Shopifyストアを公開する前には、デザインや商品情報だけでなく、決済・配送設定、法的表記、モバイル表示など、多岐にわたる確認が必要になります。一見問題なさそうに見えても、公開後に設定漏れが発覚し、機会損失やユーザー離脱につながるケースは少なくありません。
そうしたリスクを抑えるために有効なアプリがShopify Launch Checkです。
AIを活用してストア全体を自動でスキャンし、公開前に確認すべきポイントを整理して提示してくれるため、最終チェックの精度を高めることができます。
本記事では、Shopify Launch Checkの概要と使い方を整理したうえで、公式の公開前チェックリストと併用する具体的な活用方法を解説します。
Shopify Launch Checkの概要
Shopify Launch Checkは、ストア公開前の状態をAIが分析し、設定漏れや改善余地のあるポイントを自動的に洗い出してくれるツールです。公開直前にありがちな「確認したつもりだったが抜けていた」というリスクを減らすチェック機能として活用できます。
特に、Shopifyの操作にまだ慣れていない場合や、複数人で構築を進めているストアでは、最終確認の品質を一定に保つための補助ツールとして有効です。
主なメリットは以下の通りです。
- チェック漏れを大幅に削減
- 公開時のトラブルを未然に防止
- 運営経験が浅い担当者でも適切な初期設定が可能
- AI解析により従来のチェックリストでは気づきにくい改善点も検出できる
ストアの初期構築時だけでなく、大幅なリニューアルやテーマ変更時にも活用できます。
Shopify Launch Checkで実行されるAI分析の項目を整理
アプリが分析する主なチェックポイントは次の通りです。
- 商品データ最適化(画像、価格、在庫、バリエーション)
- テーマ設定(ヘッダー、フッター、リンク切れ、ナビゲーション)
- UX改善(モバイルレイアウト、アクセシビリティ)
- SEO設定(メタ情報、ALTタグ)
- パフォーマンス(ページ速度、ファイル圧縮)
- セキュリティ(HTTPS、認証)
- アプリ連携の不備
チェック結果には、問題点だけでなく「なぜ修正が必要なのか」「どこを直せばよいか」まで示されるため、実務対応に落とし込みやすくなっています。
Shopify Launch Check Appの利用タイミング
利用タイミングとして最も有効なのは、ストア公開前の最終チェック段階です。ただし、テーマを大きく変更したタイミングや、アプリを追加した後、商品を大量登録した直後などにも実行しておくと、予期せぬ設定ミスを早期に発見できます。ストアリニューアル前後にも実行して確認するのがおすすめです。
Shopify Launch Check の使用方法
ここからは、実際にShopify Launch Checkを使ってチェックを行うまでの流れを、ステップごとに解説します。操作自体はシンプルなので、初めて利用する場合でも迷うことはほとんどありません。
1. Shopify Launch Check をインストール
Shopify App Storeで「Launch Check」を検索しストアに追加します。

画像出典:「Shopify Launch Check」|Shopifyアプリストア
2. Shopify Launch Check を実行
Launch Checkを起動し、分析を開始すると、数十秒から数分程度でチェックが完了します。ストアの規模や商品数によって所要時間は多少前後しますが、基本的には長くありません。

Shopify管理画面:Shopify Launch Check ホーム画面

Shopify管理画面:Shopify Launch Check 実行するチェックを選択
数十秒〜数分で完了し、分析結果がカテゴリ別に表示されます。結果には以下が含まれます。
- 各項目のチェック判定結果
- 該当箇所のスクリーンショットやURL
- 推奨改善内容
優先度順に改善できるため、ストア運営が初めての方でも対応しやすい設計です。
チェック判定結果は4つのステータスで表示されます。基本的には「Not ready(未準備)」のステータス項目を順番に修正していくと、公開前に必要なチェックは完了します。
- Ready(準備完了)…基本的な必須要件を満たしています。公開前に最終確認として、検出結果を一通り確認してください。
- Not ready(未準備)…一部の問題が公開に影響する可能性があります。指摘内容を確認し、必要な修正を行ったうえで「準備完了」にしてください。
- Confirm set up(設定内容を確認)…技術的には問題ありません。この設定がビジネス要件として正しい場合は、「準備完了」としてマークしてください。
- Check manually(手動で確認)…この項目は自動では確認できません。ガイド内容を確認し、対応が完了したらステータスを更新してください。

Shopify管理画面:Shopify Launch Check チェック結果
チェック項目をクリックすると、「View detail(詳細ページ)」も確認できます。

Shopify管理画面:Shopify Launch Check 項目一覧
詳細ページでは修正項目の解説や、どこを改善すればクリアできるのかを案内しています。

3. Shopify Launch Check のチェック項目を改善
結果に基づきテーマ設定や商品データを修正します。
改善例:
- ALTタグの設定
- 在庫設定不足の解消
- モバイルUIの調整
- リンク切れの修正
- 決済設定の最終確認
修正後は、再度Launch Checkを実行し、指摘が解消されているかを確認することで、公開前の修正漏れを防ぐことが可能です。
Shopify Launch Check の活用方法
Launch Checkは単体でも便利ですが、公式チェックリストや外部ツールと組み合わせることで、より精度の高い公開前チェックが可能になります。
利用する順番:
- 公式が公開している各チェックリストに沿ってストアを設定
- 公開前の最終的な対応漏れをShopify Launch Checkで確認
あくまで Shopify Launch Check は設定の確認のため、判断や改善を自動で行うものではありません。ストアを公開するまでにどんなことをする必要があるかは公式チェックリストを確認することをおすすめします。
ここでは、公式のチェックリストと合わせて、確認漏れが発生しやすいポイントもセットで紹介します。
公式ドキュメント「新しくShopifyストアを始めるための一般的なチェックリスト」を確認する
「新しくShopifyストアを始めるための一般的なチェックリスト」は初めてShopifyでストアを構築するときに役立つリストです。上から順番にチェックリストを埋めていくと、スムーズに公開作業を進めることができます。
さらに、Launch Checkの結果を照らし合わせることで、重要項目の抜け漏れを防げます。
確認項目例:
- 決済方法
- 配送・送料設定
- 税金設定
- メール通知テンプレート
- 特商法・ポリシーページ
公式ドキュメント「Shopifyストアの開店準備をする」で決済方法をチェックする
Shopifyストアを公開する前に、必ず確認しておきたいのが決済方法の設定です。公式ドキュメント「Shopifyストアの開店準備をする」では、ストア公開前に必要な基本設定として、決済に関する項目が整理されています。
- Shopify Payments や外部決済サービスが有効になっているか
- 決済サービスの審査が完了しているか、テストモードのままになっていないか
- クレジットカード、コンビニ決済、Pay系サービスなど、想定する顧客層に合った決済手段が用意されているか
- 通貨設定や決済時の表示内容に不自然な点がないか
また、設定内容を確認するだけでなく、実際にテスト注文を行い、購入から注文完了まで問題なく進めるかをチェックしておくと安心です。
- 商品をカートに追加できるか
- 決済画面まで正常に遷移するか
- 注文完了後にサンクスページが表示されるか
- 注文確認メールが正しく送信されるか
Shopify Launch Checkでは技術的な設定状況は確認できますが、実際の購入体験までは判断できません。そのため、公式ドキュメントで基本設定を確認したうえで、Launch Checkと手動チェックを併用することが、公開前のトラブル防止につながります。
モバイル最適化をチェックする
モバイルユーザーが多いShopifyでは、スマホ最適化は必須です。Shopifyテーマストアで提供されているすべてのテーマはレスポンシブテーマで、画面サイズに自動的に適応します。
テーマのカスタマイズではモバイル表示を設定することができ、以下のようなポイントに注目して設定することで、モバイルユーザーによりやさしいストアを構築することができます。
- ボタンサイズ
- フォントの読みやすさ
- メニュー操作性
- ファーストビュー表示速度
- 商品ページの導線
Shopify Launch CheckのUX評価も参考になります。「モバイルとデスクトップの表示の違いのトラブルシューティング」も合わせて確認してください。
ページ速度をPageSpeed Insightsなどのデータで確認する
公式ドキュメント「オンラインストアのパフォーマンスを向上させる」でページ速度やストアのパフォーマンスが低下する原因が記載されています。ページ速度はCVRにも影響する重要要素なので、公開前に改善できるポイントがないかチェックしましょう。
例えば、Shopify Launch Checkの指摘と併せて、以下の対応で速度改善を行うことができます。
- 画像圧縮
- JS/CSSの最適化
- 不要アプリの削除
「PageSpeed Insights」などのツールを利用することで、パフォーマンスを調査可能です。
Shopify Plus Launch Checklist で Shopify Plus固有のチェック項目を整理する
Shopify Plusプラン向けには「Shopify Plusプランの公開チェックリスト」も用意されています。Shopify Plusプラン限定の機能もあるため、ストアのプランに合わせてチェックを進める必要があります。
Shopify Plusプランを利用中のストアは、以下もチェックの対象になります。
- Shopify Flowの自動化フロー
- Script / Shopify Functionsの設定
- Checkout拡張機能の動作確認
- マーケット(国際化設定)
- B2B設定
Shopify Launch Checkを活用して公開品質を高める
Shopify Launch Check は、ストア公開前に確認しておきたいポイントをまとめてチェックできる機能です。設定の抜け漏れや見直したほうがよい点を整理してくれるため、公開直前の最終確認として役立ちます。
特に、UXやSEO、ページ表示速度などは、後回しにされがちですが、公開後の運営に影響が出やすい部分です。Shopify Launch Checkを使えば、そうした項目にも自然と目が向くようになり、このまま公開して大丈夫かどうかを落ち着いて判断できるようになります。
すでに手元にチェックリストがある場合でも、Launch Checkを併用することで確認の抜けを防ぎやすくなります。公開前に一度立ち止まってストア全体を見直すことで、トラブルの少ないスタートにつなげられるはずです。