最近、ChatGPTなどのAIに「おすすめの商品は?」「このお店は返品できる?」と質問して買い物をする人が増えています。もしAIが自分のShopifyストアについて間違った案内をしてしまうと、本来得られたはずの注文を逃してしまうかもしれません。
そこで使えるのが、Shopify公式の無料アプリ「Shopify Knowledge Base」です。この記事では、このアプリで何ができるのか、どう使うのか、注意点などをわかりやすく解説します。
※本アプリ自体はどのストアでもインストールできます。ただし、Shopify公式の発表によると、AIエージェント経由の購買機能(Agentic Storefronts)は、米国を拠点とし米国の購入者向けに販売するストアを中心に提供されています。
そのため、日本国内のみで販売しているストアにとっては実効性が限定的であり、海外販売を行うストアや、今後の展開に備えたい場合に有効なアプリだと位置づけて読み進めてください。(2026年5月時点)
ShopifyのAI対策アプリ「Shopify Knowledge Base」とは?

画像出典:Shopify Knowledge Base|Shopifyアプリストア
Shopify Knowledge Baseは、ChatGPTなどのAIに自ストアについて質問されたときに、AI側に正確な情報を提供するためのアプリです。Shopifyユーザーなら誰でも無料で利用できます。
注意したいのは、これは顧客がストアで直接見るFAQ(よくある質問)ページを作るアプリではないこと。あくまでAIが参照できる「ストア情報の元データ」を整えるツールです。送料や返品ルールなどお店の情報をもとにFAQを用意でき、お客様がAIに何を聞いているかも確認できます。
なお、用意した情報をAIが実際に参照するか、参照したうえでどう回答するかは、各AIプラットフォーム側のアルゴリズムによって決まります。このアプリの役割は「正確な情報源を整えてAI側に提供するところまで」だと理解しておきましょう。
Shopify Knowledge Baseの主な機能・できること
Shopify Knowledge Baseには複数の機能があります。ここでは特に押さえておきたい3つを紹介します。
ストア情報からFAQを自動生成
アプリをインストールすると、言語設定、カスタマーアカウントの設定、配送・お届けの設定、返品ルールといったストアの設定情報をもとに、FAQが自動で作られます。最初から一定の質問と回答が用意されるため、ゼロから手作業で作る必要はありません。ただし、内容が実態と合っているかは公開前に確認しましょう。
独自FAQの追加・編集
自動生成されたFAQに加えて、自分で質問と回答を登録できます。質問の入力欄に質問を、回答欄に1〜2文程度の短い回答を入力して保存するだけです。「AIに参照してほしい正確な情報」を自分の言葉で用意できます。
クエリログで顧客の質問と回答可否を確認・テストできる
顧客がAIに対してどんな質問をしているか、AIがその質問に答えられているかを、クエリログのセクションで確認できます。
問い合わせフォームには届かない「買う前の小さな疑問」まで把握できるのが特徴です。また、テスト用の質問を入力して、どの情報が回答に使われるかを事前に確認することもできるため、公開前に「ちゃんと答えられるか」を試せます。
Shopify Knowledge Baseを導入するメリット
Shopify Knowledge Baseを導入すると得られる、主なメリットを紹介します。
AIに誤って案内されるリスクを下げられる
AIが回答を生成するとき、正確な情報源がなければ古い情報や推測で答えてしまう可能性があります。Shopify Knowledge Baseを導入すれば、自店の正確な情報をAI側に提供でき、誤案内のリスクを下げられます。
たとえば、顧客がAIに返品について質問し、誤った答えを受け取って注文をためらえば、その売り上げは失われます。Knowledge Baseを導入していれば、こうした取りこぼしを減らせる可能性に加え、クエリログ機能で「どんな質問が来ているか」「答えられているか」も把握できるようになります。
ただし、AIがこの情報を必ず参照する保証はなく、参照しても正しく回答する保証もありません。「間違いを完全に防ぐ」ではなく「正確な情報源を用意してリスクを下げる」アプリだと理解しておきましょう。
顧客の疑問がわかり改善点が見える
顧客がAIに実際どんな質問をしているかを把握できるため、サイト改善のヒントが得られます。答えられていない質問の一覧から、どのポリシーや商品説明に情報不足があるかを特定でき、やみくもに情報を掲載するのではなく優先順位をつけて改善できます。
コストをかけずにAI時代の対策ができる
外部のAI対策ツールやコンサルティングを使う場合、月額課金やセットアップ費用が発生します。Shopify Knowledge Baseは公式提供の無料アプリで、特別な設定や開発も不要なため、まずは「AI経由の集客にどう備えるか」を試しながら考えるためのスタート地点として使えます。
Shopifyアプリ Shopify Knowledge Baseの使い方
ここではShopify Knowledge Baseの使い方を解説します。
はじめにShopifyアプリストアからアプリをインストールしましょう。インストールすると、アプリがストア管理画面の送料や返品などの設定を自動的に読み取り、FAQを生成します。ただし、ここで生成されたFAQは顧客からは見えません。
自動生成が完了すると、メイン画面が表示されます。

メイン画面下部の「Store FAQs」のセクションで、自動生成されたFAQを確認できます。「Source(出典)」欄に表示される項目が、FAQの元となった情報源です。
自分で追加したFAQは「Custom」と表示され、それ以外(Shipping、Returnsなど)はストア設定から自動生成されたものです。

クリックすると、質問と回答の内容を確認できます。

修正したい場合には、「Override(上書きする)」をクリックし、修正を加えてください。
アプリが自動で回答を用意できなかった質問は、「Top unanswered questions(未回答の主な質問)」のセクションに表示されます。

質問をマウスオーバーすると、「Answer(回答する)」が表示されますので、クリックして、回答を入力しましょう。

新たに質問と回答を追加したい場合には、メイン画面右上の「Add FAQ(FAQを追加する)」をクリックします。こちらでは質問と回答の両方を入力できます。

最後に、テスト機能でうまく回答できるかを確認してみましょう。「Query log」のメニューを選択し、入力欄に質問を入力して、「Send」をクリックします。

クエリログが一覧で表示されます。「Matched to(〜に一致)」の箇所に、設定した回答が表示されていれば問題ありません。「Unanswered(未回答)」と表示される場合には回答が設定されていません。

なお、テスト用に送信した質問には「Test」のバッジが付き、顧客の実際の質問とは区別して表示されます。
運用を始めたら時間の経過とともにアプリがクエリログを蓄積し、未回答の質問をリストアップしていきます。定期的に見直して回答を追加していきましょう。
Shopify Knowledge Baseを使用する際の注意点
Shopify Knowledge Baseは便利なアプリですが、導入前に知っておきたい注意点が2つあります。
設定画面は英語のみ
このアプリは日本語に対応しておらず、操作画面は英語のみです。Google翻訳などのブラウザ翻訳機能を使っても、操作画面の一部が翻訳されず、英語のままになる箇所があります。そのため、英語が苦手な方は英文を一つひとつ翻訳アプリで翻訳する必要があります。
自動生成された情報が不正確な場合がある
自動生成されたFAQは、必ず内容を確認してください。例えば、「対応していないはずの国への配送が可能と表示されていた」など、実態と異なる回答が自動生成される可能性があります。
インストールしたら放置せず、内容を一つずつ確認し、誤りがあれば修正することを欠かさないようにしましょう。
Shopify Knowledge Baseを活用して、AIに正確な情報源を届けよう
Shopify Knowledge Baseは、AI経由でストアを探す顧客が増える中で、AI側に正確な情報源を提供することで、誤った案内のリスクを下げられる無料アプリです。顧客に直接見せるFAQページではなく、AIが参照する情報を整えるツールである、という点だけ押さえておきましょう。
なお、AIエージェント経由の販売機能は現在、米国を拠点とし米国の購入者向けに販売するストアが中心です。海外販売を行っているストアや、今後の展開を見据えたい場合に、まずはインストールして自動生成されたFAQを確認するところから、AI時代への対策を始めてみてはいかがでしょうか。