EC事業者にとって、父の日は母の日に続くギフト商戦の大きなチャンス。しかし、母の日のカーネーションのような「定番ギフト」がないぶん、「何をどう打ち出せばいいかわからない」と悩む担当者も多いのではないでしょうか。
本記事では、最新の調査データに基づく父の日ギフト市場の動向や、母の日との違い、キャンペーン施策の種類、具体的な事例、実施時の注意点を整理します。
父の日ギフト市場の最新動向
まずは、近年の父の日ギフト市場がどのように変化しているかを確認しましょう。
お酒・食品が二大定番、広がる選択肢
父の日ギフトといえば「お酒」のイメージが強いかもしれませんが、近年はギフトの選択肢が広がりつつあります。
父の日ギフト情報サイト「父の日.jp」が2025年3月に公開した意識調査では、父の日に贈りたいギフトとして最も多かったのは「お酒・ビール」(28.6%)、次いで「食品・グルメ」(27.0%)でした。この2カテゴリだけで全体の半数以上を占めています。
3位以降は「健康・生活雑貨」(10.4%)、「スイーツ」(7.4%)、「ファッション・アクセサリー」(7.2%)と続いています。

出典:【2025年版】今年の父の日に贈りたいものは何ですか?(父の日に関するアンケート調査)|父の日.jp
お酒・ビールが依然としてトップではあるものの、食品・グルメとの差はわずか1.6ポイント。さらに健康グッズやファッション系にも一定の支持があり、幅広い商材にチャンスがある市場と言えるでしょう。
母の日より遅い検討時期と「直前購入」の多さ
父の日ギフトの購入タイミングにも注目すべき特徴があります。
同サイトが2025年の父の日後に実施した調査では、ギフトの購入時期として最も多かったのは「1週間前」(21.1%)で、「当日」(17.7%)、「直前の数日前」(17.0%)と続きました。
父の日直前の1週間以内に購入する層が半数以上を占めており、母の日と比べて「後回しにされやすいイベント」であることがうかがえます。

出典:【2025年度 父の日後】プレゼントを贈った方・もらった方へのアンケート調査|父の日.jp
一方で、「2週間前」(16.3%)や「3週間前」(16.5%)に購入する計画的な層も一定数存在します。EC利用者が配送トラブルを避けて早めに手配するケースや、早割キャンペーンに反応する層がいると考えられます。
LINEヤフーが公開した2024年のYahoo!検索データでも、「父の日 プレゼント」の検索は母の日と同様に当日がピークとなっています。詳細は出典元をご参照ください。
出典:母の日・父の日商戦に向けて!検索データから読み解くユーザー動向|LINEヤフー for Business
ソーシャルギフト(eギフト)への関心拡大
LINEギフトなどのソーシャルギフトへの関心も高まっています。
父の日.jpの2025年調査では、ソーシャルギフトを「利用してみたい」と回答した人が48.0%と約半数にのぼりました。実際に「贈ったことがある」人も22.0%と、前年から着実に増加しています。

出典:【2025年版】これまでに、ソーシャルギフト(eギフト)を贈ったこと・もらったことはありますか?|父の日.jp
特に父の日は直前購入が多く、その日にプレゼントできる(商品の受け取りは後日)ソーシャルギフトは「駆け込み需要の受け皿」として機能しやすいサービスです。EC事業者としても、こうした新しい購入チャネルへの対応を視野に入れておくと良いでしょう。
母の日キャンペーンとの違い
父の日キャンペーンを企画する際は、母の日との違いを理解しておくことが重要です。同じ「感謝を伝えるイベント」でも、消費者の行動パターンにはいくつかの違いがあります。
「定番がない」からこそ提案力が問われる
母の日はカーネーションをはじめとする花ギフトが定番として確立されています。一方、父の日はこれといった「ど定番」がなく、お酒・食品・ファッション・健康グッズなど選択肢が分散する傾向があります。
父の日.jpの調査でも、ギフト選びに何らかの悩みを抱えている人は約7割にのぼり、最も多い悩みは「気に入ってもらえるかわからない」(22.7%)でした。

出典:【2025年度】父の日に関するアンケート調査|父の日.jp
裏を返せば、「迷っている消費者に対して具体的なギフト提案ができるEC」は選ばれやすくなります。ペルソナ(ターゲット像)別の提案、例えば「お酒好きのお父さんには」「健康志向のお父さんには」などを打ち出すことが差別化のポイントになるでしょう。
検討開始が遅く、準備スケジュールも後ろ倒しに
母の日はゴールデンウィーク前後にギフト検討のピークを迎えます。一方、父の日は6月第3日曜日と時期が遅いうえ、前述のとおり購入タイミングも直前に集中しやすい傾向があります。
キャンペーンの本格展開は5月下旬〜6月上旬が目安になりますが、母の日キャンペーンの終了直後からシームレスに切り替えられるよう、準備は5月中に進めておくのが理想的です。
父の日に活用できるキャンペーン施策
父の日のキャンペーン手法はいくつかのパターンに分けられます。それぞれの特徴を把握し、自社の商材やターゲットに合った施策を選びましょう。
割引・クーポン型キャンペーン
期間限定のクーポンや割引施策は、導入しやすいキャンペーンの定番です。父の日は直前購入が多いため、序盤は「早割」で計画的な層を取り込み、直前はポイントアップや送料無料に切り替える二段構えが効果的でしょう。
限定商品・ギフトセット型キャンペーン
父の日はギフト選びに悩む人が約7割いるため、「迷ったらコレ」と提案できる限定セットは相性抜群です。「お酒とおつまみ」のように複数商品を組み合わせることで、単価アップとギフト選びの簡便化を両立できます。
SNS参加型キャンペーン
フォロー&リポストやハッシュタグ投稿形式のキャンペーンは、認知拡大とフォロワー獲得を同時に狙える手法です。ECサイトへの導線を設計しておけば、話題づくりから購入促進まで一連の流れで実現しやすくなります。
インスタントウィン(その場で当落がわかる形式)なら、参加者数をさらに伸ばしやすいでしょう。
ソーシャルギフトを活用したキャンペーン
LINEギフトなどのソーシャルギフトは、住所不要で即日届けられるため、直前購入が多い父の日では駆け込み層の受け皿として特に有効です。自社ECに加えてソーシャルギフト経由の販売チャネルを持つことで、購入のハードルを下げやすくなります。
父の日キャンペーンの事例から学ぶ施策のヒント
ここでは、実際に行われた父の日キャンペーンの事例を3つ紹介します。
SNS×写真投稿でUGCを生み出した事例
ヤッホーブルーイングでは、過去の施策で父の日にXとInstagramでハッシュタグ「#よなよな父の日」を使ったフォトコンテストを実施。自社のクラフトビールを「贈った・もらった」シーンの写真を投稿してもらう参加型の設計で、賞品はクラフトビール飲み比べセットとオリジナルグラスでした。
単なるフォロー&リポスト形式ではなく、ユーザー自身が写真を撮影・投稿するUGC(ユーザー生成コンテンツ)型のキャンペーンにすることで、商品の利用シーンが可視化され、共感を通じた認知拡大につなげています。

参考:よなよなエール Xポスト
早割×クーポンの段階設計で早期購入を促した事例(大五うなぎ工房)

画像出典:大五うなぎ工房
大五うなぎ工房では、父の日ギフト特集ページで段階的な早割キャンペーンを展開しています。
超早割期間は最大15%OFF、さらに2セット購入で使える5%OFFクーポンも配布。その後も時期に応じて割引率を段階的に引き下げる設計で、「早く買うほどお得」な仕組みをつくっています。
うなぎは父の日ギフトの人気カテゴリのひとつ。同店では父の日限定の風呂敷包みやメッセージカードにも対応しており、割引で購買を後押ししつつ、ギフトとしての特別感も両立させています。
下記のブログ記事ではShopifyで早期割引(期間限定セール)を実施する方法を紹介しています。早期割引施策の実施を検討している方はご参考にしてください。
食品系ECで早割施策を検討する際に参考になる事例です。
限定セット×メッセージカードで父の日ギフトを演出した事例

画像出典:KAWABA ONLINE STORE
KAWABA ONLINE STOREでは、2025年の父の日に向けて、限定おつまみ乾杯セットやチーズギフトセットなど、父の日向け商品を展開しています。全品ポイント3倍に加え、備考欄にメッセージを記入すると父の日デザインのメッセージカードを同封してもらえるサービスも。
ギフトとしての特別感を出しつつ、ポイント施策で購買を後押しするシンプルな構成は、小〜中規模のEC事業者にも取り入れやすいでしょう。
父の日キャンペーンを実施するときの注意点
父の日キャンペーンを成功させるには、事前の設計が欠かせません。ここでは、実施時に意識しておきたい注意点を3つ解説します。
母の日終了後すぐに動き出す
母の日(5月第2日曜日)と父の日(6月第3日曜日)の間隔はおよそ5〜6週間。母の日の振り返りをしているうちに準備期間が短くなるケースは珍しくありません。
理想的には、母の日の企画段階で父の日の施策も同時に設計しておくことです。バナーやメルマガ素材なども含めてタスクを事前にリスト化しておくと、スムーズに切り替えられます。
「父の日がいつか」をわかりやすく伝える
LINEヤフーの検索データでは、「父の日 いつ」に関する検索が母の日以上に多い傾向があります。商品ページやバナーで「2026年の父の日は6月21日(日)」と明示するだけで、配送日の逆算がしやすくなり、購入意欲の後押しにつながるでしょう。
梅雨時期の配送リスクに備える
父の日は6月中旬〜下旬で、梅雨と重なる地域が多くあります。最終注文日や到着目安日を商品ページやカート画面で明示し、天候による遅延リスクも事前にアナウンスしておきましょう。
当日に届かない可能性がある場合は、ソーシャルギフトへの誘導を用意しておくのも一つの方法です。
自社ならではの父の日キャンペーンを打ち出そう
父の日は「定番がない」からこそ、提案の工夫次第で幅広い商材にチャンスがあります。ギフト選びに迷う消費者が多い市場だからこそ、ペルソナ別の提案や限定セットで「迷い」を解消し、直前購入層にはソーシャルギフトなどの受け皿を用意しておくことが大切です。
まずは自社の商材やターゲットに合った施策をひとつ選び、今年の父の日から取り組んでみてください。
