用デザインを公開し、終了日時を設定しておけば自動で元に戻せます。
担当者が深夜や休日に手動でテーマを切り替える必要がなくなり、運用の負担が大幅に軽減されるでしょう。施策の実施頻度が多いストアほど、Rolloutsの恩恵は大きくなります。
デザイン改善の検証
「商品ページのボタン位置を変えたら購入率は上がるのか」「トップページのレイアウトを変更したら直帰率は改善するのか」といったデザイン改善の検証にも、RolloutsのABテスト機能が役立ちます。
感覚や推測ではなく、実際のデータに基づいて判断できるため、ストアの成長を着実に進められます。まずはボタンの色や配置など小さな変更からテストを始めて、徐々に大きな改善へと広げていくのがおすすめです。
地域別のプロモーション
マーケット別のターゲティング機能を使えば、地域ごとに異なるプロモーションを展開できます。たとえば「日本向けには母の日キャンペーンを、アメリカ向けには独立記念日セールを」といったように、それぞれの文化やイベントに合わせた訴求が可能です。
越境ECを運営するストアにとって、地域ごとに最適化されたストア体験を提供できるのは大きな競争力になるでしょう。各マーケットでの反応を比較しながら、より効果的な運営へと改善していけます。
Shopify Rolloutsでストア運営を効率化しよう
Shopify Rolloutsは、テーマ変更のスケジュール公開・期間限定施策の自動終了・ABテストによる効果検証を、管理画面だけで完結できる新機能です。外部アプリに頼らず、ページ速度も損なわずにストア改善を進められる点は大きな魅力といえます。
まずは、次のセールやキャンペーン施策で、スケジュール公開を試してみてはいかがでしょうか。深夜や休日の手動切り替えから解放されるでしょう。
スケジュール運用に慣れてきたら、Advancedプラン以上で利用できるABテスト機能を活用して、感覚に頼らないデータドリブンなストア改善にも挑戦してみてください。