Shopifyでは近年、ストア運営を支援するAI機能が次々に公開されています。商品説明文の作成や画像編集などの運営業務をサポートする機能に加え、AIチャット上で商品を表示する販売チャネルや、開発者向けのAI支援ツールも登場しています。
EC運営が便利になる一方で、どの機能をどの業務に使えばよいのか整理しきれていない方も多いのではないでしょうか。
本記事では、ShopifyでECストアを運営している方、導入を検討している方に向けて、ECとAIの関わり方を整理したうえで、Shopifyの主なAI関連機能をまとめて解説します。
ECとAIの関わり方はどう変わっているのか
以前のAIは、商品説明文の下書きやメール作成、問い合わせ対応など、日々の業務を効率化する補助ツールとしての利用が中心でした。ECプラットフォームとは別に提供されるケースも多く、生成した文章を管理画面に手作業で反映する必要がありました。
近年は、AIがEC業務そのものに組み込まれています。Shopifyをはじめとするプラットフォームでは管理画面上でAIを使えるようになり、文章の作成から反映までを一つの画面で完結しやすくなりました。
さらにAIの役割は、販売チャネルにも広がっています。OpenAIは2026年3月、ChatGPT上での商品発見体験を強化するアップデートを発表しました。ユーザーは予算や好みを会話で伝え、商品をビジュアルで見比べながら購入を検討できます。
こうした流れの中で、ストア運営者には「どのAIで作業を楽にするか」だけでなく、「AIに商品やブランドを正しく理解してもらうにはどうするか」という視点も求められつつあります。
参照:OpenAI公式リリース「Powering Product Discovery in ChatGPT」
Shopifyの主なAIツール・AI機能一覧
ShopifyのAIは、管理画面での作業支援やコンテンツ制作の効率化に加え、AIチャネル上で商品を見つけてもらうための商品情報の整備にも関わります。用途ごとに分けると理解しやすいので、ストア運営者が把握しておきたい主な機能を紹介します。
| 分類 | ツール名 | 主な用途 |
|---|---|---|
| 店舗運営を助けるAIツール | Shopify Sidekick | 管理画面の操作支援、データ確認、タスク補助 |
| 文章・画像・動画制作を助けるAIツール | Shopify Magic、Tinker | 商品説明、メール、画像、動画、ロゴ制作 |
| AIチャット経由の販売に対応するAI機能 | Agentic Storefronts | ChatGPTなどのAIチャネルでの商品発見、購入導線 |
| データ活用やパーソナライズを支えるAI基盤 | Shopify Network Intelligence | 広告・レコメンド・不正対策などの機能改善に使われるデータ基盤 |
| 開発やカスタマイズを支援するAIツール | Shopify AI Toolkit | AI開発ツールとShopifyの接続、開発支援 |
※本記載は2026年5月時点の情報を元にしています。 ※AI関連機能は、対象ストア、地域、プランによって利用条件が変わる場合があります。
管理画面の操作や分析を相談できるAI「Shopify Sidekick」
Shopify Sidekickは、Shopify管理画面で使えるAIアシスタントです。チャット形式で質問や指示を入力し、売上データの確認、設定方法の確認、商品や注文に関する作業の補助などに使えます。
「先月売れた商品を確認したい」「配送設定を見直したい」といった内容を自然な言葉で相談しながら作業を進められ、操作方法を調べる時間を減らせるだけでなく、データをもとに改善のヒントを得やすくなる点も特徴です。
Sidekickの活用例
SidekickはShopify上のデータ分析や実務に必要なワークフローの作成もサポートしてくれます。例えば「商品の在庫が少なくなったときにアラート通知が欲しい」場合、Sidekickに依頼すると条件に合わせたワークフローの下書きをShopify Flow上に作成してくれます。

Sidekick:在庫数減少をアラートするワークフローの作成依頼

Sidekick:ワークフローを作成

Sidekick:通知メッセージの内容も自動で作成
Shopify Sidekickについて詳しくは以下の記事をご覧ください。
文章作成や画像編集を支援するAI機能「Shopify Magic」
Shopify Magicは、Shopify全体に組み込まれたAI機能群です。メール件名、ブログ記事、画像編集、テーマ生成、アプリレビュー要約、顧客セグメント作成など、複数の機能を含みます。Sidekickも、Shopify Magicの技術を活用した会話型AIアシスタントとして位置づけられます。
Shopify Magicの活用例
新商品の販売準備では、商品名・特徴・ターゲットを入力すると、それに沿った商品説明の下書きが生成され、説明欄へ自動で反映されます。

Shopify Magic:作成する商品の特徴やターゲットを指示

Shopify Magic:生成された商品説明のテキスト
Shopify Magicの詳しい使い方については、以下の記事をご覧ください。
画像・動画・ブランド素材を作れるAIアプリ「Tinker by Shopify」
Tinkerは、Shopifyが提供する無料のモバイルアプリです。OpenAIやGoogle、Anthropicなど複数の主要AIプロバイダーのツールを1つにまとめており、商品写真、マーケティング動画、ロゴ、ブランド素材などを作成するための100以上のAIツールが使えます。
商品写真をアップロードしてスタジオ風の画像を作成したり、ブランド説明からロゴ案を生成したり、商品画像をSNS動画に変換したりできます。
Tinkerの活用例
雑貨ストアであれば、季節感のあるSNS投稿用画像を作成できます。元になる商品画像を指定してクリエイティブの変更ができるため、春の新生活、母の日、クリスマスなど、キャンペーンごとに見せ方を変えたい場合に活用しやすいでしょう。
また、生成した画像をもとに商品動画を作成することもできます。

Tinker:ジェネレーター選択画面

Tinker:画像生成プロンプト入力画面

Tinker:生成された画像

Tinker:生成した画像をもとに、商品動画を作成

Tinker:生成された動画
Tinkerについて詳しくは以下の記事をご覧ください。
AIチャネルで商品を見つけてもらう販売チャネル「Agentic Storefronts」
Agentic Storefrontsは、AIチャット上で商品を見つけてもらい、購入につなげるためのShopifyの販売チャネルです。
AIチャネル上で商品が紹介される時代には、商品情報の質が成果を左右します。素材・サイズ・色・用途・価格などの情報が不足していると、AIが商品を正しく理解できず、比較や提案の対象になりにくくなります。利用するには、商品データの整備や対象ストアの条件を確認する必要があります。
Agentic Storefrontsの活用例
リュックを販売しているストアであれば、ユーザーがChatGPTなどのAIツールで「2泊3日の旅行に使うリュックを探したい」と相談したときに、容量、価格、サイズ展開などの商品情報が比較材料になります。商品説明や属性情報を整えておくことで、AIが商品を理解しやすくなります。
Agentic Storefrontsの詳しい対応方法や利用条件は以下の記事をご覧ください。
高度な機能を支えるデータ活用の仕組み「Shopify Network Intelligence」
Shopify Network Intelligenceは、Shopifyの高度な機能を支えるデータ活用の仕組みです。有効化されている場合、Shopifyが自社ストアの顧客データとほかのマーチャントの顧客データを安全に利用し、広告やレコメンド、不正対策などの機能改善に活用します。
一方で、プライバシーポリシー、オプトアウト、Cookie同意などの確認が必要になる場合があります。
Shopify Network Intelligenceの活用例
Shopify Network Intelligenceを必要とする機能を使う場合は、無効化による影響を事前に確認する必要があります。マーケティング施策だけでなく、プライバシー対応や利用中アプリへの影響も含めて判断しましょう。
Shopify Network Intelligenceについて、詳しくは以下の記事をご覧ください。
開発やカスタマイズを支援するAIツール「Shopify AI Toolkit」
Shopify AI Toolkitは、開発者がAIツール(Claude、Cursor、WindsurfなどのAIコーディングツール)をShopifyに接続し、開発作業を効率化するためのツール群です。
ストア運営者が日常業務で直接使う機能というより、独自アプリの開発、API連携、管理画面の自動化などの業務に関係します。
Shopify AI Toolkitの活用例
Shopify AI Toolkitは開発だけではなく、ストア上の設定や情報を一括で変更することもでき、特定の施策に向けて商品情報を一括で更新する際にも利用できます。例えばAEO対策に商品情報を更新したい場合、文面の作成と更新すべき商品の選別、データの更新をAIツール上で完結できます。

Codex:商品情報の更新をおおまかに依頼

Shopify商品管理:ギフト商品の説明文(修正前)

Codex:選択された商品の商品情報の更新を依頼

Shopify商品管理:ギフト商品の説明文(修正後)
Shopify AI Toolkitについて、詳しくは以下の記事をご覧ください。
最初に取り入れやすいShopifyのAI機能
ShopifyのAI機能をすべて一度に使う必要はありません。ストア運営者が最初に取り入れるなら、Sidekick、Shopify Magic、Tinkerの3つから始めると取り入れやすいでしょう。
ここでは、それぞれをどんな場面・順番で取り入れるとよいかを紹介します。
まずはSidekickで管理画面の相談から
特別な準備がいらず、管理画面でチャットに話しかけるだけで始められます。操作に迷ったとき、データを確認したいときの最初の相談相手として、もっとも導入のハードルが低い機能です。
文章作成に慣れてきたらShopify Magic
商品登録やメール作成のタイミングで、下書き作成から取り入れると自然です。生成された文章は、商品の仕様やブランド表現と合っているか確認してから公開しましょう。
販促素材を増やしたいならTinker
画像や動画の制作に手が回らないとき、スマホアプリで手軽に試せます。完成物として使う前に、商品実物との違いや権利面の確認も忘れずに行いましょう。
まとめ
ShopifyのAI機能は、商品説明文の作成や画像・動画制作、管理画面での操作支援など、日々のEC運営を効率化するだけでなく、AIチャット上で商品を見つけてもらう新しい販売チャネルにも関わり始めています。
AI関連機能はアップデートのスピードが速く、対象ストアや地域、プランによって利用条件が異なる場合もあります。まずは自社ストアで利用できる機能を確認し、日々の業務で時間がかかっている作業から少しずつ取り入れていくとよいでしょう。ShopifyのAI関連ツールをまだ利用していない方は、最初は管理画面でSidekickに相談することから始めてみてください。





