既存顧客との関係を深め、LTV(顧客生涯価値)を高める施策として注目されるロイヤリティプログラム。「とりあえずアプリを入れてみた」で止まってしまっていませんか?
ロイヤリティプログラムでは、「実質値引きになっただけで、利益率が下がった」という失敗も起こりがちです。
本記事ではShopifyストアにロイヤリティプログラムを実装するアプリの紹介だけでなく、前段のプログラム設計の考え方にも焦点を当てて解説します。
Shopifyにおけるロイヤリティプログラムの基本
まずは、ロイヤリティプログラムの基本について押さえておきましょう。
ロイヤリティプログラムとは
ロイヤリティプログラムは、何度もショップを利用してくれる顧客に特典を提供し、ブランドへの愛着やリピート購入を促す仕組みです。
目的は単なる割引ではなく、LTV(顧客生涯価値:1人の顧客が取引期間を通じてもたらす総利益)を高めることにあります。新規顧客の獲得コストが上昇しているなか、既存顧客との関係を深めることが売上の安定化につながるため、EC運営において重要度が増している施策です。
代表的な4つの施策タイプ
ロイヤリティプログラムにはいくつかの種類があり、組み合わせて運用することも一般的です。
ポイントプログラム
購入金額や特定の行動に応じてポイントを付与し、次回以降の購入に利用してもらう仕組みです。日本では「1ポイント=1円」として使える形式が広く浸透しています。
会員ランク
年間購入額や購入回数に応じて会員ランクを設定。上位ランクほど優遇される仕組みです。ランクアップを目標に購入が促進される心理効果が期待できます。
リファラルプログラム(友人紹介)
既存顧客が友人を紹介すると、紹介者・被紹介者の双方に特典が付与される仕組みです。新規顧客獲得コストを抑えつつ、信頼性の高い流入を生み出せます。
体験特典
限定イベントへの招待や新商品の先行販売など「お金では買えない体験」をリワードにする形式です。原価を抑えながらブランドのファン化につながりやすい点が特徴です。
ロイヤリティプログラムのメリット
ロイヤリティプログラムを導入すると、売上とブランド価値の両面でメリットが得られます。代表的な3つのメリットを紹介します。
リピート率の向上によるLTVアップが見込める
ポイントや会員ランクで「再訪する理由」を作れるため、一度購入した顧客の再来訪率向上が期待できます。新規獲得コストが年々上昇しているなか、既存顧客のLTV(顧客生涯価値)を伸ばすことは、売上の安定化にもつながります。
新規顧客の獲得コストを抑えられる
リファラルプログラムを組み合わせれば、既存顧客が友人を紹介してくれる流れが生まれます。広告経由の獲得に比べて信頼性の高い新規顧客が増えるうえ、獲得コストも抑えられるため、費用対効果の改善につながります。
顧客データが蓄積され施策精度が上がる
会員登録や購入履歴、ポイント利用のデータが自社に蓄積されていきます。どのセグメントが利益貢献しているかが可視化されるため、商品開発や販促施策の精度を高める土台にもなります。
Shopifyにデフォルトのロイヤリティ機能はない
Shopifyにはロイヤリティプログラムを構築するための機能が標準で搭載されていません。ポイント付与や会員ランク、リファラルといった仕組みを実装するには、いずれもShopifyアプリの導入がほぼ必須となります。
一見不便に感じる一方で、ストアごとに自社に最適化されたプログラムを構築できる点がShopifyの強みでもあります。
ロイヤリティプログラムが自社ストアに必要かの判断ポイント
ロイヤリティプログラムは万能の施策ではなく、ストアの状況によっては導入効果が出にくいこともあります。アプリを選ぶ前に、そもそも自社に必要かどうかを見極めましょう。
導入効果が出やすいストア
ロイヤリティプログラムが有効に働きやすいのは、リピート購入の余地があり、かつ粗利率に余裕のあるストアです。具体的には、化粧品・食品・アパレル・日用品といった消耗品や定期購入されやすい商材を扱っているケースが該当します。
また、顧客単価がある程度高く、購入頻度も一定程度あるストアでは、ポイント還元や会員ランクによる動機づけが購入行動につながりやすくなるでしょう。既存顧客の購入データが十分に蓄積されており、リピート顧客の離脱を防ぎたいフェーズのストアにも適しています。
導入を急がないほうがよいストア
反対に、導入を急がないほうがよい場合もあります。代表的なのが、単発購入されやすい高単価商材(家具・家電など)を扱うストアです。数年に一度しか購入されない商品ではポイントが貯まる前に顧客接点が途切れてしまい、効果を発揮しにくくなります。
新規顧客の獲得がまだ十分でないフェーズのストアも注意が必要です。そもそもの母数が少ない段階でリピート施策に投資しても、費用対効果が見合わないことが多いためです。また、粗利率が低い商材の場合、ポイント還元分がそのまま利益圧迫につながるリスクがあります。
ロイヤリティプログラムの設計ポイント
ロイヤリティプログラムで陥りがちな失敗は、「実質値引き」で終わってしまい、ブランドへの愛着が育たないケースです。
このような失敗を避けるために、設計段階で押さえておきたい3つのポイントを紹介します。
ポイント原資を利益構造に組み込む
ポイント還元率は感覚で決めず、商品ごとの粗利率から逆算し、無理なく継続できる水準に設定しましょう。粗利の高い商品にだけ高還元率を適用する方法や、キャンペーン期間に限定して還元率を上げる方法も有効です。
ポイントに有効期限を設ければ、将来の支払いに備える引当金の管理もしやすくなります。
体験価値型のリワードを組み合わせる
ポイント還元に偏らず、体験価値型のリワードを組み合わせると「値引き以外の魅力」を提供できます。新商品の先行購入権や会員限定イベントへの招待、ブランドストーリーを伝える限定コンテンツなどが代表例です。
体験型リワードは原価を抑えつつ顧客の満足度を高めやすく、ブランドの世界観に合った体験を用意することで他社との差別化にもつながります。
会員ランクで顧客行動を誘導する
会員ランク制度は、顧客の購入行動を中長期的に誘導する仕組みです。「あと5,000円でゴールドランク」といった目標が見えると、客単価アップにつながります。
設計のポイントは、到達しやすい下位ランクと努力しないと届かない上位ランクのバランスです。顧客の平均購入データをもとに、ランクアップの達成感と希少性が両立する水準を設定しましょう。
Shopifyでロイヤリティプログラムを実現するアプリ3選
Shopifyのアプリストアには数多くのロイヤリティアプリが揃っています。ここでは特徴の異なる3つのアプリを紹介します。
※全て日本語に対応しています。 ※本記載は2026年4月時点の情報を元にしています。
easyPoints ‑ ポイントアプリ

画像出典:easyPoints ‑ ポイントアプリ|Shopifyアプリストア
easyPointsは国産のポイントアプリで、会員登録やレビュー投稿、ログインに対する特典付与、会員ランクと組み合わせたポイント付与などができます。
Shopify POSやスマレジPOSと連携でき、実店舗とのポイント共通化も実現可能です。拡張性も高く、自社独自のポイントルールを組みたい場合に有力な選択肢となるでしょう。
| プラン名 | フリー | ベーシック | プロ |
|---|---|---|---|
| 月額料金 | 無料 | 50ドル | 180ドル |
| 追加料金 | 301人目から0.3ドル/人 | 501人目から0.22ドル/人 | 2,001人目から0.18ドル/人 |
| アクティブ顧客数上限 | 300人 | 500人 | 2,000人 |
| 主な機能 | CSVインポート Klaviyo連携 |
フリープランの全ての機能 誕生日特典 会員登録・ログイン特典 メール配信登録特典 ポイント有効期限 など |
ベーシックプランの全ての機能 会員ランク 獲得ポイント履歴 CSVエクスポート など |
下記のブログ記事では、easyPointsの特徴や料金プラン、セットアップ方法を詳しく紹介しています。ご参考にしてください。
TrustWILL ポイント・顧客リワード・会員ロイヤルティ

画像出典:TrustWILL ポイント・顧客リワード・会員ロイヤルティ|Shopifyアプリストア
TrustWILLは、ポイント還元、友達紹介、VIPランク、限定特典などを手軽に導入できるロイヤリティアプリです。
多言語対応が可能で、Shopify POSやKlaviyoなど主要ツールとの連携にも対応。無料プランが提供されているため、小〜中規模ストアが初めてロイヤリティプログラムを導入する際の入口として適しています。
このアプリには14日間の無料体験期間があります。
| プラン名 | Free | Starter | Growth | Plus |
|---|---|---|---|---|
| 月額料金 | 無料 | 19ドル | 69ドル | 499ドル |
| 月間注文数 | 25件 | 200件 以降注文100件追加ごとに20ドル |
500件 以降注文100件追加ごとに15ドル |
5,000件 以降注文100件追加ごとに10ドル |
| 主な機能 | ポイントプログラム 紹介プログラム 期間限定オファー など |
Freeの全ての機能 レビュー特典 商品 & 送料特典 多言語対応 など |
Starterの全ての機能 VIPプログラム ロイヤリティページ ポイント有効期限 など |
Growthの全ての機能 チェックアウト拡張 カスタムアクション特典 カスタマーサクセスサービス など |
VIP ‑ 会員プログラム

画像出典:VIP ‑ 会員プログラム|Shopifyアプリストア
VIPは日本の企業が提供するロイヤリティアプリで、オンラインストア・実店舗・モバイルアプリを横断したポイントの一元管理ができます。
ポイント、会員ランク、友達紹介、会員限定価格など主要機能を網羅しており、レビューアプリやe-giftアプリとの組み合わせも可能。
中〜大規模ストア向けですが、実店舗を持つブランドで本格的にオムニチャネル展開したい場合の有力候補となるでしょう。
| プラン名 | ベーシック | エンタープライズ |
|---|---|---|
| 年額料金 | 3,600ドル | 24,000ドル |
| 主な機能 | VIPのすべての機能が利用可能 | VIPのすべての機能が利用可能 |
| サポート | チャット・メールによるサポート | チャット・メールによるサポート オンラインによるサポート |
※年間契約のみです。 ※前年度の売上や提供サービスに応じて従量課金が発生する場合があります。
下記のブログ記事では、VIPの特徴やおすすめ機能、セットアップ方法を詳しく紹介しています。ご参考にしてください。
上級者向けのロイヤリティプログラム設計
基本的なプログラムが軌道に乗ったら、さらに一歩踏み込んだ設計を検討しましょう。単独のアプリ機能に閉じず、他システムと連携させることで効果を最大化できます。
オムニチャネル対応で実店舗とECのポイントを統合する
実店舗とECの両方を運営している場合、ポイントがチャネルごとに分断されていると顧客体験を損ない、購入機会の損失につながります。
Shopify POSと連携できるロイヤリティアプリを導入すれば、オンラインと実店舗でポイント残高や会員ランクの一元管理が可能。チャネルをまたいだ顧客行動を把握できるため、施策の精度向上にも役立ちます。
CRM・MAツール連携でコミュニケーションを最適化する
ロイヤリティプログラムは「付与するだけ」では効果が限定的で、適切なタイミングでのコミュニケーションがあってこそ機能します。そこで役立つのがCRM(顧客関係管理ツール)やMA(マーケティングオートメーション)ツールとの連携です。
ポイント有効期限が近い会員へのリマインドや、ランクアップ目前の顧客への後押しクーポン配信など、一人ひとりに合わせた施策が可能になります。
顧客データ基盤として活用する
ロイヤリティプログラムは販促ツールであると同時に、顧客データを蓄積する基盤でもあります。会員属性や購入履歴、ポイント利用データはマーケティング戦略を練る貴重な資産です。
「どの商品カテゴリーのリピート率が高いか」「どのランクが最も利益貢献しているか」といった分析をすることで、新商品開発や広告配信の最適化にも活用でき、プログラム単体を超えた価値を生み出せるでしょう。
まとめ
Shopifyでロイヤリティプログラムを導入する際に最初にすべきなのは、「そもそも自社に必要か」と「どう設計するか」を考えることです。必要性の判断を飛ばしてアプリを導入すると、実質値引きに終わり利益率を削るだけの結果になりかねません。
本記事で紹介した判断ポイントと設計の考え方を参考に、まずは自社に最適なプログラムを設計してみてください。

