Shopifyは、通常の商品販売のECだけでなく、イベント・セミナー・ワークショップ・体験サービスなどのチケット販売にも活用されています。
商品管理・決済・顧客管理を一元化できるため、すでにShopifyを利用しているストアにとっては、既存の仕組みを活かした追加施策としてチケット販売を検討しやすい点が特徴です。
一方で、チケット販売は通常の商品販売とは異なり、在庫=参加権利という考え方や、日程管理・キャンセル対応など、事前に整理しておくべき注意点も多くあります。
本記事では、Shopifyでチケット販売を行う仕組みや代表的な方法を整理しつつ、イベント・体験販売ならではの設計ポイントや注意点をわかりやすく解説します。
Shopifyでチケット販売を行うときに検討すべきポイント
Shopifyを活用したチケット販売は、以下のようなシーンで利用されています。
- セミナー・勉強会
- ワークショップ・体験イベント
- オンラインイベント
- 予約制レッスン・相談会
商品販売と同じ管理画面で顧客情報・売上・決済を一元管理できる点も、Shopifyを活用するメリットの一つです。ただし、チケット販売は「在庫=参加権利」「配送が発生しない」「キャンセルや返金が起こりやすい」といった特徴があり、通常の商品販売とは異なる設計・運用が求められます。
購入後のトラブルや運営負荷の増大を防ぐためにも、まずは基本的な考え方を押さえておくことが重要です。
商品設計の考え方
チケットは基本的に「商品」として登録・販売します。この際に重要になるのが、どこまでの情報を商品情報として持たせるかという設計です。
たとえば、以下のような検討ポイントがあります。
- 開催日・時間が1パターンのみの場合は単一商品で登録
- 日程や席種、価格が複数ある場合はバリエーションで管理
- イベントごとに内容が異なる場合は商品をわけて管理
商品名や説明文には、開催日時、会場、参加条件、注意事項、キャンセルポリシーなどを明確に記載しておくことで、購入者との認識違いを防ぎやすくなります。
在庫管理・日程管理・キャンセル対応
チケットは在庫というより、参加枠そのものとして管理する必要があります。Shopifyの標準在庫管理機能を使えば、販売上限の設定や売り切れ制御を行うことは可能ですが、運用面ではいくつか注意しておきたい点があります。
- 日程変更や振替対応は手動作業になりやすい
チケット購入後にユーザー都合で日程変更が発生した場合や、天候・設備トラブルなどの理由でイベント自体が開催できなくなった場合は、振替日の案内や注文内容の修正を手動で行う必要があります。
- キャンセル・返金対応はストア側でルールを設ける必要がある
通常の商品であれば、商品を返送してもらったうえで返金処理を行いますが、イベントの場合は同じ対応ができません。そのため、「参加日程の変更は◯日前まで」「直前のキャンセルは返金不可」など、あらかじめ返金・キャンセルのルールを定め、購入前にわかる形で明示しておくことが重要です。
開催日が複数あるイベントや、予約制サービスの場合は、標準機能のみでの運用が煩雑になる可能性があるため、アプリ利用も含めた検討が現実的です。
利用規約と決済条件
チケット販売を行う場合、Shopifyの利用規約だけでなく、決済サービスごとの条件も事前に確認しておく必要があります。
特に注意したいポイントは以下です。
- チケットや予約は無形商品として扱われる
- 決済サービス、カード会社により無形商材は返金規定が異なるケースがある
例えばPayPalには、デジタルグッズのマイクロペイメント(少額決済)において、買い手が行動しなくても取引が自動的に取り消される場合があるという、有形商材にはない独自の規則があります。条件によっては、売り手側が不利になるケースもあるため、あらかじめ「無形商品は返金不可」など、商品ページや利用規約ページにキャンセル・返金条件を明記しておくなど、返金条件やキャンセル期限を明確に定めたうえで、購入前にわかる形で明示しておくことが重要です。
Shopifyでチケット販売を行う主な選択肢
Shopifyでチケット販売を行う方法は「Shopifyの標準機能のみで対応する方法」と「専用アプリを利用する方法」の2つがあります。
イベント規模や運営体制に応じて、適した方法を選択することが重要です。方法選びで迷った場合は、「イベントの規模」ではなく「どこまで手動対応を許容できるか」を基準にすると判断しやすくなります。
イベントによってはShopifyだけではなく、外部イベントツールの利用も視野に入れて検討する必要があります。
以下では、イベントの種類ごとに、どの運用方法が現実的かを整理しています。
| イベントの種類 | 主な特徴 | おすすめの運用方法 | 向いている理由 | 注意点 |
|---|---|---|---|---|
| 単発・少人数イベント | 開催日1日/参加人数が少ない | Shopify標準機能(アプリなし) | 設定がシンプルで初期コストがかからない | 日程変更や受付管理は手動対応 |
| 定期開催イベント | 月1回など複数日程あり | Shopifyチケット販売アプリ | 日程別・在庫管理を一元化できる | イベント数が増えると設定項目が多くなる |
| 予約制サービス・体験型 | 日時選択・枠制 | 予約管理アプリ | カレンダー形式で予約受付が可能 | 標準機能では運用が難しい |
| 大規模イベント | 参加者多数/外部集客あり | Eventbriteなどの外部イベント管理ツール | 受付・参加者管理を外部に任せられる | Shopify単体では完結しない可能性がある |
Shopifyの標準機能のみで対応する
アプリを使わずにShopifyの標準機能のみを使い、チケットを商品として登録・販売する方法です。ただし日程管理や当日の受付は標準機能だけではカバーできず、運営作業を手動で対応できる体制が前提となります。
メリット:
- 初期費用や月額コストを抑えやすい
- 設定が比較的シンプル
- 小規模・単発イベント向け
デメリット:
- 日程管理や電子チケット発行、受付管理などは自動化できない
- チケット管理、当日の受付方法など検討するポイントが多い
専用アプリを利用する
イベントや予約販売を前提とする場合は、チケット販売・予約管理に特化したShopifyアプリを利用する選択肢があります。イベント回数が多い場合や、運営工数を減らしたいストアでは導入を検討しやすい方法です。
メリット
- アプリ内で日付・時間ごとの在庫管理が可能
- 電子チケットや予約確認メールの自動送信
- 受付・チェックイン管理も機能提供している場合、当日の受付管理コストの軽減
デメリット
- アプリにより提供機能(スケジュール管理、チケットQRコード発行など)が異なるため、活用シーンに合わせたアプリ選択が必要
- アプリの利用コストが発生する
アプリを使わずにShopifyでチケットを販売する実施方法
Shopify標準機能のみでチケットを販売する場合、基本的な流れは次のとおりです。
販売準備
(1)チケット用の商品を新規作成
(2)商品説明欄にイベント詳細・注意事項を記載
(3)在庫数に参加可能人数を設定

Shopify 商品詳細ページ:説明欄

Shopify 商品詳細ページ:カテゴリー
(4)配送設定を不要にする(デジタル商品扱い)

Shopify 商品詳細ページ:配送
(5)注文確認メールで参加方法を案内
参加者管理
(1)注文一覧から参加者リストを作成
(2)顧客情報(名前、メール、電話番号)を確認
(3)必要に応じてリマインダーメールを手動送信
当日の受付
- 注文番号でイベント参加者を確認
- または事前に注文一覧から参加者名簿を作成し、参加者を照合
開催日が1日で、参加者管理を手動で行える規模であれば、十分に運用可能なケースがあります。当日キャンセルなどの返金が発生する場合は、事前に商品ページや注文メールにキャンセル時の返金規定を記載しましょう。
Shopifyのチケット販売アプリを使った実施方法
アプリを利用することで当日の受付をチケットで管理することや、参加状況をアプリで一元管理することもできます。イベント参加のチケットや、ワークショップの日程調整に利用できるアプリを紹介します。
チケット&予約管理.amp

チケット&予約管理.amp は、日本語表示に対応しており、国内向けイベントでも導入しやすいチケット・予約管理アプリです。日程別・時間別の在庫管理や予約確認メールの自動送信などが可能です。
Evey Events & Tickets

Evey Events & Ticketsは、QRコード付き電子チケットやチェックイン管理に対応したアプリです。Klaviyo、MailChimpなどのCRMアプリと連携ができ、座席指定、階層別価格、複数日イベント、バーチャルイベントなど、さまざまなチケット形式に対応しています。アプリは日本語対応しておらず、英語ベースでの運用が前提となる点には注意が必要です。
Easy Appointment Booking

Easy Appointment Bookingは、予約制サービス向けに設計されたアプリです。カレンダー形式での予約受付や枠数管理が可能なため、レッスンや相談会などのサービス型チケットに適しています。
GM Event Ticketing

Event Ticketingは、Shopifyの商品機能をベースに、イベント向けのチケット販売と参加者管理をシンプルに実現できるアプリです。イベントを作成すると自動で商品を作成することができ、参加チケットを商品として掲載できます。チケットのデザインを柔軟にカスタマイズ可能です。
イベント当日はQRコードを使ったチェックインが可能なため、紙チケットの配布や名簿管理を省略しやすくなります。チケット販売〜当日の受付がスムーズに進行できるアプリです。
Shopifyでチケット販売を検討するポイント
Shopifyを使ったチケット販売は、既存のストア運営と同じ管理画面で進められるため、イベントや体験サービスを比較的スムーズに販売できる点が特徴です。一方で、在庫の考え方や日程管理、キャンセル・返金対応など、物理商品とは異なる前提で考える必要があります。
特にチケットや予約といった無形商材では、決済サービスごとの利用条件や返金規定が、実際の運用に影響する場面も少なくありません。
そのため、イベントの規模や開催頻度、どこまで手動で対応できるかといった点を踏まえながら、販売方法やツールを選んでいくことが重要です。