Shopify Inboxとは?AI機能・できること・使い方をわかりやすく解説

Shopify Inboxとは?AI機能・できること・使い方をわかりやすく解説

Tsunライターチーム

Shopifyストアを運営していると「この商品はいつ届きますか?」「在庫はありますか?」「返品できますか?」など、購入前後にお客様からさまざまな問い合わせが届くことがあります。そのたびに内容を確認してメールで返信していると、対応に時間がかかります。

Shopify Inboxでは、オンラインストア上にチャット窓口を設置し、お客様からの問い合わせにその場で対応できます。商品リンクやディスカウントコードもチャット上で案内できるため、問い合わせ対応だけでなく商品選びのサポートにも利用できます。

2026年6月17日に公開されたShopify Editions Spring '26では、Shopify InboxのAIによる接客機能が紹介されました。現在、一部のストアではAIがお客様と直接やり取りする「Inboxエージェント」も利用できます。

本記事ではShopify Inboxの基本機能をはじめ、即時回答・クイック返信・Shopify Magicとの違い、Inboxエージェントの機能や利用条件、設定方法について解説します。

※本記載は2026年9月時点の情報を元にしています

Shopify Inbox|Shopifyが提供する無料のチャットアプリ

Shopify Inboxは、Shopifyが提供するオンラインストア向けのチャットアプリです。ストアを閲覧しているお客様からメッセージを受け取り、Shopify管理画面やモバイルアプリから返信できます。

Shopify InboxのShopifyアプリストア掲載ページ

画像出典:Shopify Inbox|Shopifyアプリストア

Shopify Inboxは無料で提供されており、Shopify App Storeからインストールできます。お客様から届いたメッセージは、Shopify管理画面やShopify Inboxのモバイルアプリから確認できます。複数のスタッフで会話を管理したり、担当者を割り当てたりすることも可能です。

スタッフによるチャット対応のほか、即時回答やShopify Magicなどの回答支援機能もあり、対象ストアではAIが接客するInboxエージェントも利用できます。

Shopifyが提供しているほかの公式アプリについては、以下の記事でまとめています。

Shopify Inboxでできること

Shopify Inboxではお客様とのチャットだけでなく、顧客情報の確認や商品リンク、ディスカウントコードの案内にも対応しています。

オンラインストアでお客様とチャットする

オンラインストアにチャットを表示すると、お客様は商品ページなどを見ながらメッセージを送ることができます。スタッフはShopify Inboxから問い合わせを確認し、PCやスマートフォンで返信します。対応可能な時間帯を設定するほか、営業時間外の最初の返信を自動化することも可能です。

オンラインストアの画面右下にShopify Inboxのチャットウィンドウが表示されている様子

画像出典:Shopify

顧客情報や会話履歴を確認しながら対応する

会話画面では、お客様のプロフィールや過去のやり取りを確認できます。ストア内でのアクションも把握でき、お客様が商品をカートへ追加・削除すると変更内容が会話内に表示されます。アクティブなカートがある場合は、小計や商品数も確認が可能です。

新しいお客様アカウントを利用しているストアでは「お客様のログインを必須にする」設定も選択できます。ログイン後は会話がお客様記録に紐づくため、スタッフの権限に応じて顧客情報や注文情報を参照しながらお客様とコミュニケーションを取れます。

Shopify Inboxの「お客様情報の取得」でお客様のログインを必須にする設定画面

商品リンクやディスカウントコードを送信する

チャット中にShopifyの商品を検索し、そのまま商品リンクを送れます。たとえば「黒いバッグを探している」と相談された場合、条件に合う商品をチャット内で案内可能です。商品リンク以外にもディスカウントコードや画像、動画を送信できます。問い合わせ窓口として使うだけでなく、購入を検討しているお客様への商品提案にも利用できます。

Shopify Inboxの回答機能の違い

Shopify Inboxには問い合わせ対応を補助する「即時回答」「クイック返信」「Shopify Magic」のほか、AIがお客様へ直接回答する「Inboxエージェント」があります。

機能 回答する主体 主な用途
即時回答 システム(登録済みの回答を自動表示) よくある質問への対応
クイック返信 スタッフ 定型文を使った返信
Shopify Magic AIが返信案を作成しスタッフが送信 返信文の作成支援
Inboxエージェント AI お客様への自動回答

即時回答は登録済みの回答を自動表示する機能

即時回答は質問と回答をあらかじめ登録しておく機能です。たとえば「返品について教えてください」という項目を用意し、返品条件やポリシーページへのリンクを設定できます。

Inboxエージェントを使用していない場合、お客様がチャット画面から質問を選ぶと登録済みの回答が表示されます。Inboxエージェントが有効な場合は動作が異なり、エージェントが会話の開始候補を表示して以降の回答も担当します。

クイック返信はスタッフ向けの定型文

クイック返信は、スタッフがよく使う文章を登録しておく機能です。配送日の案内や問い合わせへのお礼など、繰り返し使う文章をショートカットから呼び出せます。即時回答のようにお客様へ自動で表示されるものではなく、スタッフが定型文を選択して送信します。

Shopify Magicはスタッフ向けにAIが返信案を作成する機能

Shopify Magicを利用すると、お客様から届いたメッセージに対する返信案をAIが生成します。生成された文章はスタッフ向けの下書きです。そのまま自動送信されるのではなく、スタッフが内容を確認し、必要に応じて編集してから送信します。

2026年9月時点では、自動生成される返信案は英語のみ対応しています。利用するには、オンラインストアとShopify管理画面が英語であること、Shopify Inboxに1件以上の会話があること、商品数が200,000件以下であることなどの条件があります。Shopify Magicの返信案はInboxエージェントの自動返信には使用されません。

Shopify Magicの機能や使い方について詳しくは、以下の記事をごらんください。

InboxエージェントはAIがお客様に直接回答する機能

InboxエージェントはAIがお客様への回答を直接担当します。Shopify Magicがスタッフ向けの返信案を作成するのに対し、Inboxエージェントはチャット上でお客様とやり取りする機能です。

Shopifyで利用できるほかのAI機能については、以下の記事でまとめています。

Shopify InboxのAI機能「Inboxエージェント」とは

InboxエージェントはShopify Inbox上でお客様との会話を担当するAI機能です。商品カタログやストアに登録されている情報を参照しながら、商品選びや注文に関する質問へ回答します。

AIがお客様からの質問に自動で回答する

Inboxエージェントを有効にすると、チャットへ届いた質問にAIが返信します。商品の詳細、在庫状況、価格、配送、返品、サイズ、ストアポリシーなどに関する問い合わせが主な対応範囲です。お客様がチャットで使用している言語で回答しますが、商品名など一部のカタログ情報はストアの言語で表示される場合があります。

すべての会話をInboxエージェントへ割り当てるほか、スタッフが対応できない時間帯のみAIに任せる設定も選択できます。

商品提案や注文に関する問い合わせをサポートする

Inboxエージェントは質問への回答だけでなく、条件に合う商品をカタログから探して提案します。注文に関する問い合わせにも対応し、過去の注文情報はお客様がログイン状態であれば参照可能です。Shopにログインしているお客様については、購入履歴やサイズ、好みなどをもとに商品提案をパーソナライズする場合もあります。

商品・ポリシー・Knowledge Baseなどを参照する

InboxエージェントはShopifyに登録された複数の情報を回答に利用します。主な参照先は、商品カタログ、配送や返品などのストアポリシー、Knowledge Base、オンラインストアのページ、ブログ記事、サイズガイドなどです。ストアの商品に関するレビューや評価などが必要な場合には、引用付きのWeb検索を補助的に利用することもあります。

必要に応じてスタッフへ引き継ぐことが可能

AIで判断しにくい質問や、お客様がスタッフとの会話を希望した場合は有人対応へ引き継げます。引き継ぎ時にはそれまでのAIとの会話もスタッフ側で確認可能です。

スタッフが対応できない時間帯などで引き継ぎができない場合は、ストアの差出人メールアドレスがお客様に案内され、メールでの問い合わせに切り替わります。

Inboxエージェントを利用するための条件

Inboxエージェントを利用するにはShopify Inboxのインストールや対象プランの利用など、いくつかの条件があります。

対象プランや新しいお客様アカウントなどの利用条件がある

利用するには、以下の条件を満たす必要があります。

  • Shopify Inboxがインストールされている
  • 有効なオンラインストアである
  • 新しいお客様アカウントを利用している
  • Basic、Grow、Advanced、Shopify Plusを利用している

実際に利用できるかどうかは、Shopify管理画面の「販売チャネル」から「Inbox」を開いて確認してください。

Inboxエージェントを活用するために準備したいこと

Inboxエージェントの回答内容は、Shopifyに登録されている情報に左右されます。導入前にエージェントが参照する情報を確認しておきましょう。

商品情報やストアポリシーを整備する

まず確認したいのが商品名、説明、価格、在庫、サイズなどの商品情報です。配送方法や送料、返品・交換条件といったストアポリシーも、実際の運用と一致しているか確認します。たとえば返品期限が古いままであれば、Inboxエージェントも古い返品条件を参照する可能性があります。

Knowledge Baseによくある質問を登録する

商品ページやポリシーだけでは補えない情報はKnowledge Baseへ登録できます。営業時間、問い合わせ窓口、独自サービスの説明など、ストア独自のFAQを追加する用途に向いています。すでに商品ページやポリシーに記載されている内容は、Knowledge Baseへ重複して登録するより、元の情報を更新した方が管理しやすくなります。

Knowledge Baseの機能や使い方について詳しくは、以下の記事をごらんください。

ペルソナでAIの話し方や接客方法を設定する

Inboxエージェントでは「ペルソナ」を設定できます。「短く答える」「丁寧な言葉遣いにする」「商品を強く勧めすぎない」など、接客時のトーンや振る舞いを指定する機能です。

接客方法はペルソナ、商品やストアに関する情報は商品ページ・ポリシー・Knowledge Baseと分けて管理します。ペルソナにだけ書いた営業時間や送料などの情報は参照元として扱われず、回答に一貫して使われない場合があるためです。

Shopify Inboxの設定方法

Shopify Inboxはアプリをインストールした後、オンラインストアにチャットを表示して利用します。

Shopify Inboxをインストールする

Shopify App StoreからShopify Inboxをインストールします。インストール後はShopify管理画面の販売チャネルからInboxへアクセスできます。

Shopify管理画面の販売チャネルから開いたShopify Inboxのホーム画面

画像出典:Shopify

オンラインストアにチャットを表示する

Shopify管理画面から「オンラインストア」→「テーマ」を開き、利用中のテーマをカスタマイズします。アプリの埋め込みからオンラインストアチャットを有効にして保存すると、ストアにチャットウィジェットが表示されます。

テーマエディタのアプリ埋め込みでオンラインストアチャットを有効にする画面

チャットのデザインや対応可能時間を設定する

チャットボタンの位置やデザイン、挨拶メッセージなどを設定します。スタッフの対応可能時間も指定でき、営業時間外には自動返信を表示する設定も可能です。

テーマエディタでチャットの挨拶メッセージや色、表示位置を設定する画面

即時回答やクイック返信を設定する

問い合わせが多い内容は、即時回答やクイック返信として登録しておくと対応しやすくなります。返品方法や配送についての質問など、お客様から繰り返し聞かれる内容を確認しながら追加してください。即時回答はお客様向け、クイック返信はスタッフ向けと、用途を分けて設定します。

Shopify Inboxで即時回答の質問と回答を登録する画面

対象ストアではInboxエージェントを設定する

Inboxエージェントを利用できるストアでは、Shopify管理画面のInboxから有効化します。AIにすべての会話を担当させるか、スタッフが不在の時間帯だけ担当させるかを選択可能です。

利用開始前に、商品情報とペルソナから自動生成される練習シナリオで回答の傾向を確認しておくと、運用時に見直すべき設定を把握しやすくなります。

Shopify Inboxのチャット設定でエージェントを有効にし、割り当て範囲を選択する画面
Shopify Inboxでスタッフの対応時間を曜日ごとに設定する画面

Inboxエージェントの回答を確認・改善する方法

Inboxエージェントを導入した後は、実際の会話を確認しながら設定を調整します。

会話や回答内容を確認・評価する

Inboxエージェントが対応した会話を確認できます。回答内容を評価したり、練習用の会話を使って接客方法を調整したりすることも可能です。評価結果をもとに、ペルソナの改善案が提示される場合もあります。

回答を評価しても、商品情報やストアポリシーそのものが自動で変更されるわけではありません。情報を修正する場合は参照元のデータを直接変更する必要があります。提示されたペルソナの改善案も自動では適用されず、内容を確認して保存すると反映されます。

Shopify Inboxの会話一覧でエージェントの会話を確認する画面

画像出典:Shopify

対応セッションや注文、満足度を確認する

Shopify Inboxでは、Inboxエージェントの利用状況を確認するための指標も用意されています。主な項目は以下です。

  • Assisted sessions:Inboxエージェントが対応したセッション数
  • Assisted orders:Inboxエージェントとの会話後に発生した注文数
  • Satisfaction rate:評価された回答のうち肯定的だった割合
  • 平均応答時間

実際の会話内容とあわせて確認すると、回答が不足している質問や、スタッフへ引き継いだ方がよい問い合わせを把握できます。

誤回答がある場合は参照元の情報を見直す

回答に誤りが見つかった場合、原因となっている情報を確認します。商品についての誤回答なら商品情報、配送や返品ならストアポリシー、店舗独自の質問ならKnowledge Baseといったように、内容に応じて参照元を修正します。

接客の口調や商品を勧める姿勢に問題がある場合は、ブランドの方針に沿った接客になるようペルソナの設定を見直します。

Shopify Inboxを利用するときの注意点

InboxエージェントやShopify Magicを利用する場合は、AIが生成した情報の確認や、お客様のチャットデータの取り扱いにも注意が必要です。

AIの回答内容についてストア側で確認する

InboxエージェントやShopify Magicが、登録内容と異なる回答を生成する可能性があります。特に価格、配送、返品など、お客様の購入判断に関わる情報は、実際の登録内容と回答が一致しているか定期的に確認する必要があります。

AIとスタッフの対応範囲を決めておく

返品の可否を個別に判断するケースやクレームなど、慎重な対応が必要な問い合わせはスタッフが担当する運用もあります。

「商品や配送に関する一般的な質問はAI」「個別判断が必要な問い合わせはスタッフ」のように、あらかじめ対応範囲を決めておくと役割を分けやすくなります。

AI支援チャット利用時はプライバシーポリシーを確認する

Inboxエージェントでは、お客様とのチャット内容が回答生成やサービス改善のために処理されます。Shopifyが提供する最新のプライバシーポリシーテンプレートには、AI支援チャットに関する開示が含まれています。独自のプライバシーポリシーを使用している場合は、AI支援チャットにShopifyを利用していることと、チャットのやり取りが回答生成と改善のために処理されることを記載したうえで、Inboxエージェントを有効にしてください。

Inboxエージェントとの会話では、Shopifyを利用したチャットであることと、AIとのチャットであることがお客様へ自動的に通知されます。AIチャットである旨の通知は削除やカスタマイズができません。

Shopify Inboxが向いているストア

Shopify Inboxは、購入前の商品相談や配送・返品について、オンラインストア上で問い合わせを受け付けたいストアに向いています。商品リンクやディスカウントコードをチャットで送れるため、問い合わせ対応と商品提案をShopify上で完結させたい場合にも利用できます。

即時回答やクイック返信を使えば、少人数で問い合わせ対応を行っているストアでも定型的な対応を減らせます。対象ストアでは、対応可能時間外をInboxエージェントに任せる運用も可能です。

一方、メールやSNSなど複数チャネルから届く問い合わせをまとめて管理したい場合は、必要な機能を確認したうえで外部のカスタマーサポートツールも比較するとよいでしょう。

まとめ

Shopify Inboxは無料で利用でき、チャットによる問い合わせ対応に加えて、即時回答やクイック返信、Shopify Magicなど、スタッフの対応を補助する機能も備えています。オンラインストア上で商品相談や配送・返品などの問い合わせを受け付けたいストアでは、導入しやすい選択肢です。

対象ストアではInboxエージェントも利用でき、商品に関する質問への回答や商品提案、注文に関する問い合わせ対応をAIに任せられます。導入する場合は、商品情報やストアポリシー、Knowledge Baseの整備とペルソナ設定を先に済ませ、実際の会話を確認しながら参照元の情報を見直していく運用が基本になります。

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